2019年10月17日木曜日

爆発事故・災害ニュース - J-Stage

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178 安 全 工 学 179 Vol . 47 No. 3(2008)  化学災害ニュース No . 45 事故・災害ニュース 化学災害ニュース No. 45 筆者が日頃収集している爆発事故関連のニュースを 一般市民の知りうる情報(報道情報)から抜粋してお 知らせする. ニュースの形式は,独立行政法人産業技術総合研究 所安全科学研究部門爆発安全研究コアが同所先端情報 計算センターの協力を得て WWW 上で公開している 「リレーショナル化学災害データベース」(http: //riodb.ibase.aist.go.jp/riscad/)の項目の一部を抜粋し, 以下のとおりとした.1 . 発生年月日,2 . 住所,3 . 業種, 4 . 関連物質,5 . 死傷者,6 . 概要. 事故原因など内容に関しては,事故の詳細な調査が 行われる前の報道情報であるため,その後の調査結果 とは異なる事故発生直後の推測に基づいた内容が含ま れることをご了承願いたい. 〈金属加工工場の溶解炉でガス中毒〉 1 . 2006 年 1 月 13 日 9:00 頃 2 .  三重県多気郡大台町 3 .  鉄素形材製造業 4 .  一酸化炭素 5 .  死者 1 名,重体 1 名 6 .  金属加工工場にある高さ約 5 m,直径約 1 m の 円柱状の鋳物溶解炉で炉内の保守点検作業中に 作業員がガス中毒になった.作業員 1 名が死亡 し,1 名が重体となった.警察の調べでは,鋳 物製造時の熱で摩耗した炉の内壁の交換作業を しており,この際に一酸化炭素などの有毒ガス が発生したか,あるいは,酸欠になった可能性 がある. 〈核燃料再処理工場の配管から硝酸溶液漏えい〉 1 . 2006 年 1 月 14 日 17:30 頃 2 .  青森県北上郡六ヶ所村 3 .  核燃料製造業 4 .  硝酸,硝酸塩,ウラン,プルトニウム 5 . なし 6 .  核燃料再処理工場で配管から硝酸溶液約 1 . 3 l が漏えいした.漏えい液から放射能は検出され ず,周辺環境への影響はなかった.同社の調べ では,ウランおよびプルトニウムを含む硝酸溶 液からウランを抽出する機器へつながる配管の うち,酸性度を測定する機器の配管の差し込み が不十分で,すき間から漏えいした. 〈ビルで非常発電機の点検中に爆発〉 1 . 2006 年 1 月 15 日 9:00 頃 2 .  大阪府大阪市中央区 3 . ビルメンテナンス業 4 .  不明 5 . なし 6 . 8 階建てのビルの屋上で,月 1 回行われる非常 用発電機の点検のため発電機のスイッチを入れ たところ,数分後に爆発が起きた.直径 1 . 2 m, 重さ 30 kg の鉄製の屋根が吹き飛び,窓ガラス などが破損した.けが人はなかった.警察の調 べでは,付近に鳥の焼けた死骸や羽が散乱して いたことから,ダクト内に鳥が巣などを作って いたためガスが詰まり,爆発した可能性がある. 〈製油所で原油タンク洗浄中に爆発〉 1 . 2006 年 1 月 17 日 14:20 頃 2 .  愛媛県今治市 3 .  石油精製業 4 .  原油 5 .  死者 5 名,軽傷 2 名 6 .  製油所で高さ 24 . 3 m,内径 75 . 5 m,容量 10 万 kl の縦置き円筒型浮屋根式原油タンクの内部洗 浄中に爆発が起きた.マンホール保温外板, フォームシールに亀裂が入り,入槽用仮設足場, キャプタイヤケーブルが焼損した.洗浄してい た協力会社の作業員 7 名のうち,5 名が死亡し, 2 名が軽傷を負った.