コロナ禍で一気に広がったリモートワーク(在宅ワークまたはテレワーク)だが、昨今ではオフィス回帰の動きが広がっている。通勤通学時間帯の混雑が戻り、対面でのビジネス活動が積極化するなど、すでにかつての日常が戻ってきているのは多くの人が実感しているだろう。

 だが、オフィス回帰が進んでも、依然としてリモートワークを活用する動きは健在で、特に大手IT企業では低い出社率を維持しているところも少なくない。大手IT企業のリモートワークの状況は果たしてどうなっているのだろうか。日本におけるリモートワークの現状を追ってみた。

東京都ではリモートワーク週3日以上が40%台で推移

 オフィス回帰の動きは強まっており、実際に首都圏における朝の通勤時間や、夕方の帰宅時間の電車は、コロナ禍に比べると確実に混んでいる。

 国土交通省が調査している通勤通学時間帯の主要区間の平均混雑率によると、コロナ禍前の2019年度の首都圏の混雑率は163%となっていたが、コロナ禍の2020年度は107%と減少。2021年度も108%となっていたが、2022年度は123%へと上昇している。肌感覚としては、2023年度は前年度よりも混雑感があるだけに、この数値は上昇している可能性がある。

 東京都では、従業員30人以上の都内企業のリモートワーク実施率を発表しているが、最新データとなる2024年2月のリモートワーク実施率は43.4%となっている。

リモートワークの実施回数(東京都調べ)

 コロナ禍での緊急事態宣言期間は60%を超えるリモートワーク実施率となっていたが、その後、実施率は減少。2023年5月に新型コロナウイルスが5類感染症に移行する直前の2023年4月には、46.7%とコロナ禍以降、初めて40%台となり、それ以来、40%台で推移している状況だ。

 リモートワークの実施回数についても調査しており、2024年2月の調査では、リモートワークを週5日実施しているケースが17.6%、週4日が9.6%、週3日が12.9%となり、週3日以上が40.1%を占める。

 2年前の2022年2月の調査では、リモートワークを週5日実施しているケースが23.3%、週4日が13.2%、週3日が14.7%となり、週3日以上が51.2%となっていたことに比べると、約11ポイント減少しており、リモートワークの実施回数が減っていることが分かる。

東京都内企業のリモートワーク実施状況(東京都調べ)

 また、野村総合研究所が、2023年7月に、東京都内の大企業に勤務する3,090人を対象に実施した調査によると、毎日出社するとの回答は53.1%と過半数に達し、週3日以上を含めると75.1%に達していることが分かった。つまり、4分の3の回答者が、週3日以上出社していることになる。

出社頻度の推移(野村総合研究所調べ)

 同社では、東京都で最後のまん延防止等重点措置の期間中だった2022年2月にも調査をしており、その際には、毎日出社が38.3%、週3日以上が59.7%であったことに比較すると、オフィス回帰が進んでいることが分かる。

国内大手IT企業のリモートワーク状況

 では、国内大手IT企業のリモートワークの状況はどうなっているのだろうか。

 本誌では、2020年4月から、14社のIT企業のリモートワークの状況をレポートした「わが社はこうやってテレワークしています」を掲載し、IT企業が先行する形で、リモートワークを積極的に活用している実態をレポートしたが、それから約4年を経ても、リモートワークを積極的に利用している実態には変化がないと言ってよさそうだ。

 IT産業や関連する産業の動きをみると、むしろ、リモートワークを活用しながら、さらに進歩した新たな働き方を模索している姿勢が浮き彫りになってくる。

日本マイクロソフトの場合

 たとえば、日本マイクロソフトでは、出社日数に関する規定はなく、社員一人一人が自分の判断で、働きやすい場所や時間帯を選択して仕事をしている。

 同社では、「2022年以前に比べると出社人数は増えているが、コロナ前に比べると出社率は圧倒的に低い。東京・品川の本社も、時間によっては閑散となっている場合がある」とする。

