2024年4月16日火曜日

将来、音質アップにテレビ接続対応まで! マルチに使えるFiiO「R9」みたいな、将来的には高性能で音質の良いローム社のDAコンバータのIC搭載で、U-NEXTやネットフリックスやWOWOWやAmazonプライムビデオやYoutubeやSpotifyなどビデオも音楽も全てが再生可能な、DAPとDDC(DVI & HDMI(I2S))&USB-DAC統合PCが登場するとご提唱、ご提案。Aon CEO 石 塚 正 浩 。

 


FiiOのデスクトップストリーマー「R9」が2024年4月2日に発売された。“デスクトップストリーマー”という製品カテゴリーはあまり耳なじみがないかもしれないが、DAP(デジタルオーディオプレーヤー)を据え置き化し、1台でさまざまなオーディオ再生機能を有したデスクトップサイズのデバイスのこと。僕自身も約1年前に先代モデルにあたる「R7」発表以来、そのユニーク過ぎるコンセプトに惚れ込み、レビュー記事を執筆(記事はコチラ)、自宅でも愛用している。

最新モデルの「R9」は大ヒットモデルとなった「R7」の上位モデルとして、昨年10月末に開催された秋のヘッドフォン祭2023で初披露(記事はコチラ)。間もなく発売かと思われたが……AV入出力端子まわりの確認に手間取り、要約発売となったようだ。

そんな「R9」だが、昨年末に日本国内でFiiOの代理店を務めるエミライより実機をお借りして検証することができたので、今回は実機レビューをお届けする。

外見も新しくなった「R9」。市場想定価格は269,940円前後(税込)

外見も新しくなった「R9」。市場想定価格は269,940円前後(税込)

ちなみに、「R9」の価格はオープンで、市場想定価格は269,940円前後(税込)。「R7」は2024年4月5日時点での価格.com最安価格は112,200円(税込)なので、「R9」は「R7」のさらにひとつ上のグレードの製品であることを頭の片隅に入れておいてほしい。

デスクトップストリーマーの枠に収まらない豊富な端子類

デスクトップストリーマー「R9」とはどんな製品かというと……あまりに多機能過ぎるモデルのため、製品を理解する目的で外見から紹介してこうと思う

本体前面には6.0インチのタッチスクリーンを搭載。OSはAndroidとなっており、Google Play経由でさまざまなアプリも導入できる。デスクトップストリーマーを名乗るだけあり、「R7」同様、音楽ストリーミングサービスはもちろん、AirPlayやRoonによるネットワーク再生も可能だ。

本体前面にスマートフォンを埋め込んだかのような特徴的なスタイルが目を引く「R9」。OSはAndroidとなっており、Google Play経由でさまざまなアプリを導入することも可能だ

本体前面にスマートフォンを埋め込んだかのような特徴的なスタイルが目を引く「R9」。OSはAndroidとなっており、Google Play経由でさまざまなアプリを導入することも可能だ

付属のリモコンを使うことで、離れた場所からも操作できる

付属のリモコンを使うことで、離れた場所からも操作できる

本体前面右下部にはヘッドホン出力を用意。6.3mmアンバランス出力だけでなく、4.4mm5極端子とXLR 4ピン端子によるバランス出力も用意されており、ヘッドホン・イヤホン接続は「R9」1台でほぼカバーできそうだ。

本体前面にはXLR 4ピン端子と4.4mm5極端子のバランスヘッドホン出力と、6.3mmアンバランスヘッドホン出力を用意

本体前面にはXLR 4ピン端子と4.4mm5極端子のバランスヘッドホン出力と、6.3mmアンバランスヘッドホン出力を用意

そして、「R9」の真骨頂と言えるのが背面端子の充実ぶりだ。数があまりにも多いので公式の図版を引用しているが、デジタル/アナログともに外部入出力が可能となっており、ポイントとしてはUSB-C端子接続ではPCなどと接続してUSB-DAC利用が可能であること、そして「R9」では新コンセプトとしてHDMI形状のAV入出力を搭載したこと。Android OS搭載のメディアプレーヤーとして、画面出力できるほか、テレビ接続時にARC機能を活用してテレビの音声を高音質で楽しめるというわけだ。

本体背面には各種入出力がずらりと並ぶ

本体背面には各種入出力がずらりと並ぶ

公式サイトに掲載されている端子解説図

公式サイトに掲載されている端子解説図

「R9」はデスクトップストリーマーではあるが、ストリーマーではなく外部入力をメインに使ってもいいし、DAPのようだがヘッドホンでなく据え置きオーディオやアクティブスピーカーと組み合わせるのもOK、それどころか新機能のAV入出力をメインに考えるならテレビまわりで使うのもアリという、多機能過ぎて何者なのか説明するのが難しい、まさに唯一無二の製品なのだ。

