https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00154/02124/
JR東日本とCalTa(カルタ、東京・港)、建ロボテック(香川県三木町)、DataLabs(データラボ、東京・中央)の4社が、建設ロボットを駆使した配筋検査のデジタルトランスフォーメーション(DX)に挑戦している。4社は格子状に鉄筋を組んだ実験用の現場で、新技術の実用性を検証した。
検証に挑んだ4社のうちCalTaと建ロボテック、DataLabsの3社は、デジタル技術で建設業界に変革をもたらそうとしている気鋭の建設系スタートアップだ。今回、配筋検査のDXを実現するため、デジタルツインツールや建設ロボット、自動モデリングツールといったコア技術をそれぞれ持ち寄った。検証の場はJR東日本が用意した。検証に使用した配筋は上下段を構成する主鉄筋と配力筋、補強用のあばら筋(スターラップ)から成る。
ロボットを活用した配筋検査の手順は次の通り。まず建ロボテックの鉄筋結束用ロボット「鉄筋結束トモロボ」の前方上部に、鉄筋との距離が約50cmになるように小型ビデオカメラ「GoPro」を設置。ロボットに配筋の上を自動走行させながら動画を撮影する。その際、配筋の大きさを把握するため、現場に4カ所配置した「ARマーカー」も映るようにする。マーカーは事前の測量などで座標が分かるようにしておく。
その後、CalTaのデジタルツインツール「TRANCITY(トランシティ)」を使い、撮影した動画から点群データを作成する。そしてDataLabsの自動モデリングツール「Modely(モデリー)」を用いて、点群データから鉄筋の3Dモデルを自動で生成。それを基に配筋検査の帳票を出力する。
検証ではModelyによって自動でモデリングできた点群データの割合を算出した。主鉄筋と配力筋はほぼ100%、あばら筋は60%超を自動でモデル化できた。比較用にレーザースキャナーを現場の4カ所に固定して点群データを取得する方法も試した。結果は上段の配力筋のモデル化率は100%だったものの、それ以外はロボットを使う場合よりも低かった。高精度な点群データを取得する上で、ロボットを使う方法が有効であることを示した。
従来の配筋検査では作業員が4人ほどでチームを組み、目視やメジャーで計測していた。今回検証したロボットによる配筋検査であれば1人で検査が可能だ。近年、作業員がタブレット端末などを使って鉄筋を撮影する検査方法が登場しているが、ロボットを活用すれば作業員はロボットを見守るだけでよい。3Dモデルのほとんどが自動で生成されるため、手動でモデリングする手間も少ない。検査にかかる労力を従来の方法よりも減らせる。
「今回は配筋検査のみでトモロボを使用したが、本来は鉄筋を結束するためのロボットだ。鉄筋結束と配筋検査を同時に実施できれば、さらなる作業の効率化が見えてくる」。CalTaの井口重信最高執行責任者(COO)はこう展望する。
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