半導体企業Rapidus(ラピダス、東京・千代田)は、2nm世代半導体の実現に向けて大型投資と技術開発を進める。短納期を特色として打ち出すが、競合するファウンドリーとの激しい競争や、半導体業界に特有の課題が待ち受ける。7つの数字でラピダスのこれからを予測する。
①5兆円の大型投資は不十分か
ラピダスが2nm世代の半導体を試作・量産するには5兆円規模の投資が必要になると見られている。EUV(極端紫外線)露光装置など高額な半導体製造装置を多数導入しながら、2兆円をかけてパイロットラインを、3兆円をかけて量産製造ラインをそれぞれ構築する。これまで大規模な半導体工場がなかった北海道では、この5兆円という数字は過去最大の投資になる。
工場を建設中の北海道千歳市の周辺には関連企業や建設作業員が集まり、早くも半導体バブルの様相を呈している。半導体産業は裾野が広く、材料や製造装置、ITなどの関連企業がラピダスとの取引を通して1つの経済圏を形成する見通しだ。千歳市には複数の企業から「ラピダスの工場の近くに拠点を設置したい」との問い合わせが届いているという。新千歳空港からのアクセスも良く、グローバルから技術者や研究者が集まるような環境を整えていく方針だ。
ただ、世界の半導体大手企業の投資額と比較すると、ラピダスの5兆円は決して大きな数字ではない。例えば、台湾積体電路製造(TSMC)と韓国Samsung Electronics(サムスン電子)は、2023年の設備投資だけでそれぞれ約4兆円と約6兆円を投じる計画だ。両社とも既に3nm世代半導体の生産技術を有するにもかかわらず、次世代の2nm世代半導体の開発には苦戦しているとの報道もある。半導体業界に詳しい米AZ Supply Chain Solutions(AZサプライチェーン・ソリューションズ)の亀和田忠司氏は「予算が全く足りない。2nm世代以降を継続的に開発していくには、最低でも年間数千億円の開発費が必要になるだろう」と分析する。
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