2023年1月9日月曜日

DENON POA-S1 ¥2,000,000(1台、1996年頃) Monaural Power Amplifier. モノラルパワーアンプ。

 POA-S1の画像


 解説 

UHCシングルプッシュプル回路を採用した最高級モノラルパワーアンプ。

オーディオ回路で初めて大電流型素子であるUHC-MOS(Ultra High Current-MOS)を採用しています。
この素子ではgm(増幅率)がバイポーラトランジスタ以上に改善されており、一般的に使われているMOS-FETの35個分、バイポーラトランジスタの3個分の電流リニアリティを素子1個で可能にしています。
これにより、低インピーダンス負荷にも対応しており、大電流に耐えるシングルプッシュプル回路を完成しています。

回路構成にはカスコードブートストラップ接続を採用しています。
UHC-MOSにかかる電圧を常時一定にすることで接合容量の大きさを解決しています。また、高い温度安定度も実現しているため苛酷な使用条件においてもUHC-MOSのもつ音響特性を活かしています。
さらに、この回路によって電圧増幅段に負担をかけることなく電圧増幅段2段、電力増幅段1段のシンプル&ストレートな構成を獲得しています。

UHCシングルプッシュプル回路によって安定した動作を実現しています。
また、ソース抵抗と出力回路のコイルを排除することでより高純度な伝送を可能にしています。

BTL回路の採用によって低い電源電圧で大出力が得ており、音響用の優れたデバイスの採用が可能となっています。
また、動作基準となるアース回路とスピーカー出力電圧を完全分離することで音楽信号への悪影響を排除しています。

電源部には大型トロイダルトランスを2個搭載しています。これらのトランスは並列接続されており、トランス自身のインピーダンスをさらに半減し、電源供給能力を向上させています。
また、上部のケースを外すオープンタイプのトロイダルトランスを開発・採用することで内部共振を徹底的に排除しています。

パワーサプライ回路にもUHC-MOSを採用しており、大幅に電源損失を軽減しています。
UHC-MOSの電流損失はショットキーバリアダイオードの約40%、一般シリコンダイオードの約20%(10A時)に相当し、240Aもの電流供給を可能しています。

シャーシ構造は重量化を図るとともにダイレクトメカニカルグランド構造を採用しており、出力段に使用している大型トロイダルトランスやパワーラジエーターからの微振動を抑えています。
この構造では、大型トロイダルトランス2個とヒートシンクは脚部に直接固定されており、他の周辺回路と共通の振動経路を持たないことでセット内の他の部分に与える影響を排除しています。
さらに、周辺回路に関しては取り付けベース部分に充分な重量をも持たせることで相互干渉を排除しています。

シャーシやラジエーターには非磁性体の砂型鋳物を採用しています。
砂型鋳物は振動の減衰が速いほか、トランスやコンデンサーなどによる電磁歪の発生を抑える効果もあります。

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  • 底部構造
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機種の定格
型式モノラルパワーアンプ
定格出力1,400W(1Ω、1kHz、THD 0.5%)
1,000W(2Ω、1kHz、THD 0.5%)
500W(4Ω、1kHz、THD 0.5%)
250W(8Ω、20Hz~20kHz、THD 0.05%)
全高調波歪率0.008%(20Hz~20kHz、8Ω、定格出力-3dB)
混変調歪率0.003%以下(7kHz:60Hz=1:4、8Ω、定格出力-3dB)
出力帯域幅5Hz~50kHz(THD 0.05%、8Ω、定格出力-3dB)
周波数特性1Hz~300kHz(8Ω、1W出力時)
入力感度Normal:1V
Balanced:1V
入力インピーダンスNormal:47kΩ
Balanced:47kΩ
出力インピーダンス0.05Ω(1kHz)
SN比(Aカーブウェイティング)Normal:110dB
Balanced:120dB
スピーカー出力端子1Ω以上
電源電圧AC100V、50Hz/60Hz
消費電力1,100W
外形寸法幅483x高さ273.5x奥行683.5mm
重量79.0kg

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