2021年7月16日金曜日

パイナップルは、がんと糖尿病の治療薬にもなりえる。バナナも白血球の質を高めて免疫力を高めるのでがんに効くそうです。

パイナップルは抗がん剤より優秀

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がん発生を抑え、免疫力を強化する知られざる植物パワー
ファイトケミカル。野菜や果物の強力な抗がん作用に注目!

監修:高橋弘 セレン・クリニック診療部長(現 麻布医院院長)
取材・文:常蔭純一
発行:2007年12月
更新:2014年11月

  

淡色野菜や果実にも強力な抗がん効果がある

このようにファイトケミカルにはがんを退けるさまざまな効用が含まれている。その効用を現実のがん抑制に活用するには、当然ながら、それなりの工夫が必要だ。

まずひとつは前にあげたように、効用の異なるファイトケミカルを含む食材をバランスよく摂取することが大切だ。また、そのこととともに、食品の選び方、使い方にも注意が必要と高橋さんはこう指摘する。

「たとえば野菜に関していえば、一般的には緑黄色野菜が体にいいと思われています。しかしデザイナーフーズ・プログラムで報告されていたように、実は淡色野菜にも強力な抗がん効果が潜んでいます。また同じ種類の野菜や果物でも栽培のされ方によって、ファイトケミカルの含有量は違っています。さんさんと降りそそぐ陽光を浴びたものほど、ファイトケミカルが豊富に含まれています

たとえば同じレタス1つをとっても、温室栽培のものと露地栽培のものとでは、ファイトケミカルの量はまったく違っている。自然光に乏しい温室で機械的に作られた作物は、ファイトケミカルの含有量もずっと少ないと高橋さんはいう。太陽の恵みを受けて元気に育った作物こそががん患者をも元気にしてくれるわけだ。

同じように果物も太陽の恵みをいっぱいに浴びたものほどファイトケミカルが豊富だ。じっさい高橋さんの調査では、キウイ、バナナ、グレープフルーツ、マンゴーなど南国の果物にファイトケミカルが豊富に含まれている。ちなみにマクロファージの活性化による免疫活性はバナナ、スイカ、ブドウ、パイナップルなどが強力で、マウスを用いた実験でバナナ、リンゴ、キウイには白血球を増加させる作用があることも確認されている。

[くだものに含まれるファイトケミカルと免疫活性作用]

[ファイトケミカルの多い順]
キウイ>バナナ>グレープフルーツ
マンゴー>ブドウ>オレンジ>パパイヤ>パイナップル
リンゴ>メロン>イチジク>スイカ>ナシ>モモ

[免疫活性の強さ]
バナナ>スイカ>ブドウ
>パイナップル

[白血球の数を増やす作用(マウスの実験)]
バナナ>リンゴ>キウイ
※バナナを摂取すると直腸・結腸がんの発生リスクが72%減少

野菜を煮出したスープがより効果的

また、こうした食材の選び方とともに、その食材をどう調理するかということも大切なポイント

「ファイトケミカルは植物の細胞内に含まれる安定した物質です。そのため私たち人間の体内で吸収するためには細胞膜を壊したうえで摂取しなければなりません。残念ながらミキサーなどで破砕した程度では細胞膜は壊れません。当然、ファイトケミカルもうまく摂取できません。しかし熱を加えるとずっと効果的にファイトケミカルを摂取できます」(高橋さん)

野菜のファイトケミカルは熱を加えることで自然に細胞外に溶け出し、ある一定時間、煮出し続けると、その効力の8、9割が煮汁に溶出するという。もちろん、その効力には強力な抗がん効果も含まれている。じっさい高橋さんによると、生野菜ジュースに比べ、同じ野菜を煮出したスープには10~100倍もの抗がん効果が潜んでいるという。

と、すれば結論は明確だろう。

一般的に果物や野菜の健康的な摂取法というと、サラダや生ジュースを思い浮かべるのではないだろうか。しかし抗がん効果に関していえば、それよりもスープにして利用するほうがずっと大きな効果が得られるわけだ。これはがん患者さんが自らの食事について考えるうえで、きわめて有用なセオリーといえるだろう。

