ドイツの大手自動車部品メーカー、MAHLE(マーレ)は、2024年9月にドイツ・ハノーバーで開催される展示会「IAA TRANSPORTATION 2024」(一般公開日:2024年9月17~22日)に、燃料電池や水素エンジンの要素部品を出展すると発表した。この内、燃料電池用の蒸発冷却装置とバイオニックファンは初公開になるという。



燃料電池トラックの要素技術を展示
(写真:MAHLE)
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 燃料電池トラックについては、燃料電池本体と周辺機器、熱管理システム、2つの統合型SCTモーター(Superior Continuous Torque Motor)を備えた「e-Axle」などを展示する。燃料電池は、水素を電気に変換する際に、熱管理について高い技術が求められる。新しい蒸発冷却システムは、燃料電池に最適な温度を管理し、最大50kWの冷却能力を提供する。これによりファンの要求性能が低減され、水素消費量も最大1.5%削減できるという。


 

蒸発冷却装置
(画像:MAHLE)
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 商用車は陸上輸送の80%を担っており、経済活動を支えている。欧州でのトラック1台当たりの年間走行距離は平均15万kmで、その必要性は今後も高まり続けると見られている。陸上輸送の脱炭素化には、電気駆動(EV)だけでなく、水素エンジン、燃料電池、再生可能燃料などパワートレーンの多様化が必要であるという。

 電気自動車(EV)トラックと燃料電池トラックは、2035年までに生産台数の30%を占めると予測されているが、これは言い換えれば、エンジンはまだまだ主要な駆動システムであり続けるということだ。主に短距離ルートのトラックはEV、長距離輸送を担う大型トラックなどは水素や再生可能燃料を使ったエンジン車、あるいは燃料電池車になるとMAHLEは見ており、全方位で技術開発を進めているという。


 

2つのSCTモーターを搭載した燃料電池車用「e-Axle」。最高出力が520kWで連続出力は480kW。
(画像:MAHLE)
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