2019年10月11日金曜日

【日経新聞1面】送電網空き不足深刻、再エネ普及のため早急対策を

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2019/10/11 8:04 FISCO
送電網空き不足深刻、再エネ普及のため早急対策を

再生エネ、送電網使えず、東日本、5割「空きなし」、新規参入の障壁に

大手電力会社が持つ送電線の容量不足が深刻になっている。日本経済新聞社が大手電力のデータを基に調べたところ、北海道や東京など東日本で送電線の5~8割が空き容量不足に陥っている。未稼働の原子力発電所のために容量を確保し再生可能エネルギーを接続し難い実態がある。送電線の有効な使い方が広がらなければ現在16%の再生エネの比率を2030年に22~24%に引き上げる国の政策にも影響を及ぼしかねない。

送電線は発電所から家庭へ電力を送る役割で、日本では停電など非常時に備え原則として普段はピークの容量の半分しか使わず、電力会社は発電所を作る際に送電線を使う権利を確保する。今回の調査では使える容量が全て埋まり、新設の発電所に対して「空き容量不足」。電力各社が自社のホームページで公開している送電線の空き容量の目安などのデータを基に調べた結果、関東や東北では5割、北海道では8割近くの送電線が容量不足、関西と中国が2割程度の不足、九州や北陸、四国では主要送電線では容量が確保されていた。

送電線の権利は新設計画のあった大型の火力や原子力発電所で権利が埋まり、電力大手は未稼働でも今後の再稼働を目指す原発の権利を維持している。再生エネ各社は接続できないことが電力供給への参入障壁になっている。12年に再生エネの固定価格買い取り制度の導入され、太陽光や風力発電などの新設が相次ぎ発電量が一気に増えた。再生エネ事業者などが新規に発電所を作る際に、容量不足の地域では電力大手が送電線の整備費用の一部負担を求め、負担が重いため、発電所建設を断念する事業者が相次いでいる。

経済産業省は、非常時に備えた送電容量の5割の一部を再生エネの事業者に開放するほか、最大出力の確保枠を実際の発電量に即するよう電力大手に促している。東京電力HD<9501>は9月、送電容量が逼迫した場合に一時的な出力抑制に応じる前提に、送電線の使用枠を再生エネ事業者などに開放し始めた。欧米では地域の電力を蓄電池で融通し合うスマートグリッドなどが進み、日本でも導入が期待される。電力大手が整備した送電網は老朽化で太陽光や風力は発電量が安定せず送電線に負荷が掛かり易く、20年4月から発電と送電の部門が分離され、一層、大規模投資が難しくなる。

わが国の「送電網」の空き容量不足は東日本を中心に深刻で、国が目指す再生可能エネルギーの普及を加速させるためには、非常時対策容量の開放など制度の早期改正やスマーチグリッドの積極導入が必須の課題と言えそうだ。

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