2019年5月6日月曜日

精子だけで受精卵が出来て赤ちゃんができる? 英大学で研究進む

勉強の為に転載しました。
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-37358295

ジェイムズ・ギャラガー科学・ヘルス担当記者
精子と卵子Image copyrightSPL
いつか卵子を使わずに精子だけで赤ちゃんができるようになるかもしれないことが、英バース大学の研究で明らかになった。研究は初期段階にあるが、マウス実験で健康な赤ちゃんの誕生に成功したという。
研究者チームは、遠い将来、女性の関与なしに赤ちゃんが作れるかもしれないと話している。研究結果は、英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ電子版に掲載された。
現時点では、研究結果は受精の仕組みの詳細を明らかにする助けになる。
お父さんとお母さんの終わり?
バース大学の研究チームはまず、化学薬品を使って未受精卵を疑似胚細胞に変化させるところから始めた。
「偽」の胚細胞は、分裂の過程やDNAの働きなどで、皮膚細胞といった通常の細胞と同じような性質を持っている。
研究者らは、マウスの疑似胚細胞に精子を入れれば、健康な赤ちゃんを作れるのではないか、また人間でも、卵子ではない細胞を使って同様の結果を得られるのではないかと考えた。
MiceImage copyrightTONY PERRY
マウスでの実験では、3対1の確立で妊娠に成功した。
研究者のひとり、トニー・ペリー博士はBBCニュースのウェブサイトの取材に対し、「卵子以外のものを精子と結合させて、子を作り出すことに成功したのは、これが初めて」と語った。「ほぼ200年来の考え方を転換させるものだ」。
実験で生まれたマウスの寿命はほかのマウスと変わらず、繁殖もした。
研究チームは、受精の仕組みを詳しく明らかにしようとしている。精子と卵子が結合すると、そこで何が起きているのかについては、謎が残る。
例えば、卵子は精子のDNAを覆う化学物質を完全に取り除き、新たな覆いを被せる。その結果、精子は精子らしい動きを止め、胚細胞に変化する。しかし、どのように「着替え」が起きるのかは不明だ。
卵子を必要としない生殖を可能にすることは、社会に幅広い影響を及ぼす可能性がある。
ペリー博士は、「遠い将来、体の通常の細胞を精子と結合させ胚細胞にすることが、可能になるかもしれない」と語った。
別の言い方をすれば、2人の男性の一方が通常の細胞、もう一方が精子をそれぞれ提供して子どもを作ることが可能になるかもしれないというわけだ。
または、ひとりの男性が自分の細胞と精子を使って子どもを持つ可能性もある。その場合、子どもはクローンよりも一卵性でない双子に近い。
ペリー博士は、そのようなシナリオは現段階では依然として「推測、空想の域」だと強調する。
中国では今年、幹細胞から精子を作り出し、その精子を使って受精し健康なマウスを誕生させることに成功している。
ペリー博士は、中国での研究成果と組み合わせれば、精子も卵子もない状態から赤ちゃんを作ることが可能になるかもしれないと示唆した。
英フランシス・クリック研究所のロビン・ロベル=バッジ教授は、「(論文の)執筆者らが興奮するのも当然だ」とし、「とても興味深い論文であり技術的な偉業で、受精と単細胞の核移植(クローン生成)の両方に関係する、成長の初期段階の再プログラミングについて重要な何かを教えてくれるだろう」と述べた。
ロベル=バッジ教授はさらに、「もっと幅広く、ほかの状況における細胞変化の再プログラミングについて、分かるかもしれない」と指摘した。
「再プログラミングがどう行われているのか、いまだ説明されていないが、論文は明確なヒントをいくつか与えてくれている」

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