https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/10494/
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これまでコンセプト車で盛んに用いられてきたインホイールモーターの社会実装が近づきつつある。ドイツDeepDrive(ディープドライブ)や英Protean Electric(プロティアンエレクトリック)など海外勢による開発が活発になる中で、国内勢では日立製作所などによる開発グループが2030年を目標に同技術の実用化を目指している。
開発グループには、日立製作所のほか、Astemo(アステモ、旧:日立Astemo)、日立インダストリアルプロダクツ(東京・千代田)、大同特殊鋼、東北特殊鋼の5社が参加する。開発資金の一部に、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「グリーンイノベーション基金」を活用する。
車輪の中に電動モーターを配置するインホイールモーターでは、従来の電気自動車(EV)で電動アクスルが専有していた空間を別の用途に利用できるようになる。例えば、車室空間の拡張や、搭載する電池の大型化による航続距離の延長が見込める。
インホイールモーターのこうした利点は、自動運転技術と相性が良い。自動運転が普及した未来では、運転操作が減るので移動中の自由な時間が増える。移動中にどのような空間や体験を提供できるかが、今後の自動車の商品価値に直結する。Astemoで技術開発統括本部次世代モビリティ開発本部パワートレイン技術開発部ダイレクターを務める高橋暁史氏は、「移動体験を自由に演出するためには、広い車室空間の確保がますます重要になってくる」と語る。
移動体験の向上のためには、車室空間の拡張だけでなく、乗り心地の改善も不可欠だ。インホイールモーターでは、四輪に搭載するモーターのトルクを個別に制御することでロールやピッチなどの車体の揺れを抑制することができる。Astemoによると、4輪を独立にトルク制御をすることで、トルク制御を使用しない場合と比較してロールの角速度を40%減少できるという。
実際に、テストコースで試作車両を運転すると、その特徴を実感できた。試作車両は小型車両程度の大きさの車体だが、4人が乗車しても車内空間にはかなり余裕がある。約40km/hでカーブや車線変更などのステアリング操作をした際に、制御を使用しない場合と比較してロールの減少を実感できた。ロールやピッチは、完全に発生しないと運転に慣れている利用者にとっては逆に違和感の原因となる可能性もあるために、あえて残してあるという。
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