2025年4月15日火曜日

手術後の人体と糖分が大好き。病院で繁殖する恐怖の抗生物質もアルコール消毒も効かない細菌が発見される(英研究)コメント:その細菌がアルコール消毒液タンクの中で繁殖したら大変危険です。アマゾンの通信販売で販売中の、フルーツから作られる除菌消臭スプレーは大腸菌も殺菌出来ます。



偏性嫌気性のグラム陽性桿菌であるC・ディフィシル(クロストリディオイデス・ディフィシル)は、院内感染症でも頻度の高いクロストリディオイデス・ディフィシル感染症(CDI)の原因となる厄介な細菌だ。

免疫力の低下している人や抗生物質で腸内細菌が乱れた人に感染し、下痢や大腸炎を引き起こす。

アメリカでは年に25万人が感染し、1万4000人が死亡。日本でも患者1万人あたり1日に7.4人が発症するなど、決して少なくはない。

 『Nature Genetics』(8月12日付)に掲載された新しい研究によると、今、C・ディフィシルは2つの種に進化しつつあるのだそうだ。

しかも、その片方は病院の環境に適応している。進化の原因は、欧米文化の糖分たっぷりの食品と病院で一般に使用される消毒剤なのだとか。


病院で採取されたC・ディフィシルは新種の細菌になる可能性


英ウェルカム・サンガー研究所のニティン・クマール氏らは、ヒト・動物・環境内で生きているC・ディフィシルを906株を集め、そのDNAを解析。


その結果、病院で採取された株には、共通して見られる特徴が備わっていることが判明した。しかも系統群Aと呼ばれるそのグループは、別種になる境界線上にいるというのだ。

同種であると判定するためには95パーセント以上のDNAが同じでなければならないのだが、系統群Aの場合、DNAの共有率が別種との境界である94~95%なのだ。

共有率がもう少し下がれば、もはやC・ディフィシルとはみなせなくなる。

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image credit:Pixabay

手術後の人体に潜んで糖分を好むスーパーバグがさらに進化中

 このグループには、病院で繁殖するにはぴったりの特徴が備わっている。抗生物質への耐性を持ち、消毒剤で殺すこともできず、西欧文化の食事(特に手術後に出される流動食や柔らかい食事)に多く含まれる単糖を食べるのだ。

 C・ディフィシル系統群Aを構成する株は、推定年齢7万6000歳であり、近代的な病院システムよりもずっと古くから存在する。

 しかし、研究の結果から、それらが特に勢力を拡大し始めたのは1600年代後半からであることがわかっている。まさに近代的な薬が登場した時期だ。

 そして病院が発展するのと合わせて、ともに進化を続けてきた。現在では手術後の人体をお気に入りの寝ぐらとしている。

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遺伝学的ツールで進化を調べて新しい治療法を考えるヒントに

 細菌が人体の環境に適応するという考えは新しいものではないが、遺伝学的ツールを利用してその進化を調べれば、また新しい治療法のヒントが見つかる可能性もあるという。

 たとえば、病院の食事を単糖や炭水化物が少ないC・ディフィシルが好まないものに切り替えたり、腸内細菌叢を乱さない標的治療薬を開発するといったやり方が考えられるそうだ。

References:Popsci / Natureなど / written by hiroching / edited by usagi

本記事は、海外の記事を基に、日本の読者向けに重要なポイントを抽出し、独自の視点で編集したものです。

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この記事へのコメント 14件

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  1. 消毒薬が原因のひとつなのがわかっているのに新しい消毒薬を作らないのは難しいからなんだろうか

  2. 記事本文中の「株の推定年齢7万6000歳」というの読んでめまいがした。

    まあ、「株の年齢=その菌の種類の年齢」なんだろうけど。

    今現在の人の平均寿命は、80歳位だけど「現世人類」の「株の推定年齢」は15万歳くらいにはなるのかね。

    なんにしても、個人の寿命では考えられない「不滅性(不死性)」のようなものを、「命」は持ってるのだろう。

  3. 手術後には、体の中の免疫機構が大幅に機能ダウンするからね
    普段だったら、余り注目されない病原体が猛威を振るう時も有る
    増してや、病院内で強化された進化型の病原体が出現とは…、
    抗生物質も効かない耐性菌も増えている事だし、
    昔みたいに体力勝負…みたいな病院生活になって行くのかな?

  4. >たとえば、病院の食事を単糖や炭水化物が少ないC・ディフィシルが好まないものに切り替えたり

    とはいえ、手術後は
    体力が削られていて あまり量をモリモリ食べられない・
    胃腸の機能も低下していて消化力が落ちている
    という状況だからこその、
    即 栄養(カロリー源)になりやすい
    単糖類や炭水化物なんだろうしなぁ…。
    病人に肉や繊維質の野菜をガツガツ食わすのは酷じゃね?
    (家庭の風邪なんかですら、お粥やうどん等がメインだし。)

    「欧米先進国で好まれる糖分たっぷりのジャンク食~」云々は
    この場合は直接は関係ない気がする。

  5. 生命て本当に強いな。だから人類も火星くらい住めるようになるんじゃないかって思いたいけど、結局は火星でも滅んで、代わりに人類の持ち込んだ菌類のどれかが適応するだけになる気もする。そこから進化した知的生命体が人類の化石を見つけてくれるといいけど。

  6. 前までクロストリジウムだったのに改名したんだよな。なんのためなのかよくわからないが。

    1. ※11
      なんか、以前はクロストリジウム属に雑多に混ぜられていたのが、性質が異なるものもあると分かってきて新たな属を作り、その1つがクロストリディオイデス属らしい。

  7. 術後は何故か血糖値が上がったりするから怖いねえ

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