https://www.t.kyoto-u.ac.jp/ja/research/topics/20240411
超伝導の世界においては、「六角形型の結晶構造(六方晶)を持つ超伝導物質では、六角形構造を反映する超伝導の性質が極めて観測しづらい」という「創発回転対称性」と呼ばれる性質があります。この「六角形であるにもかかわらず円のような性質が観測されてしまう」性質は非常に強力で、1980年代に提唱されて以降、この性質が破れる明確な観測例は知られていませんでした。電子工学専攻の米澤進吾 教授、福島和実 大学院理学研究科修士課程学生(研究当時)、小畑慶人 同修士課程学生(研究当時)、大学院工学研究科博士課程学生 山根聡一郎、高等研究院 前野悦輝 教授らの研究グループは、バナジウム化合物CsV3Sb5において、超伝導が破壊される磁場である上部臨界磁場の方向依存性を超精密に測定しました。その結果、上部臨界磁場が六方晶の結晶構造を反映した明確な振動を示すことを観測し、「創発回転対称性」が破れていることを発見しました。このことは、CsV3Sb5において極めて特異な超伝導が実現していることを示唆しており、この新種の超伝導状態の基礎・応用両面の研究展開に向けた重要な基礎付けとなります。本研究成果は、2024年4月11日にイギリスの国際学術誌「Nature Communications」にオンライン掲載されました。
研究詳細
超伝導の世界でも、六角形と円は違うのだ ―「創発回転対称性」の破れを発見―
研究者情報
- 米澤 進吾 京都大学教育研究活動データベース
書誌情報
タイトル | Violation of Emergent Rotational Symmetry in the Hexagonal Kagome Superconductor CsV3Sb5 |
---|---|
著者 | Kazumi Fukushima, Keito Obata, Soichiro Yamane, Yajian Hu, Yongkai Li, Yugui Yao, Zhiwei Wang, Yoshiteru Maeno, Shingo Yonezawa |
掲載誌 | Nature Communications |
DOI | |
KURENAI | ー |
0 コメント:
コメントを投稿