ヴァルター機関 - 主なヴァルター機関 - わかりやすく解説 Weblio辞書
ヴァルター機関
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/19 16:26 UTC 版)
主なヴァルター機関
ヴァルター R 1-203
1938年に試験用エンジンとして開発された。高温ヴァルター機関が元になった。燃焼室がある。T液(過酸化水素)とM液(メタノール)が使用される。エンジンはターボポンプを断続することで制御された。このポンプはT液とZ液(過マンガン酸ナトリウムまたは過マンガン酸カリウムの水溶液)によって生成された蒸気で駆動された。最大推力は500kgf (4.9 kN) で60秒間維持された。試作エンジンは世界で最初の運用可能なHe 176ロケット飛行機の動力として搭載された。このエンジンを元により強力なロケットエンジンであるHWK 109-509が開発された。
ヴァルター HWK 109-500
内燃機関というよりも化学反応により低温ヴァルター機関として作動する。T液(過酸化水素)とZ液(過マンガン酸ナトリウムまたは過マンガン酸カリウムの水溶液)が推進剤として使用される。このエンジンはロケットの打ち上げ支援の為に燃料コンテナと組み合わせて使用された。約500kgf (4.9 kN) の推力を30秒間生み出した。1937年から重爆撃機やグライダーが離陸時に補助推進器として使用し、使用後はパラシュートで回収された。
ヴァルター HWK 109-507
HWK 109-507液体燃料ロケットエンジンはHs 293誘導爆弾の動力として使用する為に開発された。
このエンジンは燃焼室を備え、燃料タンクと燃料を圧送する為の圧力容器が備えられていた。姿勢を安定させる為にノズルは推力が機体の中心を通るように下向きになっていた。
T液(過酸化水素)とZ液(過マンガン酸ナトリウムまたは過マンガン酸カリウムの水溶液)が推進剤として使用された。この二種類の推進剤を混ぜることによって化学反応が生じるが、燃焼ではなく低温モードとして知られるモードだった。推力は590kgf (5.78kN) を10秒間維持した。
ヴァルター HWK 109-509
メッサーシュミットMe163やBachem Ba 349に搭載された。
特呂二号原動機
濃度80%の過酸化水素から構成される甲液を酸化剤に、メタノール57%/水化ヒドラジン37%/水13%の乙液を混合させる事により化学反応をさせるというシステムで秋水に搭載された。
ネイピア スコーピオン
ネイピアが開発したRATO用の推力4,000 lbf (17.8 kN)のロケットエンジンで1956年と1957年にイングリッシュ・エレクトリック キャンベラに搭載されて高高度記録を樹立した。実戦配備されず。
デ・ハビランド スプライト
3Vボマーやデ・ハビランド DH.106 コメットの離陸補助用として開発が進められたものの、ジェットエンジンの急速な性能向上により配備には至らなかった。
デ・ハビランド スペクター
サンダース・ロー SR.177に搭載するために開発が進められたが、計画は中止された。
アームストロング・シドレー ベータ
HWK 109-509を原型として超音速飛行用に開発された。1948年10月に試験機は高度35,000 ftを930 mph (マッハ1.5)で飛行した。
アームストロング・シドレー ステンター
ブルー スティール ミサイルでの加速と巡航に使用された。
ブリストル・シドレー BS.605
南アフリカ空軍の高山地帯で運用するためにRATOとしてブラックバーン・バッカニア S.50で使用された推力4,000 lbf (18 kN) のエンジン。
ブリストル・シドレー ガンマ
ロールス・ロイス・リミテッドで生産された過酸化水素とケロシンを推進剤とするブラックアローロケットのロケットエンジン。
ロールス・ロイス ラーチ
ブラックアローロケットの改良型としてロールス・ロイス・リミテッドで開発された過酸化水素とケロシンを推進剤とするロケットエンジン。
- 1 ヴァルター機関とは
- 2 ヴァルター機関の概要
- 3 戦後のヴァルター機関
- 4 主なヴァルター機関
- 5 関連項目
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