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IT・テクノロジー
私はTEAC UD-301を愛用しており、オペアンプのソケット化などの改造を施したうえで使用しています。
既に改造を行っていますが、さらなる手を加えてみたくなり、追加の改造に取り組みました。
オーディオ機器を改造するときのポリシーとしては、
・魔改造しない、いじくりまわさない
・音質に直接影響のある部品のみ交換
・不可逆的な改造は極力行わない
という考え方をもとに実行しております。
すでに改造済みの箇所
・I/V変換用オペアンプのソケット化(MUSES8890→ICソケット化済み)
・LPF用オペアンプの換装(NE5532→OPA1612換装済み)
・カップリングコンデンサの交換(SUNCON AX →東信UTSJ交換済み)
あらかじめ、これらの改造を施したうえで使用しておりました。
以下は未改造の状態の画像ですが、それぞれの位置関係を説明します。
(すでに実施済みの改造内容)
・赤枠:I/V変換用オペアンプ(MUSES8920撤去→ICソケット化済み)
・黄枠:LPF用オペアンプ(NE5532撤去→OPA1612換装済み)
・水色枠:カップリング用コンデンサ(Suncon低ESR→東信UTSJ換装済み)
・オレンジ枠:バッファ用オペアンプ(NE5532)未改造
これらが音質に直接的かつ最も影響を与える部分で、事前に改造を行っておりました。
さらなる性能向上のために、カップリングコンデンサの再換装、バッファ用オペアンプの換装を行いました。(太字のものが、今回の改造対象です。)
MUSES8920が取り付けられていた箇所をICソケット化を行い、MUSES03やOPA627などを差し替えて使用しています。
また、カップリングコンデンサも東信UTSJに交換済みでした。
この写真は、カップリングコンデンサをUTSJに交換した後の写真です。
また、左右にオペアンプ用のICソケットがあることがわかります。
さて、今回の追加改造内容は以下の通りです。
(1)カップリングコンデンサの再換装 UTSJ → PMLCAP
(2)表面実装オペアンプの換装 NE5532 → OPA1612
一般的に、オーディオ用途ではフィルムコンデンサの使用が望ましいとされています。
特にカップリングコンデンサのように、音声信号が通過する箇所では電解コンデンサの使用を避けることが好ましいとされています。
聴覚的な違いが明確に分かるかどうかは自信がありませんが、心理的には音楽をより楽しむためにも良質なパーツを使用したいところです。
UTSJを100uFのオリジナルと同じ容量で取り付けていましたが、フィルムコンデンサの場合、現時点で小型で容易に入手できる最大容量は22uFです。ただし、回路を詳しく検討した結果、インピーダンスの関係から100uFは必要ないと判断しましたので、その半分程度の44uFに置き換えることにしました。
(私の目安では、カットオフ周波数は5Hz以下であればよいと考えています。)
銀色のUTSJが取り付けられている箇所は、この図でいうLPFとNJW1195Aの間です。
44uFもの大容量フィルムコンデンサは入手性、サイズともに非現実的な選択でしたので、今回はPMLCAPの22uFを2個並列で取り付け、44uFにするアイディアを採用しました。
さっそく下準備に取り掛かります。
秋月電子で注文していたPMLCAP(22uF)が8個届きました。
1個あたり200円もする高級品です。
上にあるワイヤーは、0.65mmのスズメッキ銅線です。
これはコンデンサの足として使います。
チップコンデンサを取り付けるには、まず足をしっかりと付ける必要があります。黒いワイヤーは、0.65mmの単線スズメッキ銅線で、被覆を剥いて中の銅線を利用します。
PMLCAPを2個組み合わせて44uFとし、それに足を取り付けます。作業方法について考えた結果、書類を挟むためのダブルクリップを利用することにしました。
ただし、クリップの挟む力が非常に強力です。そのままの状態では使用できませんので、ペンチを使用してクリップを逆に押し開き、ばねの力を最小限まで減少させました。これによって、指で優しくつまむような力でコンデンサを挟むことができるようになりました。
この時、少しでもずれると電極パッド同士がハンダを介して接続されてしまいますので、電極をしっかり重ねたうえではんだ付けすることが重要です。
できあがりました。
コンデンサ同士も、取り付ける足も、すべて電極が接触するように気を付けました。
ようやく取り付けることができました。
少し傾いてしまったのが残念ですが、フィルムコンデンサは熱に弱いため、あまりいじると性能に影響が出てくるため目を瞑ります。
尚、スルーホールに挿入する際も、はんだを介して接続されないように気を付けています。
コンデンサのリード幅と基板の取付穴の幅が同じ場合、上記のように垂直にリード線が嵌ります。
しかし、この場合、はんだを介在した接続になってしまうことがあるため、電気抵抗が低下することで音質には不利です。
私の場合、敢えて足を「ハの字」か「逆ハの字」に広げたうえで基板に挿入します。
あるいは、コンデンサのリード幅よりも基板の取付穴の幅が広い場合、フォーミングせずにそのまま差し込みます。
こうすることでバネが効き、スルーホール内の電極にしっかり接触したうえではんだ付けできます。
当然、コンデンサの足の付け根に無理な力がかからないように考慮しなければなりませんが。
次に、表面実装型オペアンプの換装に取り掛かります。
写真は、NE5532を撤去したあと、周囲をマスキングテープで養生したものです。
オペアンプの足付近にはチップ部品が数多く存在しています。
オペアンプのはんだ付けを行う際に誤ってチップ部品を外してしまわないよう、慎重に養生します。
私はいつもマスキングテープで養生しています。
周囲にあるコンデンサをすべて取り払ったほうが作業性が良いのですが、手持ちがないため窮屈な作業を行うことになりました。
(交換後の写真を撮影し忘れてしまいました。)
ルーペで見た際に、足がこのようになっていることが理想です。
最終的には以下のようになりました。
OPA1612を選定した理由は、NE5532と同じバイポーラ型で、GBWやSRなどのスペックが良かったためです。
赤枠の、ソケット化した箇所のオペアンプは「I/V変換用」ですので、一般的にはFET入力タイプが望ましいです。
これはDAC変換ICが出力する電荷に比例する電圧を得る、チャージセンシティブアンプに相当ものです。
現在はOPA627AUを装着しています。高速セトリング機能、高スルーレートが必要で、OPA627への変更は、高速化の点で良い結果になりそうです。
これに続く黄色枠のOPA1612(元々NE5532)は、85kHzでカットされるフィルターです。
この周波数の設定は高すぎる気がしますが、可聴周波数帯域内の平坦さは確保できているようです。
電子ボリュームのNJW1195を経由し、オレンジ色枠のOPA1612(元々NE5532)のうち、左右にあるものは高周波カット付の平衡出力用増幅(2倍)です。
真ん中にあるOPA1612は、RCA出力用に差動信号を不平衡信号にするためのものです。
せっかくI/V変換にMUSES8920が搭載されているのに、その後の回路でNE5532という凡庸なオペアンプが搭載されていたことが残念です。
ただ、裏を返すと、どんなオペアンプでも動くような無難な設計がされているという考え方もできます。
以上は、音質に直接影響する部分の改造に関するものでした。
私自身、「音響用」を謳う電源ケーブルなどには興味がありませんので、
科学的根拠に基づいた改造を行おうとすると、現段階でできることのすべては行ったつもりです。
音質には好みがありますが、数値的に測定した場合には上記が絶対的に良い結果となります。(特にカップリングコンデンサにPMLCAPを採用したことが影響)
かなり効果的な改造結果となり満足しています。
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