https://www.asahi.com/sp/articles/ASP5S5TX5P5PULBJ01C.html
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ウイルスを使ってがん細胞を破壊する治療薬が、承認される見通しになった。厚生労働省の専門部会が24日、製造販売の承認を了承した。臨床試験(治験)では標準治療と比べて1年後の生存率が6倍になるなどの延命効果が示された。がんに対するウイルス治療薬が承認されるのは国内で初めて。
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審査期間が通常より短い国の制度が適用された。今後、薬を患者に使ったうえで7年間データを集め、有効性と安全性を改めて確認する条件がついた。
この薬は、第一三共などが開発したがん治療薬「デリタクト注」。対象となる病気は脳腫瘍(しゅよう)の一種「悪性神経膠腫(こうしゅ)」で、脳内の細胞ががん化することで起きる。中でも代表的な「膠芽腫(こうがしゅ)」は国内に推計2500人程度の患者がいる。手足のけいれんなど神経障害が生じ、脳腫瘍の中でも進行が早い。
脳の腫瘍内に、特殊なウイルスを一定間隔で最大6回注入する。東京大医科学研究所の藤堂具紀(ともき)教授がヘルペスウイルスの三つの遺伝子を改変し、体内に注入したときにウイルスががん細胞内のみで増殖し、がん細胞を攻撃するように設計した。正常な細胞ではウイルスは増えない。
治験では手術や抗がん剤などの標準治療後に効果が十分でなかったり、再発したりした膠芽腫の患者が対象になった。13人の中間解析結果では1年後の生存率が92・3%で、単純比較はできないが一般的な標準治療後の生存率15%よりも大幅に高かった。19人でみた生存期間の中央値は約20カ月だった。1施設だけの結果で生存率を評価するのは難しかったが、腫瘍の縮小効果の分析などを含め一定の有効性があると判断された。
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有望な薬について審査期間を短くする国の「先駆け審査指定制度」の対象になっていた。(市野塊)
悪性度の高い脳腫瘍(しゅよう…
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