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 村田製作所は展示会「CEATEC 2024」(千葉・幕張メッセ、2024年10月15~18日)に、新構造のリチウム(Li)イオン2次電池(LIB)の集電体シートとセルを出展した(図1)。この技術の開発については同社が2024年9月30日に発表していた。

図1 村田製作所がCEATEC 2024に出展したポーラス集電体(PCC)とPCCを用いて試作したLIBのセル
図1 村田製作所がCEATEC 2024に出展したポーラス集電体(PCC)とPCCを用いて試作したLIBのセル
PCCは負極向けの銅(Cu)の集電体層が表になって見えている(写真:日経クロステック)
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 村田製作所はこの技術で、LIBの容量やエネルギー密度を低下させずに出力密度を4倍に高められ、充電時間を1/4に短縮できるとする。米Stanford University(スタンフォード大学)との共同開発技術である。

 

「リチウムイオン電池」長寿命化…第一稀元素化学が開発、正極添加材の効果

「リチウムイオン電池」長寿命化…第一稀元素化学が開発、正極添加材の効果

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 第一稀元素化学工業はリチウムイオン二次電池(LiB)向けに、正極添加材用ジルコニア粉末材料の新製品「DKZ―366=写真」を開発した。LiBの耐久性向上や劣化抑制などを目的に電池材料(正極材)に添加する製品で、従来製品よりも金属異物量が10分の1以下に低減し、安全性が向上する。また、従来製品よりも分散性を高めたことで電池の長寿命化にも貢献する。サンプル提供を始めており、国内外に幅広く展開する。

同社が持つジルコニア材料の粉末制御技術を応用して開発した。LiBを構成する材料中に金属異物量が多く含まれると、LiBが充電と放電を繰り返す中で金属成分が溶出し、内部短絡が生じるリスクが高まる。そのため、開発品の金属異物量はppb(10億分の1)オーダーの低レベルを達成した。

長寿命化では評価用のコインセルによる実験において、1時間で100%の充放電が完了する実験条件で、100回の繰り返し充放電後で約40%の長寿命化を実現した。

日刊工業新聞 2024年11月13日