単線電源ケーブル
今市販されている完成品の電源ケーブル(厳密には電源コードと書いた方がいい)はほぼ「より線」で、PSE法の改正によって「単線」の電源ケーブルは市販されなくなりました。私はAV機器の電源ケーブルには単線を好んで使っています。
我が家の単線電源ケーブル
我が家には大きく分けて2種類の単線電源ケーブルがあります。
- 海外で販売されている市販品
- 内部配線用ケーブルにプラグをつけた、いわゆる自作品
1の「海外で販売されている市販品」とはAudioQuest NRG-5のことですが、これは伝手を頼って入手した完成品のケーブルなので、追加で入手することができません。
これは主に電源タップやコンセントからシアタールームの主要機器(アンプやプレーヤー)に接続するために使われています。その他にメガネタイプのAudioQuest NRG-1.5も2本所有しています。
購入したのは0.9mが450ドル前後、1.8mが650ドル前後だったと思うので、当時のドル円レートでそれぞれ4万円、6万円くらいでしょうか。我が家で一番高価な電源ケーブルです。
2の「いわゆる自作品」はシアタールームの配線工事をした際に余ったケーブルと、市販されているプラグを取り付けたものを利用しています。
ケーブルはOYAIDE EE/F-S 2.0でPCOCC-Aの単線ケーブル、プラグはOYAIDE C-004/P-004、C-037/P-037、C-029/P-029を使って自作されたケーブル(コード)で、主にタップへの電源供給に使っています。配電盤からの壁内配線もOYAIDE EE/F-S 2.0です。
単線を選ぶ理由
日常的に使う電源コードとしては、ひねりや曲げ、踏みつけなどが頻繁に起こる家電製品に使うと、単線は金属疲労によって断線が起こりやすく、安全面を考えるとより線の方が、家庭用の電源コードとしては適しているといえます。またより線は細い金属線を撚り合わせているので、単線の同じ太さのものに比べて柔らかく取り回しがいいという利点もあります。
単線なんていらないよう思えますが、単線にもノイズに強いという大きなメリットがあります。より線はその構造上複数本のケーブルを束ねているため、曲げたりすると撚り合わされたケーブルの「撚り」にゆるみや歪みが生じたり、長さが均一ではなくなったりしますし、よられたケーブル間で迷走電流といわれるノイズが飛び交うといわれています。
LANケーブルなどでも単線の方がノイズに強いということは常識で、電源ケーブルよりも伝送に対する要求がシビアなので、5m以上のLANケーブルには単線が使われることが一般的です。
ノイズに強い単線は私の環境のようなAV機器が複雑に入り組んだところでこそ必要なケーブルですが、国内で単線のオーディオ用の電源ケーブルを完成品として入手するのは困難なので、欲しければ壁内配線用の電源ケーブルなど単線のケーブルと、プラグなどをそれぞれ購入して自分で作るか、作ってもらうしかありません。
貸し出しサービス
スイッチングハブの故障の件もあって、私のこのニーズを把握しておられたのか、「使ってみててください」とケーブルが送られてきました。ACOUSTIC REVIVE POWER REFERENCE-TripleC(初期型)です。
日本国内では販売されていない輸出用電源ケーブルですが、長さは1.5m、プラグの仕様が現行販売モデルと異なり、FURUTECH製ではなく、OYAIDE製だそうで、このプラグの仕様が違うため「初期型」だそうです。プラグが変わった事情は知りませんが、仮に日本で販売するとしたら20万円前後はするそうです…。
前段に試した方が効果が高いということで、Marantz NA-11S1へ試すように勧められましたので、元のケーブルはAudioQuest NRG-5と交換して、POWER REFERENCE-TripleC(初期型)に試聴してみることにしました。
