WBSクロス、今回のテーマは「データセンターを冷やせ!」。AI(人工知能)の普及に伴い、建設が相次ぐデータセンターには様々な情報を保管・利用するため、多くのサーバーが並んでいます。サーバーは稼働させると熱を発するため、絶えず冷却して故障を防ぐ必要があり、膨大な電力を消費することが課題となっています。こうした中、より効率的に冷却できる新たな技術の開発が進んでいます。 名古屋市内にあるスーパー「バロー」。できたての総菜を販売するコーナーに工夫がありました。AIを活用して、毎日どれくらいの総菜を作ればいいか、予測しているのです。 利用しているのはソフトバンクが開発したサービス「サキミル」。気象情報や人流データを組み合わせ、AIが1週間後までの需要を予測します。経験と勘を頼りに予測するのに比べ、スタッフの労働時間を3割ほど削減できたといいます。 客の来店がピークを過ぎた午後7時半。AIの予測通り、弁当や総菜をほぼ売り切ることができました。 「売り上げが3%、利益も4%上がった。欠品率も18%、廃棄率も約20%減少した。非常に効果が高いので、年内には全店約250店舗に展開しようと思う」(バローを運営する「中部フーズ」河合秀樹さん)
AI普及で「熱」が課題に
利用が拡大するAI。それを支えるのが大量の情報を処理するデータセンターです。そこで今、大きな課題となっているのが、サーバーが発する熱です。サーバーの熱を冷ますため、強力なファンが24時間回り続け、温度を一定にしています。特にAI向け半導体チップは70~80度の高温になります。高性能になるほどより多くの熱が出て、それを冷やすために多くの電力が必要になります。 「サーバー1つ当たり大きな発熱量になるので、1つのラックにフルに搭載するには空気で冷やす方式ではもう限界」(NTTデータの渋谷誉人さん) どうすれば効率的にサーバーを冷やせるのか。新たな技術の開発が進んでいます。三菱重工業が開発したのが、特殊なオイルを使った冷却方法です。 「空気だと冷やしきれない温度になっているので、液冷却という技術を使っている」(三菱重工業の五味慎一郎さん) 長方形のサーバーそのものをオイルの中に。冷たい空気を当てて冷やすよりも効率が良く、電力をおよそ4割削減できるといいます。しかし、サーバーは壊れないのでしょうか? 「ぬれても大丈夫な液体を使っている」(三菱重工業の五味慎一郎さん) 長年かけて実用化したこの技術。三菱重工業は自社が手がけるデータセンターを中心に普及を図りたい考えです。 「いかに少ない電力で効果的に冷やせるか。技術を組み合わせて提供していきたい」(五味さん)
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