 日本マイクロソフトでは、コロナ禍においては、感染が広がる前の2020年2月上旬から在宅勤務を推奨し、3月には、原則在宅勤務の体制にいち早く移行。その後も、状況を見ながら緩和をしてきたが、在宅勤務や直行直帰を利用する社員は今でも多い。

 とは言え、日本マイクロソフトに中途入社した社員が、コミュニケーション強化などを目的に自主的に出社日数を増やしたり、組織によっては週1回の出社を前提にしたりといったケースもあるという。

 だが、日本マイクロソフトは、全世界のMicrosoftの現地法人の中でも出社率が低い状態を継続しているようだ。

富士通クライアントコンピューティング(FCCL)の場合

 富士通クライアントコンピューティング(FCCL)では、2023年4月から 週1回の出社を前提とした働き方に移行。だが、業務状況や個人の事情などに基づいた任意の在宅勤務が可能であり、これをハイブリッド型勤務と位置付け、働き方の選択肢を広げているのが特徴だ。

 また、新型コロナウイルスが、2023年5月8日から、5類に変更したことで、通勤方法は公共交通機関を推奨する方針へと見直しを行ない、国内出張などについても制限を緩和している。

 FCCLでは、PCの設計、開発を行なうR&Dセンターにおいては、専用設備を使った実験が必要であるため、コロナ禍においても、バイクや自転車での通勤を認めたり、近くのホテルを借りあげたりすることで、通勤時における社員の健康や安全に配慮しながら、出社を可能にしてきた経緯がある。そのため、コロナ禍でも出社率は高い傾向にあり、2021年12月時点での出社率は約30%となっていた。

 また、製造拠点である島根富士通でも、工場の稼働を止めることなく生産体制を維持。一方で、コロナ禍の期間は、本社や開発部門からの出張は原則行なわないことや、工場見学の受け入れ禁止といった措置を講じてきたが、これらの措置もすでに解除しており、2023年度は出雲市内の小学校12校、約1,000人の生徒の見学を受け入れている。

 ただ、2023年4月に、週1回の出社を前提としたルールに変更しても、FCCLの2023年10月時点での出社率は約40%となっており、コロナ禍に比べて約10ポイント増加しているにすぎない。柔軟な働き方を選択できる勤務体系としていることから、社員がリモートワークを活用し、効率的な業務の推進を実現している状況が分かる。

日本HPの場合

 日本HPでは、コロナ前から最大週4日までのリモートワークを可能とし、最低1日はオフィスに出社することをルール化。これを「フレックスワークプレイス制度」として運用していたが、コロナ禍では、完全在宅勤務へと移行し、現在では、コロナ禍以前と同じく週1日のオフィス出社を推奨する制度へと戻している。

日本HPのハイブリッドワークの実施状況

 2016年11月~2017年2月時点の社内調査では、リモートワークなし(完全出社)が23%、リモートワークが1日未満とした社員は42%となっており、合計で65%の社員が、リモートワークを積極的に利用していなかった。このとき、週3日以上をリモートワークにあてていた社員は4%に留まっていた。それでも、2016年時点で、35%の社員がリモートワークを活用していたのは先進的だったと言えるだろう。

 今回公表した2023年12月~2024年2月の社内調査によると、リモートワークを週3日以上としている社員は38%、週2日~3日が28%、週1日程度が34%となっており、数字上では完全出社している社員はゼロになっている。

 「リモートワークの活用は業務内容や個人の自由裁量となっており、現在では、ほぼすべての社員が、週1回以上のリモートワークを活用している。中途採用で入社した社員が自主的に、一定期間は毎日出社しているというケースがあったり、仕事の内容が出社したほうが効率的であると判断した社員は出社していたりする。だが、多くの日数をリモートワークにあてている社員が多い」とする。

 同社では、2020年には書類への捺印プロセスをデジタル化し、電子捺印制度を導入。出社をせずに契約書などの処理が行なえるようにする一方、2021年の品川への本社移転では、フレックスワークを前提としたオフィスづくりを推進し、フリーアドレス制を導入しながら、従来の約半分のスペースに集約。出社する社員は、オンラインで1カ月分の座席予約が行なえるようにしているという。