警察および事故調査対策 委員会の調べでは,浮き屋根が底部から 1 . 9 m 程度になるまで原油を抜き,底部 20~30 cm に 溜まったスラッジ約 810 kl を軽油により溶解さ せ,スラッジを回収する作業を行っていた.人 体および工具に帯電した静電気,投光器および 配線の漏電などによるスパーク,鋼製工具,機 材接触による火花などが着火源となりスラッジ から気化した可燃ガスに引火した可能性があ る.再発防止策として,極力無人で洗浄する工 法の採用,入槽時の許可基準の安全性強化,タ ンク内への電気機器などの持ち込み制限の強 化,協力会社とのコミュニケーションの強化な どが公表された. 〈中学校の実験で水素が爆発〉 1 . 2006 年 1 月 20 日 0:40 頃 2 .  東京都町田市 3 .  中学校 4 .  水素,亜鉛,塩酸 178 安 全 工 学 179 Vol . 47 No. 3(2008)  化学災害ニュース No . 45 5 .  重傷 1 名,軽傷 4 名 6 .  中学校の理科室で水素を発生させる実験中に 三角フラスコが爆発した.周辺にいた教員 1 名 を含む 36 名のうち,生徒 1 名がフラスコの破 片で手を切り 6 週間のけがを負ったほか,4 名 が軽傷を負い救急車で病院に搬送された.警察 などの調べでは,三角フラスコ内で亜鉛と塩酸 を混合し,水素を発生させる実験を行ってい た.生徒が水素を捕集していたガラス管にマッ チの火を近づけた可能性がある. 〈高専でポリ塩化ビフェニルを含む廃液が漏えい〉 1 . 2006 年 1 月 27 日 2 .  北海道苫小牧市 3 .  高等専門学校 4 . ポリ塩化ビフェニル 5 . なし 6 .  工業高等専門学校でドラム缶内に貯めていた ポリ塩化ビフェニル(PCB)を含む廃液約 100 l が漏えいした.縦 5 . 2 m,横 6 . 4 m,深さ 1 . 5 m の範囲の土壌で 0 . 004~0 . 05 mg/kg の PCB が 検出され,汚染が確認された.同校などの調べ では,PCB を含む廃液を貯蔵していたドラム缶 の底部が腐食し,直径 1~2 cm の穴が 2 か所開 き,貯蔵建屋の床を通じて土壌へ流出した.同 校では,PCB が確認された範囲の土壌を除去 し,今後は,ドラム缶下に受け皿を置き貯蔵 する. 〈原子力発電所のポンプから放射性物質を含む水が漏 えい〉 1 . 2006 年 1 月 27 日 2 .  福島県双葉郡双葉町 3 .  発電所 4 . トリチウム,放射性物質 5 . なし 6 .  原子力発電所の定期検査中のタービン建屋地 下埋設部分でトリチウムなどの放射性物質を含 む水 1 400 l が漏えいした.外部への放射能の 影響はなかった.同社の調べでは,復水系ポン プ用の穴 3 か所の底から水が漏えいしており, 通常この穴は,ポンプの容器に覆われているた め点検対象になっていなかった. 〈中国の爆竹工場が爆発〉 1 . 2006 年 1 月 29 日 16:00 頃 2 .  中国・河南省林州市 3 .  煙火製造業 4 .  爆竹,玩具煙火 5 .  死者 36 名,重傷 8 名,傷者 40 名 6 .  中国・河南省林州市の爆竹工場で倉庫内の爆 竹が爆発した.同倉庫および近くの寺院が倒壊 した.寺院への参拝客など少なくとも 36 名が 死亡,8 名が重傷を負い,40 名が負傷した.旧 正月を祝うため爆竹を使用していた子供がふざ けて爆竹工場の通風孔から倉庫内に爆竹を投げ 入れた可能性がある.同工場では,違法で爆竹 を製造,保管していた. 〈樹脂製造工場でポンプから漏えいしたジフェニル エーテルが引火〉 1 . 