以前OYAIDE TUNAMI NIGOを使っていたことがありましたが、硬すぎて使い道を失い、欲しいと言う人に譲ったことがあります。今もOYAIDE製のケーブルやプラグはいくつもありますが、そのケーブルと比べるとケーブルの取り回しは意外と良くて、ケーブルはかなりごつくて曲げると中の導体とシールドが形をホールドしてくれる硬さはあるものの、POWER REFERENCE-TripleCは取り回しで悩むことはほとんどなさそうです。
試聴環境
以下の環境で試聴してみました。
- テレビ:SONY BRAVIA KJ-75Z9D
- AVプリアンプ:Marantz AV8802A
- マルチチャンネルパワーアンプ:DENON POA-A1HD
- フロントスピーカー:DALI Helicon 800(Pair)
- リアスピーカー:DALI Helicon 800(Pair)
- サブウーファー:DALI HELICON S600
- トップミドルスピーカー:SpeakerCraft Profile AIM5 Three(Pair)
- Urtra HD Blu-rayプレーヤー:Panasonic DMP-UB900
- ネットワークオーディオプレーヤー:Marantz NA-11S1
- ゲーム機:SONY Playstation4 Pro
- NAS:IODATA RockDisk for audio
- スイッチングハブ:PLANEX FX-08mini
- 光メディアコンバータ:SANWASUPPLY LAN-EC202C
試聴曲
試聴曲はいつものとおり、以下のような曲を聴いてきます。
image ※FLAC 44.1kHz/16bit
Boyz II Men – Evolution ※FLAC 44.1kHz/16bit
Diana Krall – When I Look in Your Eyes ※FLAC 96kHz/24bit
試聴した感想
AudioQuest NRG-5は銅線の表面を鏡面加工したケーブルで、音が柔らかく落ち着いた音調ですが、AudioQuest NRG-5と比較して、POWER REFERENCE-TripleC(初期型)はまず音像がやや前に出てくるエネルギッシュな印象で、音の立ち上がりや引きが速くスピード感があります。レンジか広く、音の繋がりが滑らかです。これはLANケーブルのときにも感じたので、PC-TripleCの特徴といえるかもしれませんね。PCOCCはPC-TripleCに比べるとダイナミックレンジが狭く感じます。
PC-TripleCのケーブル製造メーカーの方のインタビューを読んだことがあり、電気特性としてはPC-TripleCはPCOCCと変わらない導電特性を持っているそうです。
電気信号が送られると、ケーブルの中を電子が押し出されるようにして信号が出てくる、踏ん張っているようなイメージがどのケーブルにも感じられるんですが、個人的な印象では、PC-TripleCのケーブルを使うと、血管の中を流れるサラサラの血液のような、音がスルスルと出てくる印象が伝わってきて、抵抗なくとてもスムーズに信号が流れているイメージが頭に浮かびます。
ぶっちゃけて言えば、これまで使ってきたAudioQuest NRG-5には何の不満もなく、これを交換するなんて考えたこともありませんでしたが、もし可能なら主要な機器の電源ケーブルをPOWER REFERENCE-TripleCに交換してみたいくらいです。
あえて欠点を上げるとしたら…、やはり価格でしょうかね。私のように音量が普段から小さい人は、このケーブルを使うときはボリュームを上げた方がいいかもしれません。スムーズすぎて物足りなく感じる可能性があり、ボリュームを上げても破綻しないので、思い切って音量を上げてみると、PC-TripleCのよさがより感じられると思います。
今回使ってみたPOWER REFERENCE-TripleC(初期型)は、20万円前後はするので、機器1台購入できるほどの価格のケーブルです。主要機器の電源ケーブルを入れ替えるだけでも100万円かけても足りませんので、それは到底無理な話ですが、PC-TripleCをもう少しうまく取り込めないか、少し思いついたことがあるので、また後日記事にしたいと思います。
