「欧SAPのERP(統合基幹業務システム)を利用している顧客企業を中心に、我々の製品へのリプレースを促していく」。こう話すのは、クラウド型ERP「Rootstock Cloud ERP」を開発・販売する米Rootstock Softwareの日本法人であるRootstock Japanの杉井要一郎社長だ。
 Rootstock Japanは2018年12月に設立、2019年2月から本格的に活動を開始した。「生産管理や物流などの製造業機能を持ち、多言語多通貨対応できるERPは日本市場に多くない。加えてクラウド向けに開発されたERPもほとんどない。Rootstock Cloud ERPはユーザー企業にとって、新たな選択肢になり得る」と杉井社長は話す。
 Rootstock Cloud ERPの最大の特徴は、米セールスフォース・ドットコム(Salesforce.com)が提供するPaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)の「Lightning Platform(旧Force.com Platform)」を開発・動作基盤としていることだ。「Lightning Platformで動作する業務パッケージは幾つかあるが、生産管理機能を持つERPはRootstockだけ」と杉井社長は話す。
Rootstock Cloud ERPの概要
米セールスフォース・ドットコムの開発・実行基盤である「Lightning Platform」やCRM、SFAなどのSaaSとの連携を特徴の1つとしている
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 「セールスフォース専用」ともいえるERPが、このタイミングで日本市場に進出したのは、「日本市場でもクラウド型ERPの需要が高まると判断したため」(杉井社長)だ。「セールスフォース・ドットコムのSaaSを導入している日本企業は多く、導入の下地はある」(同)とみる。
 その中でもRootstock Japanが狙うユーザーの1つが、「『2025年問題』に直面しているSAPのERPユーザー」(杉井社長)だ。「売上高が100億~1000億円の製造業を中心に、既存ERPからのリプレースを狙いたい」(同)とする。
 SAPの2025年問題は、欧州SAPの主力製品である「SAP ERP」の標準サポート期間が2025年に終了することを指す。後継となる「S/4HANA」はSAP ERPとは機能や動作基盤が異なり、新規導入と同等の工数がかかるケースがあるといわれる。SAP ERPのユーザーはS/4HANAに移行するのか、それとも別製品にリプレースするのかを迫られている。日本には2000社程度のSAP ERPのユーザーがあり製造業のユーザーも多く、Rootstock Cloud ERPの強みである、生産管理関連の機能を売り文句にしていく。
 実際に日本国内でも既にSAPからのリプレース案件を獲得している。研磨剤大手の日本企業Mipoxが現在、Rootstock Cloud ERPを導入中だ。Rootstock Japanはこうした案件を増やしていく。

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