2019年6月 - 2021年3月日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)
- 課題番号
- 19K21928
- 配分額
- (総額)
- 6,500,000円
- (直接経費)
- 5,000,000円
- (間接経費)
- 1,500,000円
セルロースナノファイバー材料のさらなる高付加価値化を狙って、集合構造の制御を通じて高い熱伝導率を有するフィラメントの開発を進めた。フィラメントの構造制御には、流動を用いた手法を用いた。セルロースナノファイバー分散液を縮流チャネルに流すことで、Flow focusing効果によって高配向のセルロースナノファイバー集合体を作製した。チャネルの幾何学や動力をパラメータとして、セルロースナノファイバーの配向度、密度、引張応力を調整した。化学的には、セルロースナノファイバーの溶液や混入する酸(イオン)の濃度を通じて、ゲル化や乾燥の速度を制御した。得られたセルロースナノファイバーの熱伝導率を、T型マイクロ定常法を用いて計測した。電極間に架橋して通電加熱したプラチナ細線にT型になるようにセルロースナノファイバーを設置し、定常状態におけるプラチナ細線の温度の変化より、ファイバーの熱伝導率を得た。その結果、塩酸を用いて作製したフィラメントの熱伝導率が10W/mK程度となった。また細いフィラメントほど高い熱伝導率が得られる傾向を見出した。一方、微視的な視点からセルロースナノファイバー材料の熱伝導のメカニズムを検証するため、分子動力学シミュレーションも行った。例えば、低次元構造特有の「異常熱輸送現象」(熱伝導率が長さに対して発散する現象)の有無を検証した。加えて、セルロース鎖同士の界面の熱抵抗の水素結合やイオン結合の影響を評価した。また、フローフォーカス法を用いたフィラメントの連続製造を実現するために、装置の設計,部品の購入,一部組み立てまでを実施した。フィラメント成形途中のフィラメント状ゲルに対して、巻取りドラムの回転と軸方向の移動を可変速とした。予備実験でフィラメント状ゲルの引張強度がその直径やゲル化剤で変化することがわかっており、これによって、引張強度の異なるゲルを巻き取ることができる。
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