はっきり言って、運が悪かったとしか言いようがないと思います。究極的には以下の一点に集約されると思います。
•ハイリスク・ハイリターンの投資(ウエスチングハウス買収)を行い失敗したこと。
東芝は2006年にウエスチングハウスを買収しました。これは東日本大震災が発生する前のことです。高値だったと言われていますが、当時は盛んに国からも原発輸出が叫ばれていました。もし東日本大震災が発生しなかったら、原発事業は今後も世界中で伸びていったのではないでしょうか(存在するリスクの高さが世間に知られないまま堂々と)。また2006年は、日立がGEと、三菱重工がアレバとの連携を強めていった時期でもありました。
2011年に東日本大震災が発生し、その後原発事業はコストとリスクが非常に高い事業であることがわかりました。このため東芝がハイリターンを狙った投資は大失敗となり、東芝本体のキャッシュを全て食いつぶす結果となりました。日立や三菱重工も同様に原発に対する投資は行っていましたが、東芝ほど社運をかけた投資を行ってはいませんでした。だから東芝が一番の被害を受けたのだと思っています。(日立は東芝よりも事業セグメントが広いので、それだけに全社に対する影響も低くはありました)
では、東芝がハイリスク・ハイリターンの投資を行ったのは無謀だったか?経営層は無能だったか?と考えると、私はそうではないと思っています。当時、原発事業は今後伸びる分野だと見られており、国からの後押しもありました。今後、グローバル事業を推進する上で、原発事業を事業の中心とすることは当時としては非常に合理的な判断だったと私は思っています。(当時、原発事業について東日本大震災のリスクを考えられる人がいたとしたら預言者か未来人くらいのものでしょう)逆に、2006年の時点で、当時の東芝が原発とメモリ以外のどんな事業に注力することができるのか、世間に問いかけたいくらいです。
日立は東芝の失敗を見ていたから、政府の意向に反して英国原発事業を停止する判断ができたのだと思っています。もし順番が逆だったら日立が大失敗した可能性もある、というか、おそらくそうなっていたのではないでしょうか。
0 コメント:
コメントを投稿