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一足飛びとはいきませんが、一歩前進。
超音速でのフライト実現を目指すBoom Supersonic社のデモ機が最高高度を記録し、速度も過去最高タイを達成しました。彼らのテストフライトは8回目で、2024年中の音速突破を目指しています。
超音速旅客機の復活に向けて
Boom Supersonicは米国における超音速商用旅客機の復活を目指しています。かつて存在した超音速旅客機・コンコルドは、コストが見合わないことから2003年に運行停止してしまいました。でも民間企業も米政府機関も超音速飛行を復活させる手段を模索していて、今回のBoom Supersonicのテスト成功は、彼らが目標に一歩近づいたことを意味します。
超音速旅客機開発プログラム「XB-1」の8回目のフライトは11月16日に行なわれ、その際の最高高度は2万5040フィート(約7,632m)と今までの最高でした。フライトは54分間で、最大速度はマッハ0.82と、これも過去最速タイです。
デモ機によるフライトは2024年3月から始まりました。今後もテストフライトを2回予定していて、年内のマッハ1達成を目指しています。
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爆音を抑える技術も
マッハ1は音が伝わる速度であり、時速でいうと767マイル/h(約1,234km/h)となります。物体の動きが音速の壁を超えるとき、ソニックブームという爆音が発生してしまいます。そのため米連邦航空局は1973年、民間機による地上での超音速飛行を禁止しました。
Boom SupersonicによるXB-1の開発は、NASAのX-59開発と並行しています。X-59は長さ99.7フィート×幅29.5フィート(約30.39m×9m)、スティレット型でXB-1より派手なように見えますが、その形状の目的はソニックブームの発生を抑えることにあります。
NASAのエンジニアいわく、X-59が起こすソニックブームの音は、地上からでは車のドアが閉まる音程度に聞こえます。その音は耳をつんざくような爆音ではなくもっと鈍い音、「ソニック・サンプ」(サンプ=thump、ドンという音)と呼ばれています。
従来機より20%高速化(とりあえず)
Boom Supersonicの最終目標は、ジェット機・Overtureを旅客機として飛ばすことで、XB-1はその技術デモの位置づけです。XB-1は音速の壁を超えられるはずですが、実際に旅客機として運用するときにはやや減速し、マッハ0.94で飛ぶことにしています。それでも、従来の旅客機よりも20%速くなるのです。
でも超音速飛行を待望する人たちは、NASAのX-59の「ソニック・サンプ」で騒音問題を軽減できるのではと期待しています。X-59に関しては飛行性能テスト終了後に米国の複数の都市上空を飛んで、住人に対する騒音被害などの調査が行なわれる予定です。
その結果、超音速飛行機が飛んでも地上に対しそれほど迷惑がかからないとなれば、今あるFAAの規制も緩和されるかもしれません。でもそれが実現されるのは、一番早くても2027年です。
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