2006 年 2 月 2 日 14:55 頃 2 .  愛知県名古屋市港区 3 .  有機化学工業製品製造業 4 . ジフェニルエーテル 5 .  重傷 2 名 6 .  樹脂製造工場の屋外に設置された高さ 30 cm, 直径 70 cm の熱媒循環ポンプから循環させてい たジフェニルエーテルが漏えい,引火した.ポ ンプおよびその周辺が損傷し,約 5 時間後に鎮 火した.ポンプ非常停止による警報発報の点検 作業に当たっていた 2 名がやけどで重傷を負っ た.警察の調べでは,何らかの原因でポンプが 非常停止したため,作業員がノンフューズブ レーカーを復帰して数回再起動させた際に,ポ ンプ内部でアーク放電が発生してポンプ内側の 接液部および外側のケーシングが溶断,直径 2 cm 程度の穴が開き,高温のジフェニルエー テルが噴出した可能性がある. 〈フェリー航行中に積載していた自動車から出火〉 1 . 2006 年 2 月 2 日 21:30 頃 2 .  紅海 3 .  外航海運業 4 .  不明 5 .  死者 195 名,行方不明者 774 名 6 . エジプトからサウジアラビアへ向けて紅海を 運航していた 11 800 トン,定員 1 400 名のフェ リーで火災が起きた.消火作業中に浸水し沈没 した.乗員乗客 1 370 名のうち,401 名が救助 されたが 195 名が死亡した.当局の調べでは, 出航後 2 時間以内に積載していた自動車 220 台 の中のトラックの積み荷から出火した.一時港 へ引き返そうとしたが鎮火の報告を受け,航行 180 安 全 工 学  化学災害ニュース No . 45 181 Vol . 47 No. 3(2008)  化学災害ニュース No . 45 を継続したところ火災が再び起きた.同船は定 員の増加を目的に改修され,転覆しやすい構造 になっていた可能性がある.また,同船には充 分な救命ボートが用意されておらず,救助船の 到着が遅れるなどし,被害が拡大した. 〈製油所の水素化分解装置で火災〉 1 . 2006 年 2 月 5 日 13:10 頃 2 .  北海道室蘭市 3 .  石油精製業 4 .  重油,灯油,軽油,水,硫化水素 5 . なし 6 .  製油所にある水素化分解装置のポンプ付近か ら出火した.同装置,残油脱硫装置の機器およ び配管類が焼損し,約 3 時間後に鎮火した.け が人はなかった.事故調査委員会の調べでは, ポンプ本体のドレン配管の材質が通常よりも硬 度が高かったため,内部流体である重油に微量 含まれる水,硫化水素および熱等による応力が 複雑に作用し,硫化物応力割れが発生した.亀 裂から漏えいした重油は,配管周辺の保温材に 染み込み,ポンプの熱により酸化反応が進行, 反応熱が蓄積し発火に至った可能性がある.再 発防止策として,類似機器の材質の硬度を点検 し,ポンプ製作検査基準に硬度測定を実施する ことが公表された. 〈原子力関連研究施設のプラズマ溶融炉で火災〉 1 . 2006 年 2 月 13 日 15:30 頃 2 .  茨城県那珂郡東海村 3 .  学術研究機関 4 .  炭化アクリル繊維 5 . なし 6 .  原子力関連研究施設のプラズマ溶融炉で放射 性廃棄物を模擬したコンクリート片約 1 トンを 溶融する実験中に火災が起きた.溶融炉に取り 付けられていた蛇腹の一部が焼損し,約 2 時間 半後に鎮火した.けが人はなかった.同施設の 調べでは,実験開始前の点検で,直径 2 m,長 さ 1 m の溶融物排出口と受け容器を接続する蛇 腹内部のスリーブが破損していることが確認さ れ,破損箇所を覆うように広範囲に耐熱性の低 い炭化アクリル繊維布により補修した.このた め,排出の際に,高温の溶融物が布に付着し引 火した.