 この5年間で、社員エンゲージメントスコアは23ポイント上昇。柔軟な働き方が社員から評価されていることが裏づけられている。

セイコーエプソンの場合

 セイコーエプソンでも、2023年10月から、社員の対面コミュニケーションを強化する狙いから、週1回は出社するというガイドラインを社内に示しているが、あくまでも目安であり、それぞれの職場での状況を判断しながら、最適な頻度を目安として運用することになっているという。

 たとえば、同社広報部門ではガイドラインで示された週1回の出社は必須にはしておらず、仕事の内容によって働く場所を選択できるようにしている。

 「出社率が増えている部門はあるが、2月の出社は2回だけだった社員もいる」とする。

日本IBMの場合

 日本IBMは、1月30日から東京・虎ノ門に本社を移転し、より柔軟な働き方を進めている。

 虎ノ門の新本社に加えて、これまで本社があった箱崎事業所と、丸の内の永楽ビルディングの3カ所を都内主要拠点と位置付けて、いずれも社員が自由に利用できるようにしている。なお、箱崎事業所は全25フロアのうち15フロアを返却し、上層階の10フロアだけをオフィスとしている。

 さらに、新宿、渋谷、品川などにサテライトオフィスを設置しているほかに、時間貸しオフィス(リモートワークスペース)とも契約。自宅からの在宅勤務も自由に選択できるようにしている。

日本IBMでは、出社した社員とリモートワークの社員がコラボレーションできる環境も用意している

 「最も働きやすく、結果が出しやすい場所を選び、時間の使い方も考えながら働くことができる仕組みにしている。仕事によっては3週間連続で出社したほうがいい場合もあるし、2週間自宅に籠ったほうが、パフォーマンスが上がる場合もある。仕事の内容や仕事のフェーズによって、働く場所を自由に選択し、最大限のパフォーマンスをあげてもらうことになる。虎ノ門の新本社も、その選択肢の1つの場所として用意した」とする。

日本IBMの虎ノ門本社。さまざまな働き方ができるようになっている

 日本IBMでは、本社機能と呼ばれる経理、財務、人事、総務、営業本部、経営企画などにおいても、オンデマンドワークスタイルの浸透やデジタル変革の推進によって、すでに、1カ所に集まって仕事をすることが必要ないバーチャル組織として、オペレーションができるようになっているという。

 つまり、虎ノ門の新本社は、本社機能に関連する部門の社員が出社する場所ではなく、柔軟性が高い働き方を選択できる環境の1つと位置付けているのだ。

マウスコンピューターの場合

 ユニークな取り組みを行なっているのは、マウスコンピューターだ。

 在宅勤務が可能な社員を対象にした制度では、職種によって若干の違いはあるものの、コアタイムを設けずに、月160時間の勤務をすれば、都合に合わせて出勤や退勤時刻を調整できる仕組みを採用している。働き方次第では、週休3日の勤務も可能になるという。

 「従来は勤務時間が決まっており、リモートワークを行なう際には上長への事前申請が必要だったが、コロナ禍においてリモートワークを行ないながらも、パフォーマンスを落とすことがなかったため、その成果をもとに働く仕組みを大きく変えた」という。コロナ禍での成果を背景に、より一歩、柔軟な働き方を実現しているわけだ。

 また、マウスコンピューターのサービスセンターでは、PCを修理する業務のため、出社して仕事を行なうことが前提になるが、1時間単位で有給休暇を取得できる仕組みを新たに導入。子どもの迎えや送り出しなどに活用する社員が多いという。

 「これまでは、有給休暇を取得すると、最低でも半日単位となっていたが、1時間単位で取得できるようにしたことで、出社して仕事をする業務に携わっている社員でも柔軟な働き方ができるようになった」とする。

ジョンソンコントロールズの場合

 ただ、対面コミュニケーションを重視したいという理由から、出社を増やす企業が多いのは事実だ。

 ビルオートメーションシステムやデータセンター向け中央監視事業などを行なうジョンソンコントロールズでは、コロナ禍では50%のリモートワーク率としていたが、2023年途中からは、管理職についてはフルに出社することとなり、バックオフィス業務では50%の出社率を方針としている。

