2024年5月14日火曜日

超音速旅客機のプロトタイプ「XB-1」が初飛行に成功!JALも投資している、商用音速機「OVERTURE」実現へ前進

https://www.msn.com/ja-jp/news/techandscience/%E8%B6%85%E9%9F%B3%E9%80%9F%E6%97%85%E5%AE%A2%E6%A9%9F%E3%81%AE%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%88%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%97-xb-1-%E3%81%8C%E5%88%9D%E9%A3%9B%E8%A1%8C%E3%81%AB%E6%88%90%E5%8A%9F-jal%E3%82%82%E6%8A%95%E8%B3%87%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B-%E5%95%86%E7%94%A8%E9%9F%B3%E9%80%9F%E6%A9%9F-overture-%E5%AE%9F%E7%8F%BE%E3%81%B8%E5%89%8D%E9%80%B2/ar-BB1mmjX7?ocid=msedgdhp&pc=U531&cvid=2efaa4738bfd489ab9d314de4b8782ca&ei=10









アメリカで超音速旅客機のプロトタイプ機「XB-1」が空を舞い、テスト飛行を成功させた。テスト飛行は音速に達しなかったものの、超音速旅客機の実現に大きく前進した形だ。

テスト飛行を行ったXB-1は、米コロラド州で超音速旅客機を開発するスタートアップ「ブーム・スーパーソニック」が開発。カリフォルニア州のモハベ空港・宇宙港から離陸した。

同機は高度7120フィート(約2.2km)まで上昇し、最高速度は時速273マイル(439km/h)に達した。飛行は音速(約1225km/h)に達しなかったが、同社のニュースリリースによると、事前に目標設定された高度と速度に安全に達し、計画されたテスト内容をすべてクリアした。

ブーム社は今後、性能と操縦性に関するデータを得るため、飛行速度を音速(マッハ1)にまで段階的に引き上げる計画を立てている。

米メディア「画期的な瞬間」




開発中の超音速商用旅客機「OVERTURE」。photo:BOOM© Pen Online

ブーム社は超音速商用旅客機「OVERTURE」の開発を進めており、XB-1のテスト飛行で得たデータが開発に生かされる。

CNNはXB-1の初飛行について、「期待される超音速旅行の新時代に向けた、画期的な瞬間」であったと報道。「単独の企業によって開発されたものとしては世界初の超音速ジェット機であり、ブーム社の商用機『OVERTURE』開発への道を開くものである」とも述べている。

同社のブレイク・ショールCEOは、CNNの取材に応じ、「音速の壁を初めて破るべく、今後5~7カ月をかけ、10~15回の飛行を予定しています」と明かしている。

ブーム社の主席テストパイロットであるビル・シューメイカー氏は、「今回のマイルストーン達成で得た経験は、ブーム社が進める超音速旅行の復活の面で、貴重なものとなるでしょう」とコメントした。

米テックサイトのアーズ・テクニカは、XB-1がオーバーチュアよりも低コストで生産できると指摘。超音速飛行のノウハウを効率的に習得し、オーバーチュアの最終的な設計プランに反映したい計画だと伝えている。

CNNによるとブーム社はすでに、アメリカン航空、ユナイテッド航空、日本航空(JAL)などから計130件の発注および予約注文を受けている。2029年頃までに納入する予定だ。JALは以前、20機分の優先発注権を確保していると報じられていた。

商用機への長い道のり

実現が期待される超音速旅客機だが、開発は容易ではない。アーズ・テクニカは、10年前の2014年に設立されたブーム社が当初、2021年第3四半期の飛行テストを目指していたと指摘。計画から都合2年半の遅延となったが、理由の詳細は公表されていないと報じている。

同記事はまた、実現までに「数多くのマイルストーン」が残されていると言及。OVERTUREとXB-1プロトタイプとの大きな違いとして、XB-1プロトタイプが異なるエンジンを搭載していると指摘する。

ブーム社はオーバーチュア向けにミディアム・バイパス・ターボファンの新型エンジン「シンフォニー」を開発している一方、XB-1は数十年前のGE J85-15エンジン3基で稼働するため、シンフォニーとまったく同一の飛行特性を再現できるわけではない。

コンコルドの失敗は繰り返さない、とCEO




コンコルド photo:John Selway-Shutterstock© Pen Online

もっとも、ショールCEOは、開発の前途は明るいと強調する。超音速旅客機で思い出されるのが、惜しまれつつも姿を消したコンコルドだ。1960年代から開発が始まり、70年代の試験飛行でマッハ2を達成したが、収益性の悪さと事故の影響で2000年代に引退となった。

ショール氏によるとXB-1およびオーバーチュアは、コンコルド開発当時よりも有利な環境にあるという。60年代当時に数百万ドルをかけて実物モデルを製作していた風洞試験を、ブーム社ではデジタルのシミュレーション中心に進めている。コストは数分の1となり、期間も大幅に短縮したという。

また、コンコルドは離着陸時に大きく上向きの角度を取る関係上、パイロットが視界を確保するため、油圧で機首を折り曲げる複雑な構造を必要とした。これに対してショール氏は、「こんにちの私たちには、カメラと画面という素晴らしい装備があります」と説明。構造を単純化でき、視界もコンコルドより優れていると説明する。

コンコルドの運行停止で一度は失速した超音速旅行だが、今後現実のものとなるか。XB-1による今後のテスト飛行とオーバーチュア開発の進捗が注視される。

0 コメント:

コメントを投稿