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2022年7月22日金曜日

こんなところに違いが?日本と海外のITツール導入事情。

https://www.docusign.jp/blog/differences-of-technology-adaption-between-japan-and-overseas

ここ数年でテレワークなどの新しいワークスタイルが広がり、ビデオ会議システムやチャットツールをはじめとしたITツールは、日本でも一般的になってきました。しかし、海外と比べるとまだまだITツールの導入が進んでいないという話もよく耳にします。そこで今回は、調査レポートやデータを参照しながら日本と海外のITツール導入事情を比較し、日本企業のITに対するスタンスや課題、IT化を進めるポイントを紹介します。

データで見る、日本と海外のITツール導入事情の違い

日本と海外ではITツールの導入状況にどのような違いが見られるのか、実際のデータをみながら比較していきます。総務省がまとめた資料「情報通信白書(平成30年度版)」では、日本、アメリカ、イギリス、ドイツの計4カ国におけるITツールの導入状況、及び利用状況がまとめられています。同資料では、「社内SNS」「テレビ会議・ビデオ会議」「チャット」「電子決済」「勤怠管理ツール」「在席管理ツール」の計6つのカテゴリに分けて利用状況を調査していますが、いずれのツールにおいても日本は諸外国に比べ導入率が低いのが実情です。なお、本資料は3年前のものとなり、社会の変化やコロナ禍の影響で、全体的に導入の割合はあがっているものと予想されます。

ビジネスICTツールの導入状況(国際比較)

引用元:総務省 第1部 特集 人口減少時代のICTによる持続的成長「ビジネスICTツールの導入状況(国際比較)」

最もITツールの導入が進んでいるのはアメリカで、どのツールにおいても導入率が65%前後の水準となっています。一方、日本で最も導入が進んでいる勤怠管理ツールでも37.1%、全ツールの導入率平均は25~30%程度となります。導入ツールの種類の傾向に関しては、日本とドイツでは勤怠管理ツールが最も導入率が高く、アメリカでは電子決済、イギリスではテレビ会議・ビデオ会議ツールが上位にきています。

日本の場合、平均25~30%の導入率に対して、各ツールの導入率の幅が23.5~37.1%とツール間での差異が少し広い印象を受けます。一方、他国ではツールごとの導入率の差異は小さく、導入ツールの種類に関して強い傾向はないようです。

上記から、日本は勤怠管理ツールの導入が比較的進んでいるものの、諸外国と比べるとITツール全般の導入が遅れていると言えます。

日本と海外のICTへの投資状況の比較

日本では諸外国に比べITツールの導入が進んでいないことが分かりました。その原因を探るためにICTへの投資状況について見ていきます。

総務省が作成した「情報通信白書(令和元年版)」には各国のICT投資状況をまとめたグラフが掲載されています。こちらのグラフでは日本、アメリカ、イギリス、フランスの4カ国で比較が行われています。

各国のICT投資額の推移比較

引用元:総務省 第1部 特集 進化するデジタル経済とその先にあるSociety 5.0「各国のICT投資額の推移比較」

同グラフの最も特徴的な点は、アメリカ、フランスの投資額が右肩上がりであるのに対し、日本とイギリスでは1990年代を境に投資額が横ばい、または減少傾向にあるということです。特に日本は1996年をピークにグラフが緩やかに減少しています。同報告書の考察では、日本のICT投資額が伸び悩んでいる1つの要因として、急成長を遂げたICT分野への投資が遅れたことでうまく付加価値を生み出せず、さらなる投資が行われない悪循環が生まれたことを指摘しています。

次にICT投資の内訳について見ていきましょう。ここでは、日本とアメリカについて取り上げます。日本におけるソフトウェア投資額の内訳自体は公表されていませんが、ソフトウェアの導入内訳は以下のグラフのようになっており、約9割が受託開発型のソフトウェア、残り1割がパッケージ型のソフトウェアとなっています。

日本のソフトウェア導入内訳(2017年度)

引用元:総務省 第1部 特集 進化するデジタル経済とその先にあるSociety 5.0「日本のソフトウェア導入内訳(2017年度)」

一方、アメリカのソフトウェア投資の内訳は、パッケージが29%、受託開発が33.8%、自社開発が37.2%となっています。

米国のソフトウェア投資内訳(2016年)