また,今回の実験では,以前より溶融 物の流動性を高めており,溶融物の飛散量も増 加していた. 〈核燃料再処理工場で排煙設備のバッテリーから出火〉 1 . 2006 年 2 月 14 日 12:18 頃 2 .  青森県上北郡六ヶ所村 3 .  核燃料製造業 4 . バッテリー,ほこり 5 . なし 6 .  使用済み核燃料再処理工場の使用済燃料受入 れ・貯蔵管理建屋 2 階の常用空調機室にある排 煙設備のディーゼルエンジン始動用モータの バッテリーが発火した.バッテリー上面 40 cm ×25 cm のうち約 2/3 が焼損した.けが人はな かった.バッテリー製造会社の調べでは,バッ テリー端子とバッテリー本体を固定する押え金 具との隙間は 1 mm 程度しかなく,また,隙間 へ電解液のにじみ上がりが起き,ほこりなども 蓄積していることから,絶縁が低下し漏電した 可能性がある.押え金具は,長辺と短辺をもつ L 字型をしており,通常は端子と接触しないよ う短辺側をバッテリー上面に取り付けるが,同 バッテリーでは長辺側が上面に取り付けられて いた.約 10 年前に排気設備のファンモータ交 換工事に伴い,バッテリーが取り外され,その 後,元に戻す際に,押え金具を誤って取り付け た可能性がある. 〈メキシコの炭鉱でガス爆発〉 1 . 2006 年 2 月 19 日 2 . メキシコ・サンフアンデサビナス 3 .  石炭・亜炭鉱業 4 . メタン,石炭,一酸化炭素 5 .  死者 65 名,傷者 12 名 6 . メキシコ・コアウィラ州サンフアンデサビナ スの炭鉱でガス爆発により土砂崩れが起きた. 作業員 65 名が坑内に閉じ込められ死亡し,12 名がやけどなどを負い病院に搬送された.現地 の報道情報によると,炭坑入口から約 1 . 5~ 2 . 0 km,深さ約 300 m の地点で滞留したガスに 引火した可能性がある. 〈玩具煙火製造工場の倉庫で爆発〉 1 . 2006 年 2 月 21 日 11:20 頃 2 .  福岡県八女市 3 .  煙火製造業 4 .  玩具煙火 5 .  死者 1 名 6 .  敷地面積 7 000 m2 の玩具煙火製造工場内にある 半製品 480 kg を保管する 15 m2 のコンクリート 180 安 全 工 学  化学災害ニュース No . 45 181 Vol . 47 No. 3(2008)  化学災害ニュース No . 45 平屋建の倉庫で爆発が起きた.同倉庫の屋根が 吹き飛び,火の粉などにより約 20 m 離れた場 所に天日干ししていた玩具花火 15 000 発に延 焼した.同倉庫内で在庫確認をしていた工場責 任者 1 名が死亡した. 〈演劇の公演中に火災〉 1 . 2006 年 3 月 22 日 18:30 頃 2 .  東京都中央区 3 .  劇場 4 .  煙火 5 .  軽症 4 名,避難 1 600 名 6 .  花火などを使用した演劇の公演中に火災が起 きた.約 30 分後に鎮火したが,大道具および 小道具などの舞台装置が焼け,公演中止に伴い チケットの払い戻しが行われた.煙により観客 および従業員 4 名が病院に搬送されるなど 38 名が不調を訴え,1 600 名が避難した.警察の 調べでは,演出に使用した低温花火の火花が防 災シートの間を通り,舞台の下にある道具置き 場の紙吹雪に引火した. 〈スクラップ置き場で重機使用中に火災〉 1 . 2006 年 4 月 2 日 12:46 頃 2 .  福岡県福岡市東区 3 .  鉄スクラップ卸売業 4 . プラスチック? 5 . なし 6 .  自動車,自転車,電化製品などの金属スクラッ プおよび廃プラスチックなど約 2 500 トンを保 管する資材置き場で火災が起きた.