2022年7月4日月曜日

Windows 11でAndroidアプリ対応、2022年内に日本で開始

https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/1411644.html

  • 西田 宗千佳

2022年5月25日 01:02

Microsoft サティア・ナデラCEO

5月25日・26日、マイクロソフトの年次開発者会議「Build 2022」がオンラインで開催される。開発者会議であり、テーマの中心はやはり「開発」。そのため、一般の人にはなかなか分かりづらい内容も多いのだが、我々の生活に影響を与える可能性が高いものも多数ある。

基調講演で語られ、Build 2022で発表される内容から、特に多くの人に影響する、Windowsに関わることをピックアップしてお伝えする。

Windows Store強化 「Androidアプリ」年内日本に

Windows 11以降に登場した変化の中で、もっとも大きいものは「Microsoft Store」の改革だ。Windows上でスマホのようなアプリストアを、という方針はずっと以前から存在していたが、PCの自由なモデルとは折り合わず、結局利用率は上がってこなかった。

そこで昨年、Windows 11とともにMicrosoft Storeをリニューアルした。

ポイントは主に3つある。

1つ目は、自社で決済を用意し、マイクロソフトの決済を使わない場合には、利用料を徴収しないこと。

2つ目は、Win32アプリやPWAアプリなど、幅広い形態のアプリを配信可能にすること。

3つ目は、Amazonと提携し、Androidアプリストアを用意し、AndroidアプリがそのままWindows上で使えることだった。

PCの自由なアプリモデルを取り入れた上で、Microsoft Store上からアプリを配布してもらうようにする……という考え方だ。

マイクロソフト側は「2022年の第1四半期だけで、Microsoft Storeに登場する新しいデスクトップアプリとゲームが、前年同期比で50%以上増加した」と説明している。

ただし、現状ではその改革は「途上」である。今回はさらに進める施策が公開された。

アプリストアである「Microsoft Store」は今年も改善が続く

まず分かりやすいのは、AmazonによるAndroidアプリストアの拡大だ。現状はアメリカでベータテストが行なわれている状況だが、年内にフランス・ドイツ・イタリア・日本・イギリスの5カ国で追加展開されることになった。

一般的なWindowsアプリである「Win32アプリ」についても、販売が全面的に開始される。これまでは限られた開発者にだけ提供され、その「キャンセル待ちリスト」があるくらいだったのだが、今後はあらゆる開発者が、登録後すぐにMicrosoft StoreからWin32アプリの販売を開始できる。

また、ウェブ技術をベースとした「PWA(Progressive web app)」についても、開発ツールを含めた支援を強化する。

マイクロソフトのツールである「PWABuilder」を使った場合、Windows向けのアプリが作れるのはもちろんだが、Android・iOS向けのアプリを作れて、さらに今回、VR機器である「Meta Quest」にも対応した。それぞれのアプリストアにワンクリックでパブリッシュすることが可能になる。

「PWABuilder」から、各アプリストアへのパブリッシュができるが、PWAに対応したVR機器である「Meta Quest」向けも対象に

この方針は簡単に言えば、「Windows上でより多くのアプリケーションの動作と開発を可能にする」という流れに基づくものだ。LinuxとAndroidのアプリを動かすためのサブシステムはWindows 11に搭載済みで、その継続改善をしつつ、Microsoft Storeの強化によってアプリ流通のエコシステムを作ろう……ということなのだろう。

利便性の向上にも力が入っている。

スタートメニューの「検索」からアプリを探し、インストールしていないアプリが見つかった場合には、そこから簡単にストアへ移動できるようになるという。アプリが見つかりやすくなり、インストールも簡単になれば、ユーザー・デベロッパーの双方にプラスだ。

スタートメニューの「検索」からアプリを探し、ストアからインストールが可能に

また、ウェブ上にMicrosoft Storeへのバッジを用意し、インストールまでの導線を強化する施策も進められている。ストア内にアプリの広告を出すプログラムについても、パイロットプログラムが開始されるという。

Microsoft Store内にアプリの広告を出すことも

Windows 11側の目立つ変更としては、「ウィジェット」が挙げられる。

Windows 11では画面の横に、情報を表示する「ウィジェット」が追加されたが、今年後半から、ここへ機能を積極に追加していくことが可能になる。PWAアプリ、もしくはWin32アプリのコンパニオンとして、アプリが追加できるようになっていくという。

Windows 11では今年後半以降、ウィジェットの機能が拡張され、自分でより積極的に「アプリコンパニオン」を追加可能になる

また、PCを新調した時などには、既に別PCでインストール済みの「ストアから購入したアプリ」を、シンプルに自動インストールすることもできるようになる。

インストール済みのアプリを、新PCに自動で「リストア」する

ARM対応と「NPU活用」を促進

もう一つ、Windowsに関する大きな変化が「ARMへの積極対応」だ。

既にWindows 10/11にはARM版があり、x86版アプリのエミュレーションを含め、一般的な環境として利用可能になっている。だが、ARM版ネイティブアプリはそこまで増えていない。

今回マイクロソフトは、包括的なARMネイティブアプリ開発者向けツールチェーンを整備していく。

ただ、ここでの狙いはARMアプリを増やす、ということだけではない。

ARMコアを使ったSoCには、機械学習系を高速化する「NPU(ニューラル・プロセッシング・ユニット)」が搭載されている場合が多い。現在はインテルやAMDのSoCを含め、多数の機器に搭載が進んでいるが、NPUを使って効率的に機械学習を行うアプリの数は、期待したほど多くなっていない現状がある。

そこでマイクロソフトは、新しい開発キット「Project Volterra」を発表した。

「Project Volterra」はQualcommのSnapdragonベースのシステムで、NPUアプリケーションを開発する上で必要なものを備えている。さらに、Qualcomm Neural Processing SDK for Windowsを用意し、Windowsプラットフォーム上でのNPUを使ったAIアプリケーションの開発を加速する。

NPUにおけるAI開発を重視した新しい開発キット「Project Volterra」
Project Volterra

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