引用元:総務省 第1部 特集 進化するデジタル経済とその先にあるSociety 5.0「米国のソフトウェア投資内訳(2016年)」

情報通信白書では、日本とアメリカの内訳の違いはITツールに対するスタンスの違いによるものと考察しています。ソフトウェアの9割が受託開発型である日本では、情報システム開発をコア業務として捉えていない企業が多いと考えられます。一方、アメリカでは37.2%が自社開発となっており、日本よりもシステム開発を重要なイニシアチブと捉える傾向が強いと言えるでしょう。

同資料では、このICT投資の内訳の差異が投資額の伸び悩みにもつながっているという分析もしています。

外部委託の場合、「業界に不案内である」「コミュニケーションがうまくいかない」などの問題により、各業種の細かな要求を満たしていない、不適切なシステムになってしまう可能性があります。このようなニーズのずれ等がITツールへの期待感を弱め、結果としてICTへの投資が進まなかったということも十分に考えられます。

日本のIT化における課題

経済産業省が作成した資料「中小企業のデジタル化に向けて」によると、ITツール導入における課題のトップ3は「コストの負担」「導入効果が分からない」「従業員のスキル不足」となっています。

IT導入における課題

引用元:経済産業省「中小企業のデジタル化に向けて」p7

このデータから日本企業のIT化が進まない原因の1つとして、「ITリテラシーの低さ」が関係していると考えられます。というのも、上記3つの課題はITリテラシーを高めることで解決できる可能性が十分にあるからです。

「導入効果が分からない」「従業員のスキル不足」の2つについては、情報収集やITに関する教育を強化することで解決できうる課題です。「コスト負担」についても、今では一からの開発は不要で、手軽に導入できるSaaSサービスが充実しており、やり方次第ではコストを低く抑えることはできます。

また、同資料ではIT化までのプロセスを「1.認知」「2.評価」「3.計画」「4.実行」の4つに分けて、各工程でどのような障壁があるのかを図にまとめています。

IT活用における意思決定プロセスの障壁

引用元:経済産業省「中小企業のデジタル化に向けて」p8

上図によると、経営課題や悩みを抱えるIT決裁権を持つ人のうち、61%もの人が「認知」の工程で「解決策としてIT化を選ばない」と回答しています。つまり、認知の段階がボトルネックになり、なかなかIT化が進まないという現状があります。

ITを解決策として選ばない理由としては、「有用性は認識しているが検討する余裕がない(45.7%)」「課題がどのように紐付くかわからない(38.0%)」「すぐに取り組む必要性を感じない(31.8%)」が上位3つを占めています。

「有用性は認識しているが検討する余裕がない」に関しては、コスト的な余裕なのか、時間的なものなのかは判別できませんが、いずれにせよSaaSサービスをうまく活用することで解決できる可能性があります。

また、「課題がどのように紐付くかわからない(38.0%)」については、ITに関する教育の強化やITに詳しい外部コンサルタントを積極的に活用するなどの方法で解決できるでしょう。

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ポイントはITツール導入へのハードルを下げること

これまで見てきたように、日本でITツールの導入が進まない原因の1つとして、ITに関する知識不足が関係していると考えられます。その結果、「IT=難しいもの」と思い込み、よく分からないからと敬遠している人も少なくないでしょう。まずは、ITツールは決して難しいものではなく、もっと気軽に取り入れられるものであるということを理解し、周知していくことが大切です。

最近では、クラウドサービス、とりわけビジネスの現場ではSaaSサービスを利用する企業も増えています。SaaSサービスはコストの調整がしやすく、少額で導入できるものも多数存在しています。加えて、プロバイダー側でアップデートを行ってくれるため、常に最新の機能が利用でき、セキュリティ対策に頭を悩まされることもありません。導入のハードルが低い、高度なITスキルがなくても利用しやすいなど、SaaSサービスには様々なメリットがあります。

日本においてITツール導入を促すためには、まずはITアレルギーを無くすことが先決だと考えられます。そのためには、手軽に導入できるツール、例えば、社内外のコラボレーションを円滑に進めるための「ビジネスチャット」、合意・契約文書をデジタル化する「電子署名サービス」、名刺をデータ化・チーム内での共有を容易にする「名刺管理ソフト」など、自社あるいは部署のニーズにマッチし、効果が出やすいツールから利用し始めるのがよいでしょう。

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参考:

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