2021年1月4日月曜日

三セク鉄道、運転再開に決意=同業者、住民ら後押し―熊本豪雨半年

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2021年01月04日 07:30  時事通信社

時事通信社

写真豪雨で浸水したくま川鉄道の車両=2020年7月4日、熊本県人吉市(くま川鉄道提供)
豪雨で浸水したくま川鉄道の車両=2020年7月4日、熊本県人吉市(くま川鉄道提供)
 昨年7月、熊本県南部などを襲った記録的豪雨から半年。車両や鉄橋などに大きな被害を受けた第三セクターくま川鉄道(同県人吉市)は、現在も全線運休が続く。復旧には4、5年程度、数十億円を要するとみられ、状況は厳しい。それでも、全国の鉄道会社や地域住民の後押しを受け、「沿線の高校生らのためにも」(永江友二社長)と運転再開への決意を示す。

 人吉温泉(同市)―湯前(湯前町)間の全14駅、24.8キロを結ぶくま川鉄道は、沿線10市町村や民間の出資を受け、JR九州湯前線を引き継ぎ1989年に運行を始めた。区間内の駅や橋梁(きょうりょう)19カ所は、国の登録有形文化財となっている。

 7月豪雨では保有する車両全5両が浸水し、37年建造の登録有形文化財「球磨川第四橋梁」が流された。線路への土砂流入や駅ホームの流失など、被害総額は概算で46億円に上った。復旧工事開始のめどは立っていない。

 乗客の約8割は沿線高校に通う生徒で、同社はバスによる代替輸送を続ける。ただ、生徒の3分の1以上が鉄道を利用していた県立人吉高校(人吉市)の光永幸生校長によると、バスの運行は平日の朝と夕方が中心のため、学校行事や部活動の時間などに影響が出ている。学校まで迎えにきてもらう生徒もおり、保護者の負担も増しているという。光永校長は「長期的に見て、地域の人口流出にもつながりかねない。復旧してほしいという思いは大きい」と話す。

 永江社長はこの半年を、「心が折れそうになる中、全国の鉄道会社からの支援や応援してくれる方の言葉がとてもありがたかった」と振り返る。同じ三セクの若桜鉄道(鳥取県若桜町)は、車両整備に詳しい社員を被災直後に派遣。床下機器が浸水した車両に応急処置を施し、うち1両のエンジンを動かした。運行再開を願う地元の高校生約800人からは、「くま鉄に乗りたい」といった応援メッセージが寄せられた。

 くま川鉄道は全線復旧に向け、国が復旧費の97.5%を負担する支援制度の適用を見込んでいる。永江社長は「地域のために始まった会社。一部区間から早期に運行を再開させたい」と決意を新たにしている。 

豪雨で浸水した車両の前に立つくま川鉄道の永江友二社長=2020年12月16日、熊本県人吉市
豪雨で浸水した車両の前に立つくま川鉄道の永江友二社長=2020年12月16日、熊本県人吉市


くま川鉄道の運行再開を願う地元の高校生約800人から応援メッセージが寄せられた。メッセージボードは同鉄道のあさぎり駅に飾られている=2020年12月16日、熊本県あさぎり町
くま川鉄道の運行再開を願う地元の高校生約800人から応援メッセージが寄せられた。メッセージボードは同鉄道のあさぎり駅に飾られている=2020年12月16日、熊本県あさぎり町

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