2024年12月20日金曜日

光の散乱現象でAI演算、ほぼ電力ゼロで超高速処理 石橋 拓馬 日経クロステック/日経エレクトロニクス 2024.12.19

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/03037/121600003/



リザバーコンピューティングのリザバー層(ニューラルネットワーク演算を行う階層)は、入力に対して出力が非線形な挙動を示すものであれば何でもよい。この非線形挙動部に光の干渉や散乱現象を利用しようという動きがある(図1)。国内では埼玉大学やNTTなどが研究に力を入れている。
図1 光回路を利用した映像認識のイメージ
図1 光回路を利用した映像認識のイメージ
カメラを利用した従来の映像認識技術では、光信号から電気信号に変換する際の遅延やプロセッサーでの電力消費が課題だった(a)。光の反射や干渉を利用した光回路は、光信号をそのまま処理するため、高速かつ低電力消費(原理によっては電力消費ゼロ)で演算できる(b)(出所:日経クロステック)
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 埼玉大学と金沢大学の研究グループはシリコンフォトニクス技術を用いてシリコン基板上に実装した「光回路チップ」を開発した(図2)。このチップには、2×2mm角の基板に渦巻き形状の光の通り道(光導波路)が形成してあり、リザバーコンピューティングにおけるリザバー層の役割を果たす。


†シリコンフォトニクス=シリコン半導体の製造技術を活用してシリコンウエハー上に光回路を構築する技術。
図2 光回路チップ(左)と概略図(右)
図2 光回路チップ(左)と概略図(右)
左上から入射した光は渦巻き状の導波路を時計回りに円の中心へと伝播する。中心まで行くとS字の部分で伝播方向が変わり、反時計回りに円の外側へと伝播。右下の出口へと光が抜けていく。時計回りと反時計回りの導波路は交互に隣接しており、隣接した導波路間の散乱光によって光が干渉する。導波路入り口から出口までの長さは39mm(出所:写真は埼玉大学、概略図は日経クロステック)
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