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米OpenAI(オープンAI)は米国時間2023年11月6日、初めての開発者向けカンファレンス「オープンAI Dev Day」を⽶サンフランシスコで開き、次世代の大規模言語モデル(LLM)「GPT-4 Turbo」を発表した。ChatGPTを特定の用途にカスタマイズして「自分だけのGPT」を開発できる新機能や、カスタムモデルを販売できるストアの開設も発表。カンファレンスで発表された主な新機能・サービスを解説する。
新機能・サービス(1)次世代LLM「GPT-4 Turbo」
GPT-4 Turboは2023年7月に一般公開された「GPT-4」の次世代モデルで、2023年11月6日からプレビューを開始した。「1年間、世界中の開発者との対話に時間を使い、多くのフィードバックを得た。GPT-4 Turboは寄せられた多くの要望に対処できる」。カンファレンスに登壇したオープンAIのサム・アルトマンCEO(最高経営責任者)はこう胸を張った。
GPT-4は扱えるテキストの長さが3万2768トークン(2万5000語に相当)だったが、GPT-4 Turboは12万8000トークンまで扱えるようになった。一般的な書籍の300ページ以上に相当する。
コントロール性も向上した。常に指定したファイルフォーマットで返答するようなタスクにおいて、GPT-4よりも優れた性能を発揮するという。これまでマークアップ言語である「XML」などのフォーマットに対応してきたが、新たにJSONもサポートする。API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)による関数の呼び出し精度も向上し、正しいパラメーターを返答する確率が上がったという。
知識量も増えたという。GPT-4は2021年9月までのデータでトレーニングされていたが、新モデルは2023年4月までの知識を持つ。画像による入力に対応する「GPT-4 Turbo with vision」に加えて、画像生成AI(人工知能)「DALL·E 3」とテキストを音声に変換するモデルである「Text-to-speech(TTS)」も2023年11月6日からAPIを提供する。
アルトマンCEOは「ユーザーからは『GPT-4はコストがかかりすぎる』とも聞いていた」と話し、利用料金の値下げも発表した。入力は1000トークン当たり0.01ドル(約1.5円)でGPT-4の3分の1、出力トークンは同0.03ドルで2分の1となった。
新機能・サービス(2)自然言語でChatGPTをカスタマイズする「GPTs」
「GPTs」は、ChatGPTを自社仕様にカスタマイズできる新機能だ。GPT作成ツール「GPT Builder」を使えば、ChatGPTにチャットしながら追加資料を読み込ませせることで、簡単に「自社GPT」を構築できる。デザインツール「Canva」や自動化ツール「Zapier」が先行してカスタマイズした自社GPTが2023年11月6日に公開された。
カンファレンスでアルトマンCEOは、起業家を支援するためのGPTを作成するデモを披露した。GPT Builderで「新規」を選び、チャットのフィードに「スタートアップの創業者がビジネスを考え抜くことを手助けしたい」と打ち込む。するとGPT Builderは「スタートアップ・メンター」というサービス名を提案した。
続いてアルトマンCEOは、過去に自分が講演したテキストをアップロード。「この資料に基づいて回答してほしい」と指示を出した。最後に「設定」タブをクリックして、Web検索や画像生成、プログラムコード作成補助に関する各種機能を付与するかどうかを決めると、すぐに独自の対話型AI「スタートアップ・メンター」が完成した。管理画面で、作成したAIを外部に公開するかどうかを選ぶこともできる。
オープンAIはユーザーが作成した「自社GPT」を公開・販売できる「GPTストア」を2023年11月末に開設すると発表した。検証済みのGPTを集め、ユーザーが検索できるようにする。利用者数に応じて収入を得られるようにする予定で、数カ月以内に収益分配について詳細を公開するという。
新機能・サービス(3)AIアシスタントを簡易に構築できる「Assistants API」
3つ目の新機能である「Assistants API」は、開発者が自社アプリケーションに簡易にAIアシスタントを構築できるものだ。2023年11月6日にベータ版として開発者向けに提供を始めた。
アルトマンCEOはカナダのShopify(ショッピファイ)が提供するエージェント機能などを挙げて「こうしたカスタマイズされたチャットボットは素晴らしいが、構築するのは大変だ。新しいAssistants APIでそれをより簡単にする」と語った。
Assistants APIの管理画面上から、使用するAIモデルを選んだり各種ツールを利用したりできる。オープンAIが2023年3月に公開したコード作成補助ツール「Code Interpreter」が管理画面に組み込まれており、保護された仮想環境でPythonコードを書き、テスト的に実行することもできる。
企業の独自情報やリアルタイムデータなど、AIモデルが学習していない知識を検索することでアシスタント機能を補強することも可能。ユーザーが定義した関数を呼び出して、その回答をAIアシスタントのメッセージに組み込む機能も備えた。
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