2019年10月8日火曜日

世界初の経口GLP-1受容体作動薬の経口セマグルチドによる心血管死・全死亡が半減

https://medical-tribune.co.jp/news/2019/0613520436/
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PIONEER 6試験

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 心血管リスクが高い2型糖尿病患者において、経口GLP-1受容体作動薬セマグルチド投与により心血管死および全死亡が約50%減少することが示され、同薬の心血管安全性が確認された。カナダ・Toronto General HospitalのMansoor Husain氏らが第Ⅲa相プラセボ対照ランダム化比較試験PIONEER 6の結果を第79回米国糖尿病学会(ADA 2019、6月7~11日、サンフランシスコ)で発表。詳細はN Engl J Med(2019年6月11日オンライン版)に同時掲載された。

MACE抑制でプラセボに対する非劣性を確認

 PIONEER 6試験では、21カ国で心血管リスクが高い2型糖尿病患者3,183例
(平均年齢66歳、男性68.4%)を登録、うち2,695例(85%)が
心血管疾患または慢性腎臓病を有する50歳以上、488例(15%)が
心血管危険因子のみを有する60歳以上であった。これらの患者を、
標準の糖尿病治療薬に追加して経口セマグルチド14mgを1日1回投与する群
(1,591例)とプラセボを投与する群(1,592例)に1:1でランダムに割り付け、
中央値で15.9カ月追跡した。
 主要評価項目は、ランダム化から主要心血管イベント(MACE:心血管死、
非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中の複合)の初発までの期間とした。
 MACE発現は、プラセボ群の76例(4.8%)に対して経口セマグルチド群では
61例(3.8%)であった〔ハザード比(HR)0.79、95%CI 0.57~1.11〕。
95%CI上限が事前に設定された非劣性マージンの1.8を下回り、
心血管安全性に関して経口セマグルチドのプラセボに対する非劣性が示された
(非劣性のP<0.001)。

消化管有害事象はプラセボに比べ増加

 主要評価項目の構成要素のうち、心血管死はプラセボ群に対して
経口セマグルチド群で約50%の有意な減少が認められた
(経口セマグルチド群0.9% vs. プラセボ群1.9%、HR 0.49、95%CI 0.27~0.92)。
しかし、非致死性心筋梗塞(同2.3% vs. 1.9%、1.18、0.73~1.90)
および非致死性脳卒中(同0.8% vs. 1.0%、0.74、0.35~1.57)に関しては
両群で有意差がなかった。
 また、全死亡に関してはプラセボ群に比べて経口セマグルチド群で
約50%減少が認められた(経口セマグルチド群1.4% vs. プラセボ群2.8%、
HR 0.51、95%CI 0.31~0.84)。
 悪心・嘔吐および下痢を含む消化管有害事象の発現率は、
プラセボ群(1.6%)に比べて経口セマグルチド群(6.8%)で高かったが、
大半は重篤なものではなかった。

GLP-1受容体作動薬では初の経口薬

 Husain氏らは、PIONEER 6試験の結果は皮下投与セマグルチドの効果を検討した
SUSTAIN-6試験(N Engl J Med 2016; 375: 1834-1844)の結果と一致しており、
セマグルチドの心血管安全性プロファイルは投与経路によらず経口薬と皮下注射薬で
同等であることが示唆されたとしている。
 PIONEER 6試験の治験責任医師で米・University of North CarolinaのJohn Buse氏は
「経口セマグルチドは米食品医薬品局(FDA)、欧州医薬品庁(EMA)、
カナダ保健省で現在審査中であり、承認されればGLP-1受容体作動薬では初の
経口薬になる。GLP-1受容体作動薬は、おそらく最も強力な血糖降下薬であり、
体重減少効果や心血管系に対する有益な作用のエビデンスも示されている。
経口薬が利用可能になれば、処方する側と服用する患者の双方にとって利便性が
高まるものと期待される」と述べている。
(ADA 2019取材班)
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