2024年1月27日土曜日

世界初のn型導電性チャネルダイヤモンド電界効果トランジスタを開発 ~ダイヤモンドCMOS集積回路への道~ NIMS (国立研究開発法人物質・材料研究機構) 2024.01.25

https://www.nims.go.jp/news/press/2024/01/202401250.html

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NIMSは、世界で初めてダイヤモンドのn型チャネル動作による金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ (MOSFET) を開発しました。

概要

  1. NIMSは、世界で初めてダイヤモンドのn型チャネル動作による金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ (MOSFET) を開発しました。本成果は一般電子機器用ICに代表されるモノリシック集積化 (1つの半導体基板内に複数のデバイスを集積) に向けて耐環境型の相補型金属酸化膜半導体 (CMOS) 集積回路の実現、および将来的に強く期待されるダイヤモンドのパワーエレクトロニクス応用に対して重要な一歩となります。
  2. ダイヤモンド半導体では、高い絶縁耐圧や高速スイッチングなどの優れた特性を、高温、高放射線被曝環境 (原子力発電の炉心近傍等) などの極限環境で実現することが原理的に可能です。その利点を生かして環境安定性に優れた制御系の集積回路に利用するために、高機能化CMOSの実現が期待されています。CMOS構造にはp型とn型の双方の導電性チャネル形成が必須ですが、ダイヤモンドではn型チャネルを持つMOSFETが実現できていませんでした。
  3. 今回、NIMSの研究チームは世界に先駆けて開発した高品質単結晶n型ダイヤモンド半導体成長技術をベースに、n型チャネルダイヤモンドMOSFETを開発しました。低濃度のリンをドープした原子的に平坦なテラスを有する高品質n型ダイヤモンドの結晶成長に成功しました。これをチャネル層に用いたMOSFET構造において、高濃度でリンをドープしたダイヤモンドをソースおよびドレインのコンタクト層として使用することで接触抵抗を大幅に低減し、n型チャネルのトランジスタ特性を確認しました。トランジスタ性能の重要な指標である電界効果移動度は、300℃において約150cm2/V・secの高い値を示し、優れた高温動作特性が確認できました。
  4. 本成果は、省エネパワーエレクトロニクス、スピントロニクス、耐環境型の微小電気機械システム (MEMS) センサーの実現に向けたCMOS集積回路に応用されることが期待できます。
  5. 本研究は、NIMS電子・光学材料研究センターの廖 梅勇(別ウィンドウで開きます)、Huanying Sun、小泉 聡(別ウィンドウで開きます)によって行われました。
  6. 本研究成果は、Advanced Science誌に2024年1月20日オンラインにて掲載されました (doi.org/10.1002/advs.202306013) 。

プレスリリースの図

掲載論文

題目 : High-temperature and high-electron mobility metal-oxide-semiconductor field-effect transistors based on n-type diamond
著者 : Meiyong Liao(別ウィンドウで開きます), Huangying Sun, Satoshi Koizumi(別ウィンドウで開きます)
雑誌 : Advanced Science (Wiley; doi.org/10.1002/advs.202306013)
掲載日時 : 2024年1月20日 (オンライン掲載)
DOI : 10.1002/advs.202306013(別ウィンドウで開きます)

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