半導体業界が盛り上がる中、2000年代までは売上高ランキングの常連だった日本企業は23年のランキングからは消えた。装置と素材では世界をリードしているものの、デバイスではニッチシェアトップの道を行かざるを得ない日本企業。今後の勝ち筋はどこにあるのか。特集『高成長&高年収! 半導体160社図鑑』の#3では、半導体ブームに「イマイチ乗り切れない」日本デバイスメーカーの今後を展望する。(ダイヤモンド編集部 鈴木洋子) 生成AIブームで米エヌビディアとそれに関連する半導体製造装置・素材株への投資が盛り上がっている。そして、台湾TSMC工場の熊本誘致、札幌での国策半導体会社ラピダスの設立、3年間で4兆円を超える政府の半導体産業への支援予算など、半導体を巡る狂騒は高まるばかりだ。 その熱気に冷や水を浴びせるような、残酷な事実がある。半導体の世界トップ10ランキングに、日本企業は一社もないのだ。 かつて、日本メーカーが世界の半導体市場の50%を生産していたという黄金時代があった。1980年代後半で、DRAMで世界シェアをほぼ独占していた時代だ。日本の半導体が強過ぎることが日米間の政治問題となり、出荷規制がかかるほどの事態に発展した。だが、その騒動が一服し、韓国サムスン電子やTSMCなどの現在の競合企業が台頭した後の2000年代ですら、日本企業の存在感は今よりもずっと大きかった。 例えば、2000年のランキングでは、東芝2位、NEC5位、05年で東芝4位、NEC8位、10年で東芝3位、ルネサスエレクトロニクス5位だった。 これが東日本大震災を経てルネサスの業績が悪化した15年になると、8位の東芝以外の日本企業の姿はトップ10から消えた。そして東芝から分社化したキオクシアが10位に入った20年以降、トップ10に日本企業の名前はない。23年は20位以内にソニーグループ、ルネサス、キオクシアがなんとか入るにとどまっている。 現在の半導体デバイス業界の狂騒は「生成AIブームでエヌビディアの生成AI需要向けGPU(グラフィックプロセッサーユニット)が、1個100万円以上という半導体としては異例の高単価で大量に売れている」ということに尽きる。そして、残念ながら現在上場企業として残っている日本の半導体メーカーには、この生成AIブームにはあまり関係がない企業が多い。 半導体ブームといえど、明暗はくっきりと分かれている。次ページでは、どの企業が勝ち組で、どの用途には向かい風が吹くのか、それぞれ需要や価格はどのように変化していきそうなのか、を具体的な企業名を示しながら明かしていく。さらに、日本のメジャーな半導体企業の複数社について、「突破すればさらなる成長が見込まれるポイント」についても明示する。20年以降日本企業はトップ10から陥落
ニッチシェアしか狙えない日本が生きる道は
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