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デンマーク・370万人超の解析結果
2020年09月04日 05:15
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© Getty Images ※画像はイメージです
デンマーク・University of CopenhagenのLars Vedel Kessing氏らは、同国の成人370万人超の国民登録データを用い、処方頻度が高い降圧薬41種類がうつ病の発症リスクに及ぼす影響を検討。その結果、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、カルシウム(Ca)拮抗薬、β遮断薬を含む9種類がリスクを低下させ、リスクを上昇させる薬剤はなかったとHypertension(2020年8月24日オンライン版)に発表した。
利尿薬ではリスク上昇も低下もなし
降圧薬の処方対象となる高血圧や心血管疾患、脳血管疾患の患者では、高頻度にうつ病が見られる。しかし、各種の降圧薬がうつ病リスクに影響するかどうかは十分に分かっていない。
そこでKessing氏らは、デンマークの2005~15年の国民登録データから、降圧薬41種類(レニン・アンジオテンシン系阻害薬16種類、Ca拮抗薬10種類、β遮断薬15種類)、利尿薬のいずれかの処方歴を有する成人374万7,190人を特定し解析した。うつ病の診断歴または抗うつ薬の処方歴を有する患者は除外した。
評価項目は①精神科外来または入院での抑うつ性障害の診断②抑うつ性障害の診断または抗うつ薬の使用の複合アウトカム-の2種類とした。
解析の結果、うつ病リスクを上昇させた降圧薬はなかった。
ACE阻害薬2種類(エナラプリル、ラミプリル)、Ca拮抗薬3種類(アムロジピン、ベラパミル、ベラパミル合剤)、β遮断薬4種類(プロプラノロール、アテノロール、ビソプロロール、カルベジロール)の計9種類はうつ病リスクを有意に低下させた。
一方、利尿薬ではいずれもうつ病リスクの低下が認められなかった。
降圧薬の抗炎症作用がリスク低下に関与の可能性
以上を踏まえ、Kessing氏は「今回の知見は、うつ病リスクを有する高血圧患者に適切な降圧薬を処方する上で有用な可能性がある。ただし、現在の処方で患者が良好な血圧レベルを維持している場合は、他の治療薬に切り替える必要はない。うつ病を発症した時点で、うつ病リスク低下が認められた9種類のいずれかへの切り替えを検討すればよい」と結論している。
さらに「高血圧や脳・心血管疾患、うつ病では軽度の炎症がよく見られる」と指摘し、「降圧薬の抗炎症作用が、うつ病リスク低下に関与している可能性がある。今後の研究では、うつ病リスク低下が認められた降圧薬9種類の抗炎症特性を比較することが重要になるだろう」との見解を示している。
(太田敦子)
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