https://webtan.impress.co.jp/e/2024/04/03/46724
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2023年10月、GoogleはGmail宛にメールを送信する際のガイドラインを強化することを発表した。一部の未対応者に対するエラーレスポンスはすでに始まっており、2024年6月にはGmailユーザーへのメールが届かなくなるかもしれない、と波紋を呼んでいる。
企業のWeb担当者・マーケティング担当者は、この新たな送信者ガイドラインにどう対応すればいいのだろうか。WACULの執行役員 CMOであり、メールマーケティングのエバンジェリストとしても活動する安藤健作氏にお話を伺った。
Gmailの新しい送信者ガイドラインとは?
利用者を日々悩ませている大量の迷惑メール。Gmailを提供しているGoogleでは、毎日約150億件のスパムメールをブロックしているという。
Googleが米国Yahoo!メールと共同で施行した「メール送信者のガイドライン」では、以下のように述べられている。
つまり、1日5000通以上のメールを送信者がGmail宛てに送る場合、新ガイドラインに対応していないと、受信者に届かなくなってしまうということ。米国Yahoo!メール宛てのメールも同様だ。「企業のメルマガ担当者は早急に対応する必要がある」と安藤氏は語る。
今回のGmail規制は2023年10月に発表されてから段階的に行われており、2024年2月1日以降、一部の未対応者に対する一時的なエラー(Soft Bounce)のレスポンスが始まっている。4月1日にはメールの受取拒否が徐々に開始され、6月1日には完全に届かなくなる予定だ(スケジュールは変更される可能性もあるので、適宜Googleのガイドラインを確認して欲しい) 。
とはいえ、「ガイドラインの内容自体はそこまで目新しいものではない」と安藤氏。たとえば、最も対応が騒がれている「List-unsubscribe(リスト-アンサブスクライブ)ヘッダへの対応」については、今から20年ほど前にアメリカで制定された「CAN-SPAM法(キャンスパム法)」で定められている「受信者が配信停止できるオプションを提供すること」がもととなっている。これらを技術的に補完するような施策が、今回のGmail送信者ガイドラインだと安藤氏は語る。
これさえやっておけばOK! Gmail規制への3つの対応
では、具体的にどのような対応が必要なのだろうか。安藤氏は、大きく分けて以下の3つが必要だと語る。順を追って見ていこう。
- SPF・DKIM・DMARCによるメール認証
- ワンクリックの登録解除機能=List-Unsubscribeヘッダの実装
- 迷惑メール率0.1%未満に維持し、0.3%を超えないようにする
対応①SPF・DKIM・DMARCによるメール認証
まず、SPF/DKIM/DMARCによる送信ドメイン認証を導入すること。これは「なりすましメール(Fromアドレスを詐称したメール)」ではないことを証明するための設定だ。
- SPF:送信元のドメインが公式であることを示す設定
- DKIM:メールが改竄されていないことを証明する設定
- DMARC:SPF/DKIMの設定が正しくされていないメールをどう処理するのか、送信元が指示する設定
自社のメルマガがSPF/DKIM/DMARCに対応しているのかを確認する方法は以下の通りだ。「メールの詳細画面>右上の三点リーダー>メールのソースを表示」から見ることができる。
また、Googleが提供する「Postmaster Tools」においても設定状況が確認できる。
なお、DMARCを導入すると、なりすましメール(SPF/DKIMが正しく設定されていないメール)を受信側でどう処理するのか、送信側が決めることができる。処理の仕方は以下の3種類だ。
- none(何もしない)
- quarantine(別フォルダに隔離する)
- reject(受け取らないようにする)
対応②ワンクリックの登録解除機能=List-Unsubscribeヘッダの実装
次に必要なのが、List-Unsubscribeヘッダを実装すること。これはつまり、メルマガのメッセージにワンクリックの登録解除機能を搭載することだ。
List-Unsubscribeヘッダを設定すると、メールの詳細画面に「メーリングリストの登録解除」の文章が出るようになり、ワンクリックでの登録解除が可能になる。なお、メールの一覧画面でカーソルをかざすだけでも「配信停止」の文字が表示される。
注意メール本文の配信解除は、今回のGmail規制とは別物
注意すべきなのが、メール本文に「配信解除」の直リンクがあったとしても、今回のGmail規制の対応には該当しない。配信システム自体を改修する必要がある。つまり、メルマガに購読解除の導線があるかどうかとは別問題なのだ。
なお、メール本文の直リンクからではなくGmailの画面上で「配信解除」をした場合は、「基本的にはメール配信システム側で自動で顧客データベースに反映されるだろうが、メール配信システムと顧客データベースを別で運用している場合などは注意が必要だ」と安藤氏は語る。
対応③迷惑メール率0.1%未満に維持し、0.3%を超えないようにする
ここまでは期日までに終わらせるべき設定だが、3つ目は期日後も恒久的に対応すべき内容だ。
迷惑メール率は、メールを受信した人が詳細画面で「迷惑メール報告」した件数をカウントしたものだ。こちらもGoogleが提供する「Postmaster Tools」に登録すると確認できる。これは今後も恒久的な対応が必要になるため、今まで知らなかった担当者はぜひ確認してほしい。
きちんと対策すれば怖くない! よくある質問・Q&A
安藤氏は、「これら3つの対応さえ済ませれば、6月1日以降も今まで通りGmailを使うことができます」と語る。
最後に、よくある疑問をQ&A形式でまとめたので、不安な方はぜひ参考にしてほしい。
Q:メールが受信者に届いていない場合、通知は来るんですか?
Q:今回のガイドラインは、メルマガ以外に通常の問い合わせメールなどにも適用されますか?
ただ注意すべきなのが、プロモーションメールかトランザクションメールかの判断基準が不明であること。Googleのヘルプを見ても、「受信者が判断するもの」と書いてあり、明確な基準とはいいがたい。とにかく、システムから大多数に対して自動送信されるようなものは、届かなくなる可能性が高いと思った方がいいだろう。
Q:基本的にシステム担当者が対応するべき話かと思うのですが、Web担当者やマーケティング担当者がしなければならないことはありますか?
前述のように自社のメルマガをGmailで受け取ってみて、「SPF/DKIM/DMARCによるメール認証がされていないな?」「List-Unsubscribeヘッダが表示されていないな?」と気づいたら、すぐに共有することをお勧めする。
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