勉強の為に転載しました。
http://www.itmedia.co.jp/business/spv/1810/01/news042.html
2018年10月01日 06時45分 公開
[伏見学,ITmedia]
こんな子どもたちが表舞台で次々と活躍するようになれば、きっと日本の未来は明るい――。心底そう思えるイベントを目の当たりにした。
9月24日、三連休の最終日でにぎわう東京・渋谷において小学生のプログラミングコンテスト「Tech Kids Grand Prix」が初開催された。主催はサイバーエージェントが運営する小学生向けプログラミングスクールのTech Kids School。協賛はミクシィや東京急行電鉄、グーグルなど13団体で、渋谷区および渋谷区教育委員会が後援した。
コンテストの応募条件は、C、C++、Java、Perl、Python、Rubyなどのプログラミング言語、またはビジュアルプログラミング言語のScratchによる作品を開発することで、「ゲーム部門」「自由制作部門」のいずれかを選択できる。2018年4~7月の期間に国内外から1019件のエントリーがあった中で、2次審査を通過した12人が同イベントで最終プレゼンテーションを行った。
小学生とは思えないプログラミング技術やデザイン力を駆使した作品、独創的なアイデアを形にした作品、あったら便利だと感じる作品など多岐にわたる中で、総合優勝したのは、動物のブロックが押し相撲をするゲーム「オシマル」を開発した10歳(小学5年生)の宮城采生さんだった。
宮城さんが開発したゲーム「オシマル」の画面イメージ
小学校でプログラミング教育が必修化するが……
昨今、国内でプログラミングのコンテストやイベントなどが相次いで開かれている。背景にあるのは、2020年度から小学校でプログラミング教育が必修となることだ。
それに先駆けて大小さまざまなスクールや教室が開校するなど機運は高まっている一方で、問題点も浮き彫りになっている。その最たるものが「教員のスキル不足」である。
プログラミング教育の狙いについて、文部科学省は「子どもたちに、コンピュータに意図した処理を行うよう指示できるということを体験させながら、将来どのような職業に就くとしても、時代を超えて普遍的に求められる力としての『プログラミング的思考』などを育むことであり、コーディングを覚えることが目的ではない」と説明する。
しかしながら、教員のスキルがなければ、例えば、プログラミングの公式の暗記などにとどまり、生徒は応用力や実践的な使い方を習得できない恐れがある。結果、英語教育の二の舞になってしまうことが懸念されている。
そうした事態を防ごうと、民間スクールではさまざまな支援が行われている。例えば、中高生向けにプログラミング教育を行うベンチャー企業のライフイズテックでは、教員向けの育成プログラムを実施する。Tech Kids Schoolでは、プログラミング言語やスキルを身に付けることだけを目的にせず、テクノロジーを武器に自らのアイデアを実現し、社会に能動的に働きかけられる人材を育てることを目的に掲げる。
Tech Kids Schoolが主催する今回のイベントでもそのような意識を持った若きイノベーターの発掘を目指しているという。
実際、壇上に立ったファイナリストからもそうした声が何度も発された。多くの小学生プログラマーたちが、人のためになることや周りの課題を解決することを目的にアプリを開発しているのだ。
プレゼンテーションする宮城采生さん
身近な人たちの課題を解決するアプリがずらり
例えば、冷蔵庫にある食材で作れる料理を提案する「たべガチャ」というiOSアプリを発表した吉田拓隼さん(10歳、小5)は、いつも料理の献立に悩んでいる母親を助けたいという思いで開発したという。
自由制作部門で1位を獲得した菅野晄さん(11歳、小6)は、祖母が得意な刺繍をヒントに、誰もが簡単に自分の好きな模様や絵などの図案を作成できるアプリ「写刺繍」を作った。ユニークなのは、刺繍糸メーカーの商品データベースと連携させて、図案のどの部分にどんな種類の糸を使えばいいのかが一目で分かるようにしたことだ。祖母が図案作りに苦労していたので、その課題を解決したいというのが開発の動機になった。
そのほかにも、大嶺結葉さん(12歳、小6)は自分と同じベジタリアン(菜食主義)の人たち、特に2020年の東京オリンピックにやって来る大勢の訪日外国人がレストランなどで困らないようにするために、メニューの具材などを確認できる3カ国語対応のサポートアプリ「Veg-菜」を開発したり、柴田謙さん(11歳、小6)は英語が分からなくても日本語だけで書けるプログラミング言語「うんちく」を開発したりした。
ファイナリストの多くは、恐らくプログラミングを勉強し始めた当初は自分自身が好きなゲームやアプリを作っていただろうが、次第に身近な人たちの悩みや課題を解決することに目を向けるようになったのは興味深い。こうした視点があれば、プログラミング技術の向上とともに、より大きな社会課題の解決をきっと目指すようになるはずだ。そう期待したい。
そしてまた、彼らに共通するのはプログラミングが大好きだということ。同イベントの冒頭でサイバーエージェントの藤田晋社長が「エンジニアは仕事が終わって家に帰っても、趣味でソースコードを書くほどプログラミングが好きだ」と述べていたが、まさに「好きこそ物の上手なれ」で、ぐんぐん成長している。
このような若きプログラマーが数多く誕生し、世界に飛び出して活躍すれば、“テクノロジー後進国”と揶揄(やゆ)される日本の将来も、そう悲観することはないだろう。
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