【イメージ】ブッダボットに質問すると…

【イメージ】ブッダボットに質問すると…

 抱えている悩み事について「悟り」を開いたお釈迦(しゃか)さんにアドバイスをもらいたい-。そんなかなうはずのない望みを実現しようと京都大などのグループは26日、最古の仏典「スッタニパータ」を基に機械学習した仏教対話AI(人工知能)「ブッダボット」を開発したと発表した。グループの仏教学者は「改良はまだ必要だがAIを使い、現代社会に合致した仏教を実現したい」と話す。


 スッタニパータは、約2500年前の釈迦入滅から約200年がたつまでに成立したとされ、釈迦と弟子の対話がメインとなっている。京大こころの未来研究センターの熊谷誠慈准教授(仏教学)らは、スッタニパータの日本語訳から約100のパターンの質問と答えを抽出。AIに機械学習をさせることで、さまざまな質問を入力すると、内容に応じて回答例が示されるブッダボットを開発した。


 京都市左京区の京大で26日に開いた記者会見で実演。「コロナで飲みに行けないし、遊びに行けないです。どうすれば、日々をもっと楽しく過ごせますか?」という質問にはこんな答えが返った。「落ち着いた清らかな生活を送るには、まず自らを清らかにし、お互いに思いやりの心を持ち、同じように清らかな人たちと過ごすことが大事である」。一方で質問によっては答えがかみ合わない場合もあるといい、これから数百人に試験的に使ってもらい精度を向上させる。


 熊谷准教授は「ブッダは聞き手に応じて答え方を変える『対機説法』を行った。現在のAIでそれがどこまで実現できるかは未知数」と指摘。その上で「質問者が満足する答えが必ずしも正しいわけではないので、宗教者の声も聞きつつ改善を重ねる」と話した。またスッタニパータ以外の仏典を取り入れた機械学習も検討するという。

新たに開発した仏教対話AI「ブッダボット」について説明する熊谷准教授(中央)=26日、京都市左京区・京都大

新たに開発した仏教対話AI「ブッダボット」について説明する熊谷准教授(中央)=26日、京都市左京区・京都大