本体前面のダイヤルは上段が電源操作とボリューム調整、下段がヘッドホン出力とプリアウトの切り替えになっている

本体前面のダイヤルは上段が電源操作とボリューム調整、下段がヘッドホン出力とプリアウトの切り替えになっている

上段のダイヤルを長押しすることでモード切り替えも可能だ

上段のダイヤルを長押しすることでモード切り替えも可能だ

内部構造も大幅にブラッシュアップ

初回の電源投入後はWi-Fi接続やGoogleアカウント登録などのセットアップを行う形。このあたりはAndroid OSを搭載したスマートフォンとほぼ同じだ。

システムOSはAndroid 11(Android 12にアップグレード予定)、プラットフォームはQualcomm snapdragon 660で、画面から細かなスペックを確認してみるとRAMは4GB、ストレージは64GB搭載だった。いまどきのハイエンドスマートフォンと比べると物足りないスペックだが、デスクトップストリーマーとして実用的に動くところを狙ったスペックのようだ。Google Playを使えるので、Spotifyで音楽リスニングを楽しんだり、YouTubeなどで動画鑑賞も行える。もちろん、Amazon MusicやApple Musicならロスレス再生も可能だ。

Wi-Fiなどの初期設定はAndroid OS搭載のスマートフォンとほぼ同じ

Wi-Fiなどの初期設定はAndroid OS搭載のスマートフォンとほぼ同じ

オーディオデコードを担うXMOS 16コア XU316は768kHz/32bit、DSD512のサンプリングレートまで対応。DACはESS「ES9038PRO」を左右独立構成で搭載し、ヘッドホンアンプは「THX AAA 788+」で最大7.3Wの高出力設計だ。ポータブルDACやDAPで実績のあるFiiOらしいポータブルオーディオのハイエンド設計がしっかりと反映されている。

Android OS上からもシステム構成を確認できる

Android OS上からもシステム構成を確認できる

本体剛性が高められたシャーシ構造に、DC/ACデュアル電源、高品位パーツ採用など、目デジタル回路以外の部分もかなり強化を図っており、本体重量は「R7」の約1.2kgから「R9」では約2.2kgとかなり重くなっている。AV入出力などに目が行きがちだが、純粋にオーディオ製品としてさらなる高音質化を目指した製品でもあるのだ。

ちなみに、Bluetooth通信チップにはQualcomm QCC5125がチョイスされており、受信(入力)、送信(ワイヤレスイヤホン等との接続)とも対応。受信はLDAC/aptX Adaptive/aptX LL/aptX HD/aptX/AAC/SBCで、送信はaptX Adaptiveのみが外れる形となる。

そんな全体像を掴んだ上で、「R9」をデスクトップオーディオ用途、そして新機能のテレビ接続という利用シーンで試してみた。

デスクトップオーディオ用途で「R9」を活用してみた

ここからは「R9」を音楽リスニングに活用していこう。僕が「R7」のユーザーであることを踏まえて、「R9」で実践したヘッドホンによる音楽リスニングは次の3パターン。

USB DACモード
パソコンと接続してUSB DACとして使用。再生音質もUSB DACモードが最も高音質

Androidモード
Amazon MusicやApple Musicといった音楽ストリーミングサービスを使ったリスニング

PureMusicモード
パソコンを接続せず、ストレージに保存した音楽ファイルを再生

特に音質のよいUSB DACモードをメインにして音質をチェックしてみた。AKGのヘッドホン「K712 PRO」を組み合わせていろいろとチェックしてみたが、やはり「R7」から音質が着実にアップしている。

AKGのヘッドホン「K712 PRO」はアンバランス接続で試聴

AKGのヘッドホン「K712 PRO」はアンバランス接続で試聴

現代的な楽曲からYOASOBI『アイドル』と『三原色』をチョイスして聴いてみたが、「R7」のナチュラルな音情報重視のサウンドから、ややシャープな輪郭にシフト。高域のシンバルも実体感が増し、低音のパワー感も上々。ベースにも弾力感が出て、よりダイナミズムのある再現になった。アンバランス接続でも駆動力の余裕をはっきりと感じられるところはヘッドホンアンプ部のブラシュアップが効いているのだろう。ダイアナ・クラール『夢のカリフォルニア』も歌声の立ち上がりがよく、空間描写がさらに鮮明さを増し、同時に空間の広がりと余韻も感じられるところがよかった。

ソニーのヘッドホン「MDR-MV1」はリケーブルしてバランス接続で試聴

ソニーのヘッドホン「MDR-MV1」はリケーブルしてバランス接続で試聴

ヘッドホンをソニー「MDR-MV1」に変更し、バランス接続を試してみた。こちらも空間の広がりと3次元的な立体感がしっかりと出ており、遠くまで音が広がる様、見通しのよさはさすがだ。ボーカルや楽器の音に鮮明さが加わり、低音のリズムも引き締まり躍動感が増している。オーディオ回路のブラッシュアップや物量を投入したおかげだろう、サウンドクオリティは「R7」から着実に進化。20万円超の高価格帯の製品ではあるが、価格に見合うだけのサウンドに到達しているのは確かだ。

ちなみに「R9」は、本体設定から高精度なイコライザー(PQ=パラメトリックEQUALS)も搭載されている。手持ちのデバイスとの組み合わせを試したうえで、お好みでサウンドバランスを調整して楽しんでみるのもいいだろう。

