2021年8月2日月曜日

SGLT2阻害剤「フォシーガ」が米国で慢性腎臓病(CKD)治療薬として承認取得 腎機能低下・末期腎不全・心血管死・腎不全による死亡でリスク低下。

https://dm-rg.net/news/2021/05/020739.html
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2021.05.18
 
 アストラゼネカは5月13日、SGLT2阻害剤「フォシーガ」(ダパグリフロジン)が、米国で、進行リスクのある成人の慢性腎臓病(CKD)での、eGFRの持続的低下、末期腎不全への進行、心血管死、および心不全入院のリスク低減を適応症とする承認を取得したと発表した。

過去20年以上にわたるCKD治療で重要な進歩

 アストラゼネカは、SGLT2阻害剤「フォシーガ」(ダパグリフロジン)が、米国で、進行リスクのある成人の慢性腎臓病(CKD)での、eGFRの持続的低下、末期腎不全への進行、心血管死、および心不全入院のリスク低減を適応症とする承認を取得したと発表した。

 米国食品医薬品局(FDA)による今回の承認は、第3相DAPA-CKD試験の結果にもとづいており、また今年のはじめにFDAより付与された優先審査指定に続くものだ。

 「DAPA-CKD試験の前例のない結果にもとづき、ダパグリフロジンはSGLT2阻害剤ではじめて、糖尿病の有無に関わらないCKD治療薬として承認されました。今回の承認により、患者さんと医師は新しい効果的な治療選択肢を手に入れることになります」と、DAPA-CKD試験の治験運営委員会の共同代表者であるオランダのグロニンゲン大学医療センターのHiddo L. Heerspink教授は述べている。

 DAPA-CKD試験は、2型糖尿病合併の有無に関わらず、CKDステージの2~4、かつ、アルブミン尿の増加が確認された4,304例を対象に、ダパグリフロジン10mg投与による有効性と安全性をプラセボと比較検討した、国際多施設共同無作為化二重盲検比較試験。フォシーガは1日1回、CKDの標準治療に追加投与された。

 主要評価項目は、腎機能の悪化もしくは死亡(eGFRの50%以上の持続的低下、末期腎不全への進行、心血管または腎不全による死亡)だった。副次評価項目は、腎機能の複合評価項目(eGFRの50%以上の持続的低下、末期腎不全への進行、腎不全による死亡)、心血管死もしくは心不全による入院、および全死因死亡のいずれかの初発までの期間だった。試験は日本を含む21ヵ国で実施された。

 フォシーガは、第3相DAPA-CKD試験で、CKDステージ2~4、かつ、尿中アルブミン排泄の増加を認める患者を対象に、ACEiもしくはARBによる標準治療への併用で、腎機能の悪化、末期腎不全への進行、心血管死または腎不全による死亡のいずれかの発生による複合評価項目を、プラセボと比較して39%低下させた(p<0.0001)。

 絶対リスク減少率(ARR)は、中央値2.4年の試験で5.3%でした。フォシーガはまた、全死亡のリスクをプラセボと比較して有意に31%低下させた(ARR = 2.1%、p=0.0035)。

 また、フォシーガの心血管アウトカムを評価した無作為化二重盲検プラセボ対照第3相DECLARE-TIMI58試験では、進行していないCKDでも有効であることを示唆する結果が得られている。フォシーガは多発性嚢胞腎を併発する、もしくは免疫抑制剤による腎疾患の治療歴がある/治療を必要とするCKD患者の治療への使用は、有効性が確認されていないため、推奨されていない。

 両方の試験で、フォシーガの安全性と忍容性はこれまで確認された安全性プロファイルと一致していた。

 米国でフォシーガは、成人2型糖尿病患者の食事、運動療法の補助療法としての血糖コントロール改善、心血管疾患の既往歴または複数の心血管リスク因子を持つ成人2型糖尿病患者の心不全による入院リスクの低減、さらに、2型糖尿病合併の有無に関わらず左室駆出率が低下した成人の心不全(NYHA心機能分類:IIからIV)の心血管死および心不全入院のリスクの低下に対する承認を取得しています。

 なお、現在、日本で承認されているフォシーガの効能・効果は次の通りで、慢性腎臓病に対する適応はない。
・ 2型糖尿病
・ 1型糖尿病
・ 慢性心不全 ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る。

 CKDは、心疾患や脳卒中の発症リスクの増加と関連しており、また血液透析や腎移植が必要となることもある。CKDは2040年までに世界第5位の死因になると予想されている。米国では現在、3,700万人がCKDに罹患していると推定されている。

Dapagliflozin in patients with chronic kidney disease(New England Journal of Medicine October 2020年10月8日)
DAPA-CKD - Dapagliflozin in Patients with Chronic Kidney Disease(ESC Congress 2020 2020年8月29日~9月1日)
アストラゼネカ
フォシーガ錠5mg/フォシーガ錠10mg(医薬品医療機器総合機構)

[ TERAHATA / 日本医療・健康情報研究所 ]



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