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2021年01月20日 05:05
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腰痛の約85%を占めるとされる非特異的腰痛は、病態が特定しにくく治療が難しいため、時に"謎の腰痛"と言われてきた。徳島大学整形外科教授の西良浩一氏は、非特異的腰痛の発痛部位を同定するための問診や画像診断におけるポイントなどを第28回日本腰痛学会(2020年10月30日~11月29日、ウェブ開催)で解説した。
椎間板性腰痛と腰椎終板炎で7割を占める
西良氏は、2008~16年に非特異的腰痛で受診した成人アスリート23例全例の発痛部位を同定。治癒し競技への復帰を可能にした報告を提示した(J Med Invest 2019; 66: 252-257)。こうした診療経験を基に、「非特異的腰痛の診断は、問診により重篤な脊椎疾患(腫瘍、炎症、骨折など)の合併を疑うべき危険信号(red flags)や神経症状の有無などを確定できる」とし、「保存療法を4~6週間実施しても改善が見られない場合、初めて画像検査が実施される」と述べた。
なお、こうした過程を経て特異的腰痛であることが明らかになれば、観血的治療を要する可能性もあるため診断が急がれるという。
非特異的腰痛と診断された場合は、屈曲時痛もしくは伸展時痛のどちらを有しているか問診する必要がある。
屈曲時痛では椎間板性腰痛やModic type 1変化(腰椎終板炎)、伸展時痛では椎間関節炎、初期腰椎分離症が想定されるが、これらのうち、椎間板性腰痛と腰椎終板炎が非特異的腰痛の70%を占める。同氏は「一般診療では両疾患の診断が重要である」と述べた。
具体的動作に関する問診などで判断
椎間板性腰痛を疑う際の問診では、「靴下を履く際に痛むか」「洗顔時に痛みが増強されるか」といった具体的な動作について尋ねることで屈曲時痛の有無が明らかになるという。同様に「咳・くしゃみで痛みが生じるか」「立位より坐位の方が痛むか」などと尋ねると、椎間板内圧上昇に伴う痛みの有無が判明する。これら一連の質問が肯定された場合、椎間板性腰痛の疑いが高まる。
画像診断では、膨隆部分に白い領域(High Intensity Zone;HIZ)が確認できる点も椎間板性腰痛の特徴である(画像)。
画像. 椎間板性腰痛の所見
(西良浩一氏提供)
また、腰椎終板炎を疑う際の問診は基本的に椎間板性腰痛と同様だが、「起床時が一番つらく、身体が温まると軽減する」といった特有の訴えがあるかどうかを確認するとよいとした。画像診断については、MRIのT1強調画像で黒く、脂肪抑制T2強調画像(STIR)では白く描出される。
一方、伸展時痛を発する椎間関節炎と初期腰椎分離症は症状が酷似しているが、椎間関節に変化が生じれば前者、関節突起間部が破綻していれば後者であるという。加えて、前者は30歳以降、後者は発育期から20歳代で好発する傾向にある。
以上のように解説した西良氏は「腰痛は問診の段階で発痛部位をほぼ予測でき、それによって導き出された病態は画像診断で確定する。病態の確定が腰痛完治への第一歩となる」と結論した。
(陶山慎晃)
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