2021年2月8日月曜日

「算数27点」から始まった…小6でアプリ開発、IT企業でインターンへ 14歳女子中学生プログラマーが描く夢

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 2021年02月07日 18:40  まいどなニュース

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写真小6でアプリを開発し、間もなくIT企業でインターン生として働く有紗さん
小6でアプリを開発し、間もなくIT企業でインターン生として働く有紗さん

 コロナ禍で、日本でもテレワークやビデオ会議など仕事のICT化が一気に進み、投資や学生の就職活動でもIT企業への注目がかつてないほど高まっています。そんな中、インターン生として働くことが決まった、14歳の女子中学生を取材しました。

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まさかの「算数27点」からの…

 大阪に住む、岡村有紗さん。実はバイオリンでもコンクールに何度も入賞する腕前の持ち主ですが、現在の夢は「システムエンジニア(SE)」だといいます。

 きっかけは、小学3年生のとき、算数のテストで27点を取ったこと。「このままだと算数恐怖症になってしまうかも…」と危機感を募らせた母の多喜子さんに、地元のロボット塾を紹介されました。小1の頃から本を読みながら登校するなど大の本好きだった有紗さんの当時の夢は「米ハーバード大の図書館で本を読むため、同大に入ること」。そのための人見知り改善と英語力上達を兼ねて、英語でのプレゼン機会もあるその塾に通い始めたほか、国内最大規模の小学生向けプログラミング教室「テックキッズスクール」のキャンプでも、プログラミングの楽しさを感じたといいます。

 もし子どもから「ハーバードに行く!」という夢を聞いたとしても、「えっ?冗談でしょ、めっちゃ難しいよ(笑)」と受け流してしまいそうですが、多喜子さんは「どうやったら行けるんだろう!調べてみる!」と一緒に方法を探しました。「実際、友達やその保護者から笑われることもありました」と多喜子さん。「でも、子どもが『仮面ライダーになりたい!』と言ったとしても、『月に行きたい』と言ったとしても、私は一緒に仮面ライダーや月を追いかけたい。子供の夢を小さなことでも、笑わない。否定しない。『一緒に追いかけよう!』と決めているんです」と笑います。

 そうして親子で考え、より生きた英語力を-と5年生で転入したインターナショナルスクールで、現役SEが講師を務める小中学生向けプログラミングスクール「8×9(ハック)」(森田康太郎代表)の出前授業を受け、神戸市内の教室に通うようになりました。

 「ちょっと手を伸ばしたら届きそうなところに課題を置いてくれて、次から次へとステップアップさせてくれる。単なる練習問題をこなすのとは違い、本物のプログラムを作ってゲームを動かすこともできた」と有紗さん。仲間同士で競ううちに複雑なプログラムも会得し、側について指導しなくても一人で黙々と作業するように。「プログラムを組むのはもちろんだけど、何が支障になっているのか、バグを見つけてエラーを修正し、動くようになったときの達成感が最高。大抵、めっちゃしょうもないミスとかだけど、直した瞬間に劇的に変わってすごくスッキリするんです」と本当に楽しそうに笑います。

11歳でアプリ開発、IT企業から注目

 6年生になると、昔、予定の場所についたら家に電話をする-という約束を忘れて、警察に捜索願が出されかけた…という経験から、位置情報とタスクを関連させたアプリを発案。場所(例:駅)とタスク(例:家に電話をかける)を入力しておけば、駅に近づくと、「家に電話をかける」と通知してくれる仕組みで、半年かけて作り上げ、全国の小学生プログラマーが競う「テックキッズグランプリ」に応募。最終審査に残り、テックキッズスクールとアドビが連携した育成プログラムにも参加し、高い評価を得ました。

 その後も有紗さんはめきめきと力を伸ばし、そのことを「8×9」の森田さんから聞いたシステム開発会社「サイバーウェーブ」(東京都)の梨木繁幸代表がインターンを打診。見習い期間を経て、3月にも正式なインターン生として働く予定です。

 学生インターンを積極的に採用している同社でも、高校生以下は初めてといい、「いろんな学生を見てきて、やはり『早い段階から自分が何をやりたいかを決めている人は成長する』と気付いた」と梨木さん。小学校でプログラミング教育が必修化されるなど関心は高まっているものの、現状ではまだまだ方法論を教えるだけで「もっと実践の場を提供できたら、と思っていた」と話します。

 自身も小学3年生でプログラミングを始め、大学1年で事業を興し、4年で起業した経歴を持ち、「自分と重なる部分も感じますね。弊社のクライアントには国の機関や大手企業もありますし、才能を具体的な未来につなげてあげるだけで、ものすごい経験値になる」と力を込めます。

「世界中の心配やイライラを解決し、平和で便利な世の中に」

 一方で、インターンは雇用契約になるため労働基準監督署の指導の下、契約を結びましたが「そもそも中学生の労働といえば、学費が払えない場合の新聞配達ぐらいしか想定されていない。担当者も『は?』と戸惑っていましたが、それが今の日本の状況でもあるんですよね。まだまだお金を儲けることもタブー視されていますが、子どもがお金を儲ける=新しい価値を創造しても、何もおかしくはない」と梨木さん。何度も労基署に脚を運び、現在有紗さんは「1日当たり、学業と合わせて7時間以内、週40時間以内、週1日は休日」という中で、システムの管理や修正、レビュー依頼などを担う予定といいます。

 「有紗さんは大学生にもないセンスがあるし、新しいことにもどんどん挑戦し、分からないことがあれば何でも聞いてくれる。タスクを一つずつ理解しながら実直に進めていく技術は十分ですし、技術以前に技術者として『社会課題を解決したい』というポリシーがある。今後、日本が世界と渡り合うためには、有紗さんのような若い可能性を持った子が、もっと現場で力を発揮しながら伸びられる環境を整えるべき」と指摘します。

 個性重視が言われる半面、日本の学校ではまだまだ横並び意識も強く、抜きん出たことをすれば嫉妬ややっかみを受けやすいのも現実です。「有紗も昔は目立ちたくないタイプでした。でも、幸いにも人に恵まれ、やりたいことをやりたいと言えて、させてもらえる環境があった」と多喜子さん。「どんな子どもにも小さな夢があると思います。夢が叶わなくても、夢を追いかけるプロセスから次の何かが生まれてくる。子どもはそのプロセスから、いろんなことを学び、大きくなると思うんです。無理だと言わないでチャレンジする。チャレンジしてダメでも次の何かが起きる。これからも、チャレンジする前から『どうせ無理だ』と諦める価値観を子どもに植え付けたくはない」と話します。

 今、有紗さんが思い描くのは、3歳から続けてきたバイオリンと音楽、好きな数学、プログラミングの融合。目標とする大学はハーバードからマサチューセッツ工科大(MIT)に変わり、音楽とのダブルメジャーも構想しているといい、「将来は、世界中の心配やイライラ、問題を、技術を使って解決することで、平和で便利な世の中を作りたい。そんなエンジニアになって、会社を起業したい」。楽しそうに、そう語ってくれました。

(まいどなニュース・広畑 千春)

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