約 18 時間 後に鎮火したが,保管していたスクラップ 2 000 トンが焼け,付近の道路は一時通行止め となった.けが人はなかった.警察の調べでは, 作業員 5,6 名が重機を使って移動作業をして いる際に自然発火した可能性がある.付近では 強風注意報が発令されており,消火活動が難航 した. 〈タンクローリー横転でガソリン漏えい〉 1 . 2006 年 4 月 6 日 6:00 頃 2 .  大阪府吹田市 3 .  道路貨物運送業 4 . ガソリン 5 .  軽傷 1 名 6 .  高速道路でタンクローリーが中央分離帯に衝 突横転して積載していたガソリン 16 kl のうち 約 8 kl が約 500 m2 にわたって漏えいした.火 災は起きなかったがタンクローリーが損傷し, 高速道路の上下線約 9 km が 5 時間通行止めと なった.運転手が右手に軽傷を負った.警察の 調べでは,現場は見通しのよい直線道路で,脇 見運転などにより前を注視していなかったた め,ブレーキをかけた前方の乗用車を避けるた め右にハンドルをきり過ぎ,中央分離帯に衝突 した. 〈ガラス製品製造工場で溶融炉からガラスが流出〉 1 . 2006 年 4 月 6 日 10:05 頃 2 .  東京都板橋区 3 . ガラス・同製品製造業 4 . ガラス 5 . なし 6 . ガラス製品製造工場で運転中の溶融炉から液 状化した高温のガラス 7 . 5 トンが流出した.け が人はなかった. 〈製油所の水素製造装置から水素が漏えいし火災〉 1 . 2006 年 4 月 16 日 5:40 頃 2 .  千葉県市原市 3 .  石油精製業 4 .  水素,水,二酸化炭素 5 . なし 6 .  製油所の水素製造装置内にある気液分離槽か ら内部の水素が漏えいし,火災が起きた.同装 置および減圧軽油脱硫装置が破損し,約 3 時間 後に鎮火した.けが人はなかった.事故調査委 員会の調べでは,内部流体である水素,二酸化 炭素,水などにより気液分離槽胴板のエロー ジョン・コロージョンが進行し,胴板が開口, 漏えいした可能性がある.また,1996 年に同 分離槽胴板の内部構造をバッフルタイプからイ ンナーノズルタイプに変更したため流体の流れ が変化したことや,2002 年以降に水の注入量 を増加させたことなどから局所的,加速的に減 肉が進行した可能性がある.再発防止策とし て,管理が容易なバッフルタイプに内部構造を 戻し,設備管理を強化するとともに過去 10 年 間に構造を変更した機器およびエロージョン・ コロージョンが進行しやすい機器に関して水平 展開することが公表された. 〈中学校で火薬調製中に爆発〉 1 . 2006 年 4 月 17 日 16:00 頃 182 安 全 工 学  化学災害ニュース No . 45 183 Vol . 47 No. 3(2008)  化学災害ニュース No . 45 2 .  東京都新宿区 3 .  中学校 4 .  塩素酸カリウム,硫黄,炭素粉末 5 .  傷者 2 名 6 . 4 階建ての中学,高校の校舎 1 階にある化学実 験室でビーカーを使って火薬を調製していたと ころ爆発が起きた.実験をしていた生徒 2 名が やけどを負い,病院へ搬送された.警察の調べ では,化学部のクラブ活動の一環で花火の火薬 を作るため,塩素酸カリウム,硫黄,炭素粉末 をビーカーに入れてガラス棒でかき混ぜていた ところ爆発した可能性がある.実験は生徒 5 名 で行っており,教員は立ち会っていなかった. 〈ステンレス製品製造工場の地下室からトリクロロエ チレン検出〉 1 . 2006 年 4 月 26 日 2 .  千葉県習志野市 3 .  金属製品製造業 4 . トリクロロエチレン 5 .  