https://eetimes.itmedia.co.jp/ee/articles/2312/22/news069.html
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「SEMICON Japan 2023」で講演(1/2 ページ)
半導体関連技術の総合展示会「SEMICON Japan 2023」にて、「日本半導体産業の発展に向けて 半導体を取り巻く先端開発」と題した講演が行われた。本稿ではその中から、NTTイノベーティブデバイス 本社 代表取締役副社長の富澤将人氏、経済産業省 商務情報政策局 情報産業課長の金指壽氏の講演内容を紹介する。
「SEMICON Japan 2023」(2023年12月13~15日/東京ビッグサイト)にて、「日本半導体産業の発展に向けて 半導体を取り巻く先端開発」と題した講演が行われた。NTTイノベーティブデバイス 本社 代表取締役副社長の富澤将人氏は同社が取り組む光電融合技術の開発の進捗について、経済産業省 商務情報政策局 情報産業課長の金指壽氏は日本政府の半導体業界支援の方向性について語った。
NTT、光電融合技術で「ムーアの法則」の先へ
NTTイノベーティブデバイスの富澤氏は、NTTグループが注力する光電融合技術のメリットや展望を紹介した。NTTイノベーティブデバイスは光デバイスの設計/製造やLSIの設計を手掛けている。
「ムーアの法則」が限界に近づくにつれ、微細化以外の方法でも半導体や電子デバイスの性能を向上させる必要が生じ、パッケージング技術の進展による超高密度実装などさまざまな方法が模索されている。光電融合技術もその一つだ。電気回路と光回路を融合する技術で、省電力化/低遅延化への貢献が期待される。
光電融合技術の活用先として富澤氏はデータセンターを挙げた。注目を集める生成AI(人工知能)の活用などにおいて、現状では1カ所のデータセンターにデータが集中している。しかし電力供給が集中することが問題視され、今後は分散化が進む見込みだ。そうなると、遠隔地で膨大な容量のデータをやりとりする必要が出てくる。そこで省電力/低遅延に強みを持つ光電融合デバイスの活用に関心が高まっている。
NTTイノベーティブデバイスによる光電融合技術開発は、長距離伝送から短距離伝送へ、通信領域からコンピューティング領域へと進んでいく予定だ。通信局舎間、データセンター間の伝送への光電融合技術の適用は既に始まっていて、2025年ごろにボード間、2028年ごろにデバイス内、2032年ごろには素子間での伝送に用いたいとしている。
NTTイノベーティブデバイスが現在手掛ける光電融合デバイスとしては、第1世代にあたる「COSA(Coherent Optical Sub-Assembly)」、第2世代にあたる「CoPKG(光・電子コパッケージ)」があり、いずれも通信用途向けだ。2025年には第3世代として「光エンジン」を商用化予定で、データセンター内での使用を想定する。2028年には第4世代、2032年には第5世代の商用化を計画していて、半導体パッケージ内に組み込んで使用される見込みだという。第4/第5世代デバイスの開発に向けては、光導波路の設計技術の向上、光調芯/検査などの量産技術の開発と自動化などが課題となる。
富澤氏は「光電融合デバイスはこれまで通信領域で用いられてきたが、これからはコンピューティング領域への進出を目指す。さらには、コンシューマー向け用途で活用される可能性も十分にある」と意気込みを語った。
政府方針は「量産支援」から「エコシステム作り」へ
経産省 金指氏は、日本政府の政策の方向性について紹介した。
日本政府は、半導体に関する支援策をステップ1~3の3段階で進めている。ステップ1は足元の生産基盤の強化、ステップ2はRapidusを中心とした最先端の半導体技術/量産基盤の確立、ステップ3は光電融合に代表される将来技術の開発プロジェクトだ。
金指氏はステップ1の生産基盤の強化について、国がキオクシアの四日市工場やMicron Technologyの広島工場の設備投資に向けた助成を行ったことを挙げ、「メモリの重要性を再認識して、開発の支援をより一歩踏み込んで進めていきたい」とした。TSMCの製造子会社であるJASMについても、九州7県での2023年度の設備投資額(計画値)が前年度実績比61.7%増の1兆105億円となったことを紹介し「半導体業界にとって重要であるのはもちろん、経済全般にも非常に大きな効果が出ている」と述べた。
今後については、半導体製造の後工程や、パワー半導体への支援を拡大していくことを強調。パワー半導体については、2023年12月8日に発表されたロームと東芝への助成を「支援第1弾」とし、「5年後、10年後に向け、パワー半導体が日本の産業として継続的に拡大していくための『根』を作っていきたい」と語った。
ステップ2の次世代半導体技術については、これまで国がRapidusに約3300億円を支援してきたことを説明。加えて、2023年11月に成立した令和5年度補正予算でもRapidus向けの予算を確保したといい、「今後、事業進捗や必要な費用を精査しながら、2024年春ごろには具体的な金額を確定させる」とした。
ステップ3の将来技術の開発については、代表的なものは光電融合技術だとし、「日本発の技術でもう一度ゲームチェンジを起こせる可能性を追求する」と述べた。
さらに金指氏は、AI技術についても言及した。2023年11月に開催されたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)の首脳会議に合わせ、半導体とAIに関連する日米の主要プレイヤーによるディスカッションを開催したという。令和5年度補正予算でも半導体/生成AIの開発支援に約2兆円を確保している。
金指氏は日本政府の半導体業界への支援について、総括として「これまでは量産を中心に支援してきた。今後もその支援は続けながら、産業界により深く根差すエコシステム作りや人材育成に取り組んでいく」と語った。
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