 「部下が上司に相談したいと思ったり、コーチングしてほしかったりといった場合に、コンタクトがしやすいように上司がどこにいるかが分かるほうがいいと考え、管理職はフル出社にしている。また、コロナ禍では社内研修もオンラインに限定していたが、現在はほとんどを対面での研修にしている。深い理解ができる研修が可能になっているという成果が上がっている。そのほか、安全大会、キックオフ、タウンホールミーティング、ファミリーデーも対面で行なうことで、会社や仕事に対するエンゲージメントを高めている」とする。

企業の出社要請は増えているが自主的な出社も増加

 リモートワークだけに限定すると接点が薄れたり、理解が浸透しなかったりといった課題を感じていた企業では、対面コミュニケーションによるメリットを生かす仕組みへと移行しているケースが見られている。

 先に触れた野村総合研究所の調査では、出社頻度が増加した理由として、「勤務先の方針やルールが変わり、出社を求められるから」との回答が39.0%と最も多く、企業側の要請によって出社率が増加していることが裏づけられる。

出社頻度が増加した理由(野村総合研究所調べ)

 だが、「出社したほうがコミュニケーションを円滑に取れるため、自主的に出社を増やしたから」との回答が28.2%、「出社したほうが業務に集中できるため、自主的に出社を増やしたから」が23.7%となっており、働く側がリアルならではのコミュニケーションのメリットや、業務に集中できる環境を求めて出社しているケースが見られている。

 企業側の要請によって出社するということだけでなく、社員の自主性によって出社が増加していることが分かる。

従業員は完全リモートワークは望まず。ハイブリッド勤務が人気

 クアルトリクスが、2024年3月に発表した「2024年従業員エクスペリエンストレンドレポート」では、コロナ禍やコロナ前とは異なる新たな働き方が求められていることが浮き彫りになる。

「2024年従業員エクスペリエンストレンドレポート」による出勤形態別の評価(クアルトリクス調べ)

 オフィスに週5日間出社する「完全出社」の社員は、3年以上の継続勤務意向が63%となっているのに対して、週0日出勤の「完全リモート」では66%と若干高いという結果が出た。だが、オフィスに週2日~4日出社する「ハイブリッド」の勤務では72%とさらに高い結果が出ており、完全出社や完全リモートよりも、ハイブリッドによる柔軟な働き方を行なえる企業のほうが、3年以上勤務したいという意向が強いことが分かった。

 これは日本における2,002人の回答をまとめたものだ。

 同社では、「ハイブリッドによる働き方は、エンゲージメント、インクルージョン、ウェルビーイングの項目においても、高い水準になっている。社員にとっては、完全出社も、完全リモートも一長一短があると判断されている。ポストコロナの出勤制度については、全社画一的なルールを設定するのではなく、関連データをもとに業務特性を考慮した上で、部署や職種ごとに最適解を求める必要がある」と提言した。

 同社では、今回の調査結果から、社員はリモートワークを評価する一方で、リモートワークに完全に没頭することは望んでいないことを指摘。その理由として、他人と対面で交流したい、仕事とプライベートの境界をはっきりさせたい、毎日ちゃんとした服を着て家を出る理由がほしいなどの声があがっていたとする。

 また、新規採用者にとっては、完全にリモートワークだと、同僚や上司との交流が制限され、チームから孤立したような感覚に陥る可能性があることも指摘し、完全リモートワークのままでは、新規採用者の離職防止にはつながらないとも分析した。

完全出社なら約3分の2の従業員が離職を検討

 米国の大手IT企業では、週3日以上の出社を義務づけるなど、出社を推奨する動きが顕著になり、それを理由に退職する社員の動きが見られている。だが、大手IT企業においては、大規模な人員削減が進められる局面に入っており、出社義務を課すことで、人員削減を進めやすくする狙いがあるとの指摘も出ている。