不明 6 .  金属製品製造工場の敷地内の地下水から環境 基本法基準値の 110~6 700 倍のトリクロロエチ レンが検出された.同社の調べでは,配管から 漏えいしたトリクロロエチレンが時間をかけて 地中に浸透し,地下水に混合した可能性があ る.同社では,1994 年に表層土壌に汚染が検 出されたが,翌年の調査では地下水には影響が なかった.その後,1997 年から 6 年間かけて 土壌の浄化処理を行っていた. 〈民家周辺の地下配管からガス漏えい〉 1 . 2006 年 5 月 3 日 4:40 頃 2 .  北海道帯広市 3 . ガス業 4 . メタン 5 .  重体 1 名,重症 1 名,軽症 2 名 6 .  民家から 3 m 離れた場所に埋設された金属製の ガス管からガスが漏えいした.同民家にいた住 民など9名のうち,ガス中毒により1名が重体, 1 名が重症,2 名が軽症を負った.警察などの 調べでは,ガス管のつなぎ目に 2,3 cm の亀裂 が入り,地中を伝って民家へ充満した可能性が ある.ガス会社によると,ガス管は 27 年前に 埋設され,40 か月に一回検査を実施しており, 4 月に行った検査では異常はなかった. 〈官庁地下室で放射性物質を無許可で貯蔵〉 1 . 2006 年 5 月 11 日 2 .  東京都千代田区 3 .  国家公務 4 . セシウム 137,トリウム化合物,ウラン化合物, 放射性物質 5 . なし 6 .  官庁の施錠された地下倉庫から,無届けの鉛容 器に入った放射性物質セシウム 137,瓶入りの トリウム化合物およびウラン化合物各 2 本が見 つかった.周辺の環境や人体にただちに影響す るレベルではないが,規制対象の約 10 倍の放 射線量が観察された.同官庁の調べでは,放射 線測定機器の調整など大気中の放射能を観測す る目的で,トリウム化合物は 1962 年,ウラン 化合物は 1947 年より以前に持ち込まれた可能 性がある.その後の点検により同官庁では 0 . 9 g および 1 . 2 g のウラン化合物など,新た に四つの放射性物質がみつかり,同官庁管轄の 別の場所 2 か所でウラン化合物などが見つかっ た. 〈ナイジェリアの石油パイプラインで爆発〉 1 . 2006 年 5 月 12 日 2 . ナイジェリア・ラゴス 3 .  石油精製業 4 .  石油 5 .  死者 165 名以上 6 . ナイジェリア・ラゴス郊外の石油パイプライン で石油を盗もうとしたところ爆発が起きた.少 なくとも 165 名が死亡した.警察などの調べで は,周辺住民がパイプラインに穴を開け,石油 を盗もうと集まっていた際に爆発が起き,周辺 に置いていた盗んだ石油の入ったドラム缶 500 本に引火した可能性がある.同国の石油生産量 は日量 250 万バレルで,1 日に 3 万~10 万バレ ルが盗まれているとの試算もあり,同様の事故 が多発している. 〈漂着した避難救命用信号弾が暴発〉 1 . 2006 年 5 月 14 日 17:30 頃 2 .  石川県川北郡内灘町 3 . なし 4 .  救命用信号弾 5 .  重傷 1 名 6 .  海岸でオレンジ色のプラスチックケースに入っ た直径 4 cm,長さ 25 cm の遭難救命用の信号 182 安 全 工 学  化学災害ニュース No . 45 183 Vol . 47 No. 3(2008)  化学災害ニュース No . 45 弾 2 発が見つかり 1 発はその場で暴発し,もう 1 発はその後保管していた役所で暴発した.海 岸で 1 名がほお骨を折る重傷を負い,役所では 職員 1 名が右手に軽いやけどを負った.警察の 調べでは,同信号弾のハングルによる表記から 船から落ちて流れ着いた可能性がある.