実は高橋さん自身が、こうしたセオリーをもとに理想のファイトケミカル食品を提唱している。別コラムで紹介しているファイトケミカルスープがそれだ。これはキャベツ、タマネギ、ニンジン、カボチャと季節にかかわらず生産されている4種類の野菜を煮出してつくったスープで、高橋さん自身、毎日欠かさず食しているという。

「一度に多めの量をつくって冷蔵庫に保存して利用しています。温めて飲むと全身がホカホカと温まるし、冷えたまま飲むと全身が浄化されるようなさわやかさを実感する。じっさいにがん患者さんにも飲んでもらっており、免疫強化作用など現実の効果も確認しています」

がん患者さんにとっての理想の食生活について研究している高橋さんは、このファイトケミカル摂取を中心とした「がんに打ち勝つ食養生」として7つの食習慣の実践を提言している。最後に紹介しておこう。

(1) ファイトケミカルを摂取する。

(2) 糖の摂取を控えてインシュリンを抑える

(3) ビタミン類、とくにビタミンA、B2、B6、C、Eを積極的に摂取する

(4) 水分を十分に摂って、デトリックス(解毒)機能を高める

(5) 活性酸素の発生を高める鉄分を摂りすぎない

(6) 塩分は控えめに

(7) 暴飲暴食、化学薬品を避ける

――ファイトケミカルの摂取を含め、これらの提言の多くは一般的な健康増進にも共通する。いかに生体としての機能を強化するか。あるいは、がん抑制の鍵もそこに潜んでいるのかもしれない。

がん患者ならずとも利用したい
免疫を強化するファイトケミカルスープ

イラスト:ファイトケミカルスープ

高橋さんが提唱するファイトケミカルスープの作り方は簡単そのものだ。まずキャベツ、タマネギ、ニンジン、カボチャそれぞれ100グラムをブツ切りにし、1リットルの水を加えて煮立てる(できればホーロー製の鍋を使用する)。1度沸騰させた後、さらに中火で30分、加熱すればほのかな甘みが心地よいさわやかスープのできあがりだ(スープに味付けはしない)。冷やして飲むと口に入れたときの清涼感は格別で、1回冷凍させたあと戻して飲むとコクが増し、さらにおいしく飲めるとか。

ちなみに4種類の野菜はそのまま食べてもいいし、みそ汁などの具として利用してもいい。

もちろん抗がん効果も抜群で、高橋さんが6人のがん患者に2週間、毎日、200ミリリットルずつ飲んでもらったところ、平均で白血球が143(±46)パーセント、好中球が170(±76)パーセント、単球数が163(±106)パーセント、リンパ球も125(±35)パーセントにまで増加しているという。抗がん剤治療などで免疫低下が気になる人には、まさにうってつけのスープといえそうだ。

https://himitsu.wakasa.jp/contents/pineapple/

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パイナップル

pineapple

パイナップルはブラジル原産のトロピカルフルーツです。
ビタミンCや食物繊維、たんぱく質分解酵素のブロメリンを多く含み、肉類をやわらかくする効果があります。
日本では沖縄県を中心に栽培されており、生食、缶詰、ジュースなどに使用され、用途は幅広いです。

パイナップルとは

●基本情報
パイナップルはパイナップル科アナナス属の多年草で、原産地はブラジルです。名前の由来は果実の形が松かさ(pinecone)、味がリンゴ(apple)に似ていることから「パインアップル」と名付けられ、その後「パイナップル」と呼ばれるようになりました。

●パイナップルの歴史
パイナップルは中南米の先住民が栽培化した、古くからある作物です。15世紀末にコロンブスが西インド諸島を探検した時に発見し、世界へ広まっていきました。日本へは1845年の江戸時代末期に、オランダ船によって渡来したといわれています。

