2024年8月3日土曜日

2024年8月1日 理化学研究所 磁場のない条件下で超伝導ダイオード効果を観測 -超伝導量子素子へ向けた重要な一歩-

https://www.riken.jp/press/2024/20240801_1/index.html

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理化学研究所
〒351-0198 埼玉県和光市広沢2-1
Tel
048-462-1111(代表、音声案内)
 
法人番号
1030005007111
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補足説明

  • 1.空間反転対称性
    ある系について空間座標(x, y, z)を(-x, -y, -z)に移すような操作のことを空間反転操作と呼ぶ。そのような操作を行っても系の状態が変わらないとき、その系は空間反転対称性を有している。ダイオード効果の発現には空間反転対称性の破れが必須である。
  • 2.三回回転対称性
    ある系について120°回転させるという操作を行った場合には系の状態が変わらない一方で、60°回転させるという操作では系の状態が変わってしまう場合、その系は三回回転対称性を有している。例えば正三角形は120°回転させると元の図形と一致するが、60°回転させても一致しないため、三回回転対称性を有している。
  • 3.PbTaSe2
    遷移金属であるTa(タンタル)とカルコゲン原子Se(セレン)から成る、三回回転対称性を持つ層状物質であるTaSe2に、Pb(鉛)の三角格子が挿入された結晶構造を持つ超伝導体。バルクで空間反転対称性が破れている。
  • 4.超伝導ダイオード効果
    超伝導体に電流を流したとき、電流をある方向に流すと超伝導電流が流れ、それとは逆方向に流すと常伝導電流が流れるという整流効果。一般に超伝導体は流す電流の絶対値を大きくしていくと、電圧が生じない超伝導状態から、有限の電圧が生じる常伝導状態へと転移する。このときの電流値は臨界電流と呼ばれ、流した電流と生じた電圧の関係である、電圧―電流特性を測定することで観測可能である。超伝導ダイオードにおいては、電流を正に印加したときと負に印加したときの臨界電流の絶対値に差が現れる。
  • 5.時間反転対称性
    ある系の時間を逆行させてもその系の状態が変化しないとき、その系は時間反転対称性を有している。磁場ないしスピンは円環電流と等価であるため、磁場が印加されている、あるいは磁化が存在する系では時間反転対称性は破れている。

共同研究グループ

理化学研究所 創発物性科学研究センター
創発デバイス研究グループ
基礎科学特別研究員 板橋 勇輝(イタハシ・ユウキ)
(東京大学大学院工学系研究科 物理工学専攻 助教(研究当時))
グループディレクター 岩佐 義宏(イワサ・ヨシヒロ)
(東京大学大学院工学系研究科 物理工学専攻 教授(研究当時))
創発光物性研究グループ
特別研究員(研究当時)王 子謙(ワン・ズーチエン)
グループディレクター 小川 直毅(オガワ・ナオキ)
(理研 創発物性科学研究センター センター長室 室長)

東京大学大学院工学系研究科
特別研究生(研究当時)劉 豊碩(リュー・フェンシュオ)
修士2年(研究当時)青木 俊太(アオキ・シュンタ)
博士2年(研究当時)董 禹(ドン・ユー)
准教授 井手上 敏也(イデウエ・卜シヤ)

原論文情報

  • Fengshuo Liu, Yuki M. Itahashi, Shunta Aoki, Yu Dong, Ziqian Wang, Naoki Ogawa, Toshiya Ideue, and Yoshihiro Iwasa, "Superconducting diode effect under time reversal symmetry", Science Advances, 10.1126/sciadv.ado1502新規タブで開きます

発表者

理化学研究所
創発物性科学研究センター 創発デバイス研究グループ
基礎科学特別研究員 板橋 勇輝(イタハシ・ユウキ)
グループディレクター 岩佐 義宏(イワサ・ヨシヒロ)
創発光物性研究グループ
特別研究員(研究当時)王 子謙(ワン・ズーチエン)
グループディレクター 小川 直毅(オガワ・ナオキ)

報道担当

理化学研究所 広報室 報道担当
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