強力なイコライザー機能も搭載(同機能は「R7」にもアップデートで提供されている)

強力なイコライザー機能も搭載(同機能は「R7」にもアップデートで提供されている)

HDMIケーブルでテレビ接続も可能だが…

続いて、「R9」のウリのひとつであるHDMI形状のAV入出力を活用してみた。冒頭でも触れたとおり、HDMI形状の端子を接続する目的は、テレビ向けの映像出力(AV OUTモード)と、HDMI ARCによるサウンド出力(AV ARCモード)だ。また、パソコンやゲーム機などから映像入力(AV IN)し、映像をパススルーすることも可能だ(音声は「R9」から再生という形)。

ただ、一般的にはオーディオ関連では、HDMI ARCはAVアンプやサウンドバーを接続して再生するのに利用する場合が多く、ヘッドホン出力目的でHDMI ARCを使う例はほとんどない。もっとも、「R9」はライン出力もあるので、最近流行りの「テレビの音声をステレオでHDMI ARCで受ける」こともできるのだが……「R9」はスピーカー向けのアンプは内蔵していないので、アクティブスピーカー接続向けというのは珍しい提案性ではある。

何はともあれ、「R9」とテレビとの組み合わせを試してみる。自宅にあるTVS REGZAの「Z970M」のHDMI ARC端子に「R9」を接続してみると、HDMI映像出力はあっさり成功した。ただ、「R9」の画面は縦長なので、そのままテレビに表示すると表示領域は狭くなる点は注意したい。

「R9」をテレビ横にセットしてHDMIケーブルで接続

「R9」をテレビ横にセットしてHDMIケーブルで接続

テレビのHDMI ARC端子に接続した「R9」は、テレビ側からはサラウンドシステムとして認識される。受けられる信号はステレオ2chまでだが、地デジのAACコーデックの音声もビットストリームのまま受けられた。

試しにAKG「K712 PRO」を接続、YouTubeでYOASOBI『アイドル』のライブを再生してみたが、情報量の豊かさとワイドな空間表現がしっかりと感じられ、まるでライブ会場にいるかのような臨場感たっぷりのサウンドを楽しめた。一般的なテレビにもヘッドホン出力はあるが、比べるまでもなく「R9」のヘッドホン出力のサウンドクオリティのほうが上。テレビの音をオーディオ級の高音質で聴くという体験はなかなか贅沢だ。

そして本命はスピーカー接続だろうと、GENELEC「G One」を「R9」に接続してみた。「G One」はアクティブスピーカーではあるものの、本体側に音量調整機能がなくなかなか扱いにくい仕様なのだが、「R9」はライン出力もプリアウト設定にすると音量可変ができるので相性がよい。克明に微細音まで拾って再生してくれる様は、テレビ内蔵スピーカーとはまったくの別次元だ。

テレビの音声をHDMI ARCで受けて再生。ヘッドホン出力も利用可能だが、やはり本命はアクティブスピーカーとの組み合わせだろう

テレビの音声をHDMI ARCで受けて再生。ヘッドホン出力も利用可能だが、やはり本命はアクティブスピーカーとの組み合わせだろう

思った以上に相性がよさそうな「R9」とテレビの組み合わせだが、唯一弱点があったことも報告しておきたい。それは、「R9」がARC対応ではあるが、CEC(HDMIで操作を連動する機能)には対応していないということ。つまり、テレビのリモコンで「R9」のボリュームを変えられないのだ。「R9」にはリモコンが用意されており、そちらでボリューム調整をすれば済むわけだが……テレビと組み合わせる目的では残念なポイントである。

まとめ

デスクトップストリーマーとして第2世代となる「R9」。販売継続となる「R7」と比較した「R9」の魅力は、DAC/ヘッドホンアンプやオーディオ回路の強化による音質向上にあるように思える。機能も端子も豊富過ぎる本機だが、見方を変えればどんな再生ソース/音源であっても、「R9」にさえ接続すればハイクオリティな音声回路を通して出力できる。オーディオの世界では、取り回しのよさから選んでいたはずが、結局はクオリティが欲しくなって……というのはよくある話。最初から両者の揃う「R9」なら、そんな界隈から“むしろコスパがよい”と評価される未来もありそうだ。

折原一也
Writer
折原一也
PC系版元の編集職を経て2004年に独立。モノ雑誌やオーディオ・ビジュアルの専門誌をメインフィールドとし、4K・HDRのビジュアルとハイレゾ・ヘッドフォンのオーディオ全般を手がける。2009年より音元出版主催のVGP(ビジュアルグランプリ)審査員。
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遠山俊介(編集部)
Editor
遠山俊介(編集部)
AV家電とガジェット系をメインに担当。ポータブルオーディオ沼にどっぷりと浸かっており、家のイヤホン・ヘッドホンコレクションは100を超えました。最近はゲーム好きが高じて、ゲーミングヘッドセットも増えてます。家電製品総合アドバイザー資格所有。
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