付近の 住民 2 名が海水浴場を散歩していたところ,信 号弾を見つけ,発射させようと信号弾底部の金 具を引いたところ暴発した.その後,漂流物と して保管するため,役所で同信号弾 2 発を段 ボール箱に入れようとしたところもう 1 発が暴 発した.同信号弾は,底部の金具を引くと,内 部の火薬に着火し,落下傘付きの弾が発射され る構造になっている. 〈ホルムアルデヒドを積載したタンクローリーが横転〉 1 . 2006 年 5 月 15 日 6:10 頃 2 .  東京都中央区 3 .  道路貨物運送業 4 . ホルムアルデヒド 5 . なし 6 .  高速道路でホルムアルデヒド 18 000 l を積載し た 24 トンのトレーラー型タンクローリーが道 路左側の側壁に衝突し横転した.ホルムアルデ ヒドの漏えいはなかったが,横転したタンク ローリーの移動作業のため 55 分間上下線とも 通行止めとなった.けが人はなかった.警察の 調べでは,ハンドル操作を誤り,緩い右カーブ を曲がり切れず側壁に衝突した可能性がある. 〈原子力発電所の仮設備でキャビティ水が漏えい〉 1 . 2006 年 5 月 16 日 15:10 頃 2 .  福井県三方郡美浜町 3 .  発電所 4 .  放射性物質 5 . なし 6 .  原子力発電所の発電機の定期検査中に仮設キャ ビティ浄化装置のホースから放射線を遮蔽する キャビティ水 400 l が漏えいした.同水はドレ ン管を通じて格納容器サンプ(水溜め)まで達 した.原子炉の燃料は取り出した状態で周辺環 境への放射能の影響はなかった.作業員 1 名の 足首付近がキャビティ水で濡れたが,汚染はな かった.同社の調べでは,作業員数名がキャビ ティ内に保管している制御棒駆動軸を清掃する ため浄化装置のホースの接続作業をしていた. 浄化装置が運転中の状態まま作業員がホースを 取り外したためキャビティ水が漏れだした.従 来,同作業は浄化装置が停止した状態で実施さ れるが,責任者の指示はなく,マニュアルにも 記載されていなかった.再発防止策として,同 浄化装置のホースを取り外す際には装置を停止 することなどをマニュアルに記載し,同浄化装 置およびその他の仮設備の運転状態が識別でき るよう表示するとともに作業前の打ち合わせで 運転状態を関係者に周知させることが公表され た. 〈製油所の軽質残渣油タンクが爆発〉 1 . 2006 年 5 月 21 日 15:00 頃 2 .  神奈川県川崎市川崎区 3 .  石油精製業 4 . アスファルト,軽油,可燃性ガス 5 . なし 6 .  製油所の軽質残渣油であるアスファルトタン クで爆発が起きた.同タンクおよび周辺の建屋 のガラス等が損傷し,約 3 時間 45 分後に鎮火 した.事故調査委員会の調べでは,運転を開始 するためアスファルトの排出先タンクを切り替 える作業中で,作業員は責任者に排出先のタン クのバルブを開けたことを報告したが,責任者 は排出を停止するタンクのバルブが閉止された ものと勘違いした.このため,高温の軽油がア スファルトタンクへ混入し,軽油が混入したア スファルトは酸化および熱分解を開始し,可燃 性ガスがタンク内に滞留した.同時にタンク内 壁のフェームと呼ばれるアスファルトから発生 する蒸気が固化した付着物が自然発火し,タン ク内の可燃性ガスに引火した可能性がある.再 発防止策として,複数の作業員によるバルブ開 閉のチェック,逆流防止弁の設置などが公表さ れた. (独)産業技術総合研究所 加藤勝美,尾和ハイズィック香吏, 阿部祥子,和田有司

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