https://www.itmedia.co.jp/news/spv/2408/01/news026.html
情報システム部(情シス)はIT戦略の要である――そのはずだった。それがいつからか、ヘルプデスク対応やトラブルシューティングに追われ、本来のコア業務であるIT戦略の立案や実行、ビジネスを支えるITシステムへの刷新や運用などに手が回らなくなってしまった。
「情シスの仕事はデスクサイドサポートだけではない」ということを改めて感じられるのが、「システム管理者の日」という記念日だ。システム管理者の労をねぎらい、日頃の感謝を伝える日とされていて、7月の最終金曜日がこの日に当たる。
システム管理者の日に合わせて大規模な企画を展開したのがインテルだ。「情シスがいなければ守れないビジネスがある」というキャッチフレーズを掲げて、PCメーカー8社と一緒にキャンペーンを実施。ITmedia NEWSもこれに賛同してメッセージを寄せた。
情シスが本来取り組む業務は何か。情シスは企業をどのように支えているのか。もし情シスがいなくなったら企業はどうなってしまうのか――モデルケースの一つとして架空の「TATOEBA株式会社」 を舞台に情シスの業務を考えていこう。
情シスが全員退職!?
TATOEBA社は従業員数200人の食品メーカーだ。オリジナル商品の販売と、大手スーパーマーケットから受注したプライベートブランドの生産を手掛けている。円安や原材料費の高騰などに悩まされながらも、売上高や従業員数を右肩上がりに増やしてきた。しかし、新たな拠点の開設や設備投資を考えていた矢先に“事件”は起こった。
2人いたベテランの情シス部員が全員退職してしまったのだ。情シスがいなくなった社内で白羽の矢が立ったのが、ITにちょっと詳しい総務部の高橋さんだ。急きょ情シス代理を務めることになった高橋さん。果たして、TATOEBA社の業務はどうなったのか。
情シスゼロで自転車操業 日々の業務が回らない
情シス代理の高橋さんは、5月末で退職する情シスの2人から社内システムの管理に必要なアカウント情報や進行中のプロジェクトなどについての引き継ぎを受けた。情シスが使っていた社内チャットのグループやメーリングリスト、各種システムにログインして業務の準備が整った。
昼休憩から戻ってきた高橋さんがPCを開くと、社内チャットの「情シス相談チャンネル」からの通知が十数件も届いていた。「VPNがつながらなくて社内システムにアクセスできない」「業務アプリのパスワードを再発行してほしい」などのトラブル相談が並んでいた。「自宅のWi-Fiが途切れる」といった、対処しようがない相談まである始末だ。
順番に対応していると、今度はオフィスにいた営業部員に「PCが固まっちゃって……」と声を掛けられた。それに対応していたら管理部門の定例ミーティングの時間になってしまった。高橋さんは「この調子じゃあ仕事が進まないな」とため息をつきながら帰宅した。
肩の力を抜こうとしたとき、営業部の統括部長からDM(ダイレクトメッセージ)が届いた。「前任者に業務支援用の生成AIチャットツール導入を検討してもらっていたがどうなった?」というものだ。引き継いでいたドキュメントを読むと、営業部の要望を取りまとめてAIツールを選定しているフェーズだった。利便性を求める従業員の声と費用対効果に対する経営層の厳しい目の板挟みになりながら、情シスとして情報セキュリティや運用負荷の観点も加味して検討している痕跡が残っている。高橋さんはこれらを引き継いで、機能や性能を考慮して候補を絞り込むことにした。
そうこうしているうちに6月も中旬になり、人事部から「来月入社する人の受け入れ用意は大丈夫?」というリマインドが届いた。そう、新入社員のIT関係を準備するのも情シスの仕事なのだ。幸いにもマニュアルがあったので、社内システムやITツールのアカウント設定と、ビジネスPCと社用携帯に必要なソフトウェアのインストールなどのキッティング作業を無事に終えられた。
目が回るほどの忙しさを経験した高橋さんは、前任者の一人の退職理由が「ヘルプデスク対応などのノンコア業務が増えて、会社の成長に関わるコア業務に集中できず存在意義を見失った」というものだったことを思い出した。
気が付いたらランサムウェアに感染 原因は
7月、高橋さんを悲劇が襲った。TATOEBA社のシステムがランサムウェアに感染するという最悪の事態が起きたのだ。朝から「社内システムに入れない」「顧客データが見られない」などの報告が相次ぎ、原因を調べる中で経営企画部から「身代金を要求する脅迫メールが届いた」という連絡を受けてランサムウェアの被害に遭ったのだと気が付いた。
社内システムへのパッチ適用といった情報セキュリティ対策にまで手が回っておらず、当然バックアップデータも更新していなかったため復旧も絶望的な状況に陥ってしまう。対応に追われる高橋さんの席を訪れた経営層や従業員たちから「どうするんだ」「取引先にどう説明したらいいのか」など語気が強いメッセージが届き続けた。
対処法が見つからなかった高橋さんは、契約していた情報セキュリティ会社に相談して事態の収拾を図ることにした。影響範囲を調査した結果、生産ラインを含む社内システムが広範囲にわたって使えなくなっていることが判明。幸いにも取引先やサプライチェーンへの影響はなかったものの、TATOEBA社は一時的に業務を停止することになってしまった。
