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九州大学の横山士吉教授らは、シリコン基板上に塗布で作れる光変調器を開発した。強誘電体薄膜に光を通して電圧をかけ電気信号を光信号に変換する。動作効率が10倍になり、小型化や集積化が可能になった。大容量光通信や量子コンピューターの量子ビットの操作などに提案する。
シリコン基板上に強誘電体のPLZTの結晶薄膜を形成する。シリコン表面の酸化膜は非結晶のため、酸化膜の上で結晶を成長させることは難しい。そこでタネ結晶となるシード層を導入した。シリコン酸化膜上にPLZTと結晶格子の合うシード層を形成し、その上にPLZTの配向結晶を成長させる。従来は結晶の貼り合わせ工程などが必要だった。
塗布式で製造負荷が小さくなり、性能も向上した。PLZT薄膜の電気光学係数は汎用電気光学結晶の約10倍。小さな電圧で屈折率が変化し、光変調器を小型化できる。
光通信のレーザー光を入射して電圧をかけると、屈折率変化で光の位相を制御できる。電気信号を光信号に変換し、最高で170ギガボーレート(ギガは10億)で変調できた。従来技術の2―3倍に向上した。光変調器を集積化し量子ビット操作などに応用していく。
日刊工業新聞 2024年7月25日
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