貸し出し試聴サービスが用意されているんですから、頭ごなしに批判するのではなくぜひ使ってみて耳で確認してみて欲しいですね。使いもせずに何を言っても説得力ありませんから。購入前に試聴できるのはとてもありがたい話です。
次は、一緒に届いたケーブルの3種比較をして見る予定です。
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新次元のケーブル伝送を実現
PC-Triple C ケーブル
楕円形状のPC-Triple C単線がピーク発生のない滑らかな音質を実現。
世界初のオーディオ専用導体として開発された鍛造製法による夢の新導体PC-TripleC。PC-TripleCは原材料にミクロン単位の不純物を完全に取り除いた特殊なOFC(無酸素銅)を使用し、日本の匠技である鍛造製法によって結晶粒界の方向性を電気の流れる方向へ整えるという画期的な技術です。
また単結晶素材であるPCOCCでも避けられなかった内部空礫も鍛造によって無くなり、導体導体密度は極限まで向上しております。
音質もこれまで体験したことのない高密度でFレンジ、Dレンジ共に超ワイドレンジで、自然で滑らかな音色と質感表現、エネルギッシュで躍動感に溢れるなど、全ての項目で別次元のクオリティに到達しております。
現在、殆どのケーブル導体は細かい導線を撚り合わせた「撚り線」導体が採用さ れています。これはケーブルにおける曲げ易さなどフレキシビリティを重視したためで、撚り線においては細かい導線と導線の間を飛び交う「ストランドジャンプ現象」と呼ばれる迷走電流の発生が避けられません。
この迷走電流は音質的に歪みや付帯音の要因となり、10 m以上の市販LANケー ブルの導体が全て単線を推奨、使用していることからも判る通り、撚り線では伝送ロスによって伝送が行えなくなることすらあります。
それに対して単線は理論的に迷走電流の発生がないため、歪みや付帯音の発生が なく、長い距離でも極めて伝送劣化が少ないメリットがあります。 しかし、単線は硬く共振を起こしやすく音質的にピークを発生する場合があるた め、ACOUSTIC REVIVE では共振ポイントを持たない楕円形状の PC-Triple C 単線を開発し、ピーク発生のない滑らかな音質を実現しています。
※PC-TripleCは特許第5871985の音響用導体です。
※PC-TripleC®は(株)FCMと(株)プロモーションワークスの登録商標です。
ファインメットビーズによりケーブル伝送上のノイズをシャットアウト
ラインケーブルやデジタルケーブル、電源ケーブルには伝送上のノイズを一掃するファインメットビーズを新たに搭載しました。
ファインメットビーズはボロン・鉄・シリコン合金による軟磁性ノイズ除去素材で、フェライトコアのような音質的副作用がないのが特徴です。
ACOUSTIC REVIVEではこのファインメットビーズを各種ケーブル用途に最適なサイズで採用し、副作用一切なしにノーマルノイズ、コモンモードノイズを一掃することに成功しました。
副作用一切なしに劇的にS/N比が向上し、静寂の中から音楽が沸き上がり、広大な音場の中で実在感のある超立体的な音像が躍動する快感をご体験頂けます。
※ファインメットビーズ®は日立金属の登録商品です。
単線の意義とは?
現在市販されるケーブルのほとんどに細い線材を撚り合せた撚り線が用いられています。
なぜ撚り線が採用されたのかといえば、取り回しが良い事に尽きます。ユーザーは使い易く、メーカーも製造性が良いことから長い間使い続けられているのです。しかし、その撚り線は、撚り合わせた線間を飛び回るストランドジャンプ現象と呼ばれる「迷走電流」が避けられません。空気や絶縁材を誘電体として飛び回る迷走電流は、各線間を絶縁してリッツ線構造にしても防ぐことが出来ません。
この迷走電流は付帯音やノイズ、歪みの原因になり、想像以上に音を濁しています。迷走電流をゼロにするには単線を使用する以外に方法がありません。その事実は現在お使いのケーブルと弊社のシングルコア・ケーブルと比較していただければ確実にご理解頂けるはずです。
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