調査を進めるうちに、従業員のPCがランサムウェア感染の起点になっていたことが分かった。電子メールに記載されたURLにアクセスしたことが原因だったようだ。EDRなどの情報セキュリティ対策ツールがアラートを出していたが、高橋さんが見逃していたことも一因だと結論付けられた。
――1カ月後の8月、TATOEBA社が落ち着きを取り戻したころ、高橋さんは友人とビアガーデンにいた。「情シスがこんなに大変だとは知らなかった。目の前の業務に忙殺される」「自分の作業が進まないけど、『困っている』と言われたら助けたくなる」「普段はお礼も何もないのに、システムが止まった瞬間に厳しい言葉を浴びせられた」と心の内をこぼす高橋さんに対して、友人は「お疲れさま」とねぎらうのであった。
意外と知らない情シスのお仕事
TATOEBA社の例は、情シスが対応するイベントを誇張して紹介している。しかし、普段見えているヘルプデスク対応だけが情シスの仕事ではないということを心に留めてほしい。事業部門とSIerをつなぐ橋渡し役として奔走し、インシデントが発生しないように情報セキュリティ対策に神経をとがらせている。
そして本来、情シスが心血を注ぐはずの業務がIT戦略の策定や実行、DXの推進、ITインフラのモダナイゼーションやAIなど新テクノロジーの導入だ。これらは企業の中長期的な成長を支えると同時に、ビジネスを加速させる要素でもある。こうしたコア業務に取り組もうにも、その時間を捻出できていないのが現実なのだ。
「Intel vPro®」が情シスの味方に ヘルプデスク40%削減も
「情シスがコア業務に集中できるようにしたい」「IT戦略における重要な主体として活躍してほしい」という思いでインテルが提供しているのが「Intel vPro® プラットフォーム」(以下、Intel vPro®)だ。Intel vPro®はビジネスPCの管理機能や情報セキュリティなどを統合したプラットフォームで、PC利用者の利便性の向上と情シス業務の負担軽減を両立させられる。
Intel vPro®の最大のポイントは、遠隔でのPC管理機能に優れているのでテレワークで力を発揮する点だ。「インテル® AMT」(Active Management Technology)という機能を使えば、PCの電源がオフでも遠隔管理が可能になる。PCのアカウント設定やソフトウェアのインストール、ログの確認、パッチの適用などが遠隔でできる。ファイアウォール外のPCも遠隔操作可能にする「インテル® EMA」(Endpoint Management Assistant)と組み合わせることで、テレワーク中でも従業員のトラブルシューティングやPCのキッティングに対応できる。
テレワークといえば情報セキュリティが心配だが、Intel vPro®はPCを保護する機能をハードウェアレベルで実装している。その総称を「インテル® ハードウェア・シールド」といい、OSの下層に当たるファームウェアへの不正な書き込みを防止する。アプリケーションやデータを守る機能も豊富で、メモリを暗号化する「インテル® TME」(Total Memory Encryption)が代表格だ。マルウェアの検知に欠かせない情報セキュリティソフトの動作をCPUやGPUで補助することで脅威の検出に役立てる機能もある。
Intel vPro®の機能を活用すれば、情シスの負担を軽減できる。調査会社の米Forrester Consultingは、従業員1万人の組織がIntel vPro®搭載デバイスを1万1000台使った場合、デバイス管理関連のヘルプデスクチケットを1年間で平均40%削減できると報告した(※)。
※2024年1月のレポート「インテル® vPro® プラットフォームが標準エンドポイントとして可能にするコスト削減とビジネス上のメリット」より
Intel vPro®を使って情シスの負担を減らすことで本来取り組むべき業務にフォーカスでき、IT戦略の策定や実行、DXなどのビジネス変革、自身のスキルアップなどに時間を割けるようになるはずだ。
企業を取り巻く外部環境がめまぐるしく変わり、新たなテクノロジーが次々に登場している昨今、ビジネスとITは切り離せない関係になった。そんな時代を渡り歩くための指針がIT戦略であり、その策定から運用までを担うのが情シスだ。ITを活用してビジネスのさらなる成長を実現する力を持っているはずの情シス部員が、活躍できないというのは大きな損失といえる。彼らの能力を最大限に生かすにはどうすればいいのか真剣に考える必要があるだろう。
システム管理者の日という記念日は、そんな大切なことを思い出させてくれる日だった。
提供:インテル株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia NEWS編集部/掲載内容有効期限:2024年9月1日
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
0 コメント:
コメントを投稿