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2024年1月18日木曜日

注目の素材「グラフェン」から初めて機能的な半導体を作り出すことに研究者らが成功 - GIGAZINE

https://gigazine.net/news/20240115-first-functional-semiconductor-made-graphene/

https://gigazine.net/news/20240115-first-functional-semiconductor-made-graphene/


グラフェン炭素原子が六角形に結合したハニカム構造をしたシートであり、鉄の数百倍もの強度を持ちながら非常に軽量で柔らかく、熱伝導性や導電性も高いという特性があります。そんなグラフェンを用いて世界で初めて機能的な半導体を作り出すことに、アメリカと中国の研究チームが成功しました。

Ultrahigh-mobility semiconducting epitaxial graphene on silicon carbide | Nature
https://www.nature.com/articles/s41586-023-06811-0


Researchers Create First Functional Semiconductor Made From Graphene | Research
https://research.gatech.edu/feature/researchers-create-first-functional-semiconductor-made-graphene

First working graphene semiconductor could lead to faster computers | New Scientist
https://www.newscientist.com/article/2410612-first-working-graphene-semiconductor-could-lead-to-faster-computers/

Research in Graphene Shows New Potential for Its Use in Chips - WSJ
https://www.wsj.com/articles/research-in-graphene-shows-new-potential-for-its-use-in-chips-5b2794a4

First ever graphene semiconductor could speed up computers - YouTube


現代社会にとって必要不可欠なほぼすべての電子機器には半導体が搭載されており、その素材にはシリコン(ケイ素)が用いられています。しかし、演算速度の高速化と電子機器の小型化が求められる中で、シリコン製の半導体は物理的な機能の限界に達しているともいわれており、研究者らはシリコンに代わる半導体素材を追求してきました。

そんなシリコンに代わる半導体素材の候補のひとつに、炭素原子のシートであるグラフェンが挙げられます。しかし、半導体には電子が結晶内にとどまる価電子帯と外部へ移動可能になる伝導体のエネルギーレベルの差である「バンドギャップ」があり、この電子特性によって電流のオン/オフを効果的に切り替えられますが、グラフェンにはバンドギャップがありませんでした。

これまでの研究では、グラフェンを小さなスケールで半導体のように機能させることはできても、コンピューターチップを実用化できるサイズまでスケールアップすることはできなかったそうです。

ジョージア工科大学の物理学教授であるウォルター・デ・ヘール氏は、20年以上前からグラフェンを半導体候補として研究してきた人物です。デ・ヘール氏は、「私たちは、グラフェンの3つの特別な特性をエレクトロニクスに導入したいという希望に突き動かされました。これは非常に強固な素材で、非常に大きな電流を処理することができ、過熱したりバラバラになったりすることもありません」と述べています。


デ・ヘール氏が率いる研究チームは、炭素とシリコンの化合物である炭化ケイ素のウエハーを加熱して炭素より先にシリコンを蒸発させ、ウエハーの上にグラフェンの層を作り出すことに成功しました。さらに、このグラフェン層が炭化ケイ素に化学結合して、半導体特性を示すことも実証しました。

研究チームの測定では、グラフェン半導体は電子の移動度がシリコンの10倍に達することがわかりました。これは、電子が非常に低い抵抗で移動することを意味しており、電子機器でより高速なコンピューティングを実現する可能性があります。デ・ヘール氏は、「砂利道を運転するのに対し、高速道路を運転しているようなものです。効率が良く、熱もあまり出ず、電子が速く動くことができます」と述べています。



論文の共著者である天津ナノ粒子・ナノシステム国家研究センター(TICNN)の馬雷教授は、「グラフェンエレクトロニクスにおける長年の問題は、グラフェンに適切なバンドギャップがなく、正しい比率でオンとオフを切り替えることができなかったことです。何年にもわたり、多くの人がさまざまな方法でこの問題に対処しようとしてきました。私たちの技術はバンドギャップを達成し、グラフェンベースのエレクトロニクスを実現するための重要なステップです」とコメントしました。


今回の研究には関与していないイギリス・サリー大学デヴィッド・キャリー教授は、グラフェン半導体の作成に半導体業界が使い慣れているウエハーを使用した点は、プロセスをスケールアップする上でメリットがあると指摘しています。しかし、依然としてトランジスタのサイズや品質、製造技術の面で多くの改良が必要であり、すでに実用化されているシリコンからグラフェンチップに切り替わるには時間がかかるだろうとの見通しを示しました。

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