食品の製造・販売を手掛けるリセットジャパン(沖縄県今帰仁村、玉城喜次社長)は16日、美肌効果や抗がん作用があるとされるアミノ酸「L-システイン」が島ラッキョウの濃縮エキスに含まれていると発表した。沖縄工業高等専門学校との共同研究で、同成分の含有が初めて明らかになった。同社は来年1月27日、沖縄県産島ラッキョウの成分を濃縮したサプリメントとドリンク「譽(ほまれ)」を発売する。同社によると、県内でL-システインを高濃度で含む製品開発は初めて。
 同校技術室の藏屋英介副技術長によると、「L-システイン」は従来、熟成ニンニクにのみ含まれると考えられていた。島ラッキョウのエキスの機能成分を研究していた両機関は、ラッキョウにもニンニク同様、イオウ原子を含むアミノ酸があることに着目。調査の結果、島ラッキョウの濃縮エキス100ミリリットル当たり6・4ミリグラムの「Lーシステイン」を含むことが分かった。
 同作物には「らっきょうフルクタン」という水に溶ける食物繊維も多く含まれ、整腸作用も期待できるという。
 熟成ニンニクの同アミノ酸の含有量は100グラム当たり9・4ミリグラム。島ラッキョウの含有量はニンニクより少ない一方、1年近く熟成させる手間などを考えると、収穫後すぐに加熱濃縮できるラッキョウにも優位性はあるという。
 また、同社「島らっきょ加工研究所」の小花一夫技術顧問を中心に、ラッキョウを過熱、濃縮する過程で臭いも取り除く同社独自の「脱臭濃縮エキス抽出機」を開発。同技術で特許も出願している。
 玉城社長によると、島ラッキョウの市場価格は3年前に1キロ当たり100円以下に暴落したが、近年は1キロ5千円の値が付くなど変動が激しい。同社製品の原料分は伊江島や古宇利島など県北部を中心に、契約農家から1キロ700円程度で買い取ることで、農家の収入の安定も見込めるという。来年度は年間2トンほどの仕入れを予定している。
 玉城社長らは同日、名護市の同校で会見し「農家の所得向上につなげたい。将来的には機能性表示食品の取得し、沖縄の人を元気にして、世界へ島ラッキョウを発信したい」と意欲を話した。