 周辺機器メーカーのロジクールによる調査でも興味深い結果が出ている。

 2023年9月に、日本市場を対象に同社が実施した委託調査によると、リモートワークを経験したことがある人のうち、82%が「リモートワークを継続したい」と回答しており、62%の社員が「オフィスでのフルタイム勤務体制に戻らなければいけない場合には、新しい仕事を探すことを検討する可能性がある」と回答している。

 完全出社に戻した場合には、約3分の2の社員が離職を検討するという衝撃的な結果でもある。

 だが、リモートワークに対しては、「対面と比較してコミュニケーションがうまく取れない」、「人とのつながりが希薄になり孤独を感じる」などの課題を感じている社員が多く、リモートワークによる社員同士の断絶は、希望退職者の主な要因の1つにもなっていることも指摘した。

 「こうしたギャップを埋めるためには、オフィスや自宅、サテライトオフィスなど、時間や場所にとらわれないハイブリッドワークを推進しながら、遠隔によって生じるコミュニケーション上の課題を解決する新たな形のオフィスの実現と、デジタルツールの活用が必要になる」と提案。ハイブリッドワークに適したオフィス環境の確立と、それに適したツールの活用が重要であることを強調した。

今のオフィス設備は従業員のニーズを満たしていない

 シスコシステムズが、アジア太平洋地域(日本を除く)の企業を対象に、2023年11月に実施した調査では、79%の企業がオフィス勤務の全面的再開および一部再開を社員に指示したという結果が出ており、その主な要因として、生産性の向上やチームのコミュニケーションの強化のほか、リーダーシップによる圧力が上がっている。

 しかし、71%の企業では、オフィスへの復帰を求めた際の社員の反応は良好であると回答しており、回答した社員の77%は少なくとも週のうち数日はオフィスでの勤務を再開したいという意向を示したという。

 だが、同調査で明らかになったのは、オフィスに対するニーズが、コロナ禍を経て、大きく変化しているということだ。

 社員がオフィス勤務を再開したい主な理由としては、コラボレーションが77%、ほかの社員とのアイデア検討やブレインストーミングが63%、帰属意識の育成が48%となっており、従来のように自分の作業をオフィスで行なうためという使い方が減っている。

 同社では、「ワークスペースに対する社員の期待やニーズが変化しているのにも関わらず、今のオフィスは、社員のニーズの変化を反映していないのが現状である」と指摘する。実際、同調査では64%の社員が、自社のオフィスが目的に対して十分には適合しておらず、ベストな仕事をできる環境にないと考えており、81%の社員がオフィスのレイアウトや座席がコラボレーションやブレインストーミングといった目的に合っていないと感じていることが分かった。

 調査では、社内においてWeb会議の設備が十分に整備されていると感じている社員は30%に留まっており、スマート会議室アシスタントなどの先進的なツールが十分に整備されていると感じている社員はわずか20%に過ぎないという結果が出た。シスコシステムズでは、働き方の変化とともにそれに合わせてオフィスも変革する必要性を提言している。

まとめ - 求められるハイブリッドな働き方

オフィスや自宅だけでなく、さまざまな場所で働く環境が用意されている

 こうしてみると、社員の離職を防止するには、リモートワーク一辺倒の働き方ではなく、ハイブリッドによる柔軟な働き方が最適解となっているようだ。

 各調査の結果や主要IT企業への取材を通じても、新規採用者にとっては、出社する機会を設けてコミュニケーションを円滑に取る必要があること、長年勤務している社員にとっては、企業側の要請だけでなく、自らの意思によって働き方を選択できるようにしている環境が重視されていることも浮き彫りになる。

 また、オフィスに求められる要素も変化しており、自分の仕事をこなす場所というよりも、コラボレーションや対話、ブレインストーミングやアイデア創出の場という役割が求められており、それに合わせてオフィスづくりが重要になっているとも言える。

 かつての完全出社の状況から、コロナ禍における完全リモートの働き方を経て、今社員から求められているのは、出社とリモートを組み合わせて、柔軟に働くことができるハイブリッドによる働き方ということになる。それに合わせた働く環境を再構築する必要がある。働き方と働く環境は、まだ変化することになりそうだ。