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研究ハイライト
ダイヤモンドとシリコンの新接合法でパワー半導体
の未来がみえてきた!
エレクトロニクス・製造領域
エネルギー・環境領域
ダイヤモンドとシリコンの新接合法でパワー半導体の未来がみえてきた!
薬品処理と低温加熱だけでダイヤモンド基板の原子レベルの接合を可能に
掲載日:2020/10/09
大気中、薬品処理、200℃の熱処理で直接接合
化学薬品によって表面処理したダイヤモンド基板を、大気中で接触させたシリコン基板と比較的低い温度(200℃程度)の熱処理により直接接合する技術を開発した。
図 接合反応のメカニズム(左)と透過型電子顕微鏡で観察した接合界面(右) |
1000℃以上か超高真空装置が不可欠とされていた
電力の制御・供給を担うパワー半導体の分野では、ダイヤモンドは高効率化・高出力化やモジュールの小型軽量化のためにシリコン(Si)よりも優れた物性の新材料として注目されている。パワー半導体をダイヤモンド基板のみで作製すると高コストとなるため、ダイヤモンド基板とSi基板との直接結合により、性能への寄与が少ない部位を安価な材料への置き換えが提案されている。しかし従来の直接結合技術では1000 ℃以上の高温処理、もしくは超高真空での表面スパッタエッチング処理が必要で、そのための特殊な装置が必須であった。
緻密な処理条件制御で一般的な接合法を適用可能に
水酸基(-OH)で化学修飾した基板同士は200 ℃程度に加熱すると脱水反応を起こし、表面間の化学結合(-O-)により接合(親水化接合)できることが知られている。今回、半導体基板の洗浄に広く用いられる硫酸/過酸化水素(H2SO4/H2O2)混合液を用いて、ダイヤモンド表面を洗浄と同時に水酸基修飾できる技術を開発した。
高い省エネ効果と小型軽量化に向けて、さらなる挑戦は続く
今回はダイヤモンドの(111)面とシリコン基板の表面の良好な接合を達成した(特許出願中)が、今後は合成・研磨しやすい(100)など他の結晶面への適用を進める。また、放熱基板や絶縁基板としての応用の可能性も検討するため、SiC、GaN、酸化ガリウム(Ga2O3)といった他のパワー半導体材料との接合や、多結晶ダイヤモンドの接合を試みるとともに、接合界面のSiO2層厚の低減を試みる。
本研究テーマに関するお問合せ先
デバイス技術研究部門 集積化MEMS研究グループ
研究員 松前 貴司(まつまえ たかし)
メール:nanoele-web-ml*aist.go.jp(*を@に変更して使用してください。)
先進パワーエレクトロニクス研究センター ダイヤモンドウェハチーム
主任研究員 梅沢 仁(うめざわ ひとし)
メール:adperc_info-ml*aist.go.jp(*を@に変更して使用してください。)
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