2024年4月17日水曜日

水素製造と燃料電池による発電を1台で、日本特殊陶業の小型SOC 斉藤 壮司 日経クロステック/日経ものづくり 2024.04.17

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/24/00535/?ST=nxt_thmdm_energytech

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日本特殊陶業は水素製造と燃料電池による発電を1台の装置で可能にする「リバーシブルSOCシステム」を開発した。同社が開発中の固体酸化物形セル(SOC:Solid Oxide Cell)を使うもので、水を電気分解して水素(H2)を生成する固体酸化物形電解セル(SOEC)と、水素と酸素から電気を生成する固体酸化物形燃料電池(SOFC)の動作を切り替えられる。

リバーシブルSOCシステム

リバーシブルSOCシステム

固体酸化物形電解セル(SOEC)と固体酸化物形燃料電池(SOFC)の動作を切り替えられる。(出所:日本特殊陶業)

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リバーシブルSOCシステムは、水素貯蔵によるエネルギーマネジメントに向く。余った電力を水素に変換する際はSOECとして動作し、水素から発電する際はSOFCとして動作する仕組み。AC100V電源で動作し、SOECとしての水素製造量は時間当たり最大0.9Nm3、SOFCとしての発電能力は最大740W。

例えば、発電量の季節変動が大きな太陽光発電システムおよび水素貯蔵システムに今回開発したシステムを組み合わせれば、日照時間が多い夏季に生じた余剰電力を水素として貯蔵しておき、太陽光による発電が減る冬季は貯蔵した水素を使って発電するといった使い方が可能だ。

太陽光や風力などの再生可能エネルギーは発電時に温暖化ガスを排出しないという利点があるものの、天候などによって発電量が変動するため需給が一致せず、電力が余ったり不足したりするのが課題。今回開発したシステムを導入すれば電力供給の安定化が期待できる。

別々のSOECとSOFCを組み合わせる方法もあるが、水素や水の供給インフラがそれぞれ必要となるため、設備の設置面積が大きくなる。リバーシブルSOCシステムは1台のセルスタック(最小単位のセルを積み重ねた装置)が両方の役割を果たすので、設置面積を小さくできる。

同社は2024年度に同システムの実証を進め、2025年度中の製品化を目指す計画だ。

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