●パイナップルの種類
最も多く出回っている品種はスイーズカイエン系です。葉にとげがなく、果実は黄金色で甘くて多汁。他にも、やや小ぶりで酸味のあるクイーン系、味が極めて優れたモーリシャス系などがあります。

●パイナップルの生産地
パイナップルはアジアの国々で産されています。現在、日本の市場に出回っているものの多くはタイやフィリピン産のものです。また日本では沖縄県で栽培されています。

●パイナップルの選び方
香りがよく、持ってみてずっしりと重いものがよいです。また、皮の色が赤みを帯びているのを選び、葉が枯れているものは避けた方がよいでしょう。押すとへこむぐらいがパイナップルの食べごろです。

●パイナップルの保存方法
パイナップルは果実の下の方が甘みが強いので、均一にするため、葉を下にして保存します。一度包丁を入れたものはラップに包んで、冷蔵庫の中に入れておきます。一口大に切って冷凍すれば、そのままシャーベットになります。

●パイナップルに含まれる成分と性質
パイナップルには、酸味のもとになるクエン酸をはじめ、ブロメリン、マンガン、ビタミンB1、ビタミンC、食物繊維が含まれています。
たんぱく質分解酵素であるブロメリンも多く含んでいますが、60℃以上の加熱で消えてしまうため、加熱処理されている缶詰には含まれていません。

パイナップルの効果

●疲労回復効果
酸味のもとであるクエン酸には、疲労物質を分解し、筋肉への蓄積を防止する効果があります。ビタミンB1とともにエネルギー代謝を促進し、疲労回復に力を発揮します。

●便秘を解消する効果
パイナップルの中には食物繊維が豊富に含まれており、排便をスムージにし、便秘解消に効果的です。

●食欲増進効果
ブロメリンというたんぱく質分解酵素も含んでいます。パイナップルを生で食べたときに舌に刺激を感じることがありますが、それは強力な消化酵素であるブロメリンのしわざです。これには肉をやわらかくする働きのほか、肉や魚の消化吸収を助ける働きがあります。また、クエン酸にも消化吸収を助ける働きがあるので、ダブルで効果を発揮します。【4】

●腸内環境を整える効果
ブロメリンには、腸内環境を整える作用もあり、炎症をしずめたり、有害物質を分解し、ガスの発生を改善します。【3】【6】

●生活習慣病の予防・改善効果
食物繊維にはコレステロールを排出する働きがあるので、動脈硬化や糖尿病といった生活習慣病の予防をすることができます。【1】【5】

●美肌効果
パイナップルに豊富に含まれているビタミンCが、美肌を保ちます。ビタミンCは、皮膚や粘膜の健康維持を助けるとともに、抗酸化作用を持つ栄養素です。肌にハリを持たせたり、シミを予防する美容効果があります。
【2】【3】

パイナップルは食品やサプリメントで摂取できます

こんな方におすすめ

○疲れが溜まっている方
○便秘にお悩みの方
○食欲がない方
○おなかの調子を整えたい方
○生活習慣病を予防したい方
○美肌を目指している方

パイナップルの研究情報

【1】Ⅱ型糖尿病10名を対象に、パイナップルジュースを摂取させたところ、ブドウ糖負荷時と比較して、血糖値上昇が緩和されたことから、パイナップルは糖尿病予防として有望であると考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21984455

【2】皮膚熱障害ラットを対象に、パイナップル酵素分解物を塗布したところ、熱傷の回復が促進されたことから、パイナップルは皮膚保護作用を持つと考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/2257064

【3】パイナップルの酵素成分ブロメラインは多くの薬理作用を持っており、抗炎症作用、血小板凝集抑制作用、創傷回復促進作用を持っており、高い機能性が期待されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/3287010

参考文献

・中嶋洋子監修 完全図解版 食べ物栄養事典―この症状・病気に効くこの食品、この成分 主婦の友社

・五明紀春、古川知子著 食材健康大辞典—502品目1590種まいにちを楽しむ 時事通信出版局

・食材図典 生鮮食材篇 小学館

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