定額制音楽配信の高音質化
定額制音楽配信の利用者が増え始めた大きな理由として、2019年以降、オーディオファンも満足できるCDと同等またはそれ以上の高音質で配信する高音質配信が利用で
きるようになったことが挙げられます。
国内では『アマゾン ミュージック(Amazon Music)』と『アップル ミュージック(Apple Music)』が相次いでCDと同等のロスレス(音の劣化のない非圧縮音源)、およびCDを上回るハイレゾ(High-Resolution Audio:高解像度音質)での配信に踏み切り、現在はどちらも高音質配信による追加料金は特に設けていません。
また、『アップル ミュージック』はクラシックファン向けの『アップル ミュージック クラシカル(Apple Music Classical)』を開発し、2024年1月以降、日本でも使えるようになりました。こちらも『アップル ミュージック』と同様、高音質音源をそろえています。
固定料金、聴き放題、高音質という3つの条件が重なることで、定額制音楽配信は多様化した音楽再生スタイルのなかで特別な価値を持つ存在になろうとしています。
従来のストリーミングは使い勝手は良くても音質がいまひとつ、ダウンロード方式の音楽配信は高音質だが購入方法と管理が煩雑という具合に、それぞれ一長一短があり、オーディオファンが全幅の信頼を寄せるサービスにはなりきれていません。
そんな時に登場した高音質音楽配信がオーディオファンの評価を獲得できるのか、これからが正念場です。
『アマゾン ミュージック』と『アップル ミュージック』はライブラリの充実度や音質という点でも音楽ファンやオーディオファンの期待に応える内容に進化しましたが、実は世界に目を向けると、この2つ以外にも、『TIDAL(タイダル)』(ノルウェー)、『Qobuz(コバズ)』(フランス)などの定額制音楽配信サービスが音の良い配信サービスとして定着しており、音にこだわる音楽ファンやオーディオファンの支持を集めています。
いずれも日本国内では利用できず、正式なサービス開始が待たれていましたが、2024年秋以降には『Qobuz』が日本でサービスを開始する予定で、『TIDAL』も日本市場への参入を計画しています(2024年6月時点で具体的な時期は未発表)。これらの定額制音楽配信の本命とされるサービスについては、『ネットオーディオのすすめ』で詳しくご説明したので、せひご一読いただきたいと思います。
このように、パッケージメディアによるオーディオから、ネットワークオーディオの誕生と、オーディオファンが望んでいるストリーミングサービスへの進化を概観してみました。続いては、ネットワークオーディオの「高音質音楽配信」の楽しみ方について、ご紹介していきましょう。
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次回は、近頃よく耳にするハイレゾについて取り上げます。なんとなく音質が良さそう、というイメージはありますが、その高音質の理由について解説します。
CDをはるかに凌駕する音質で、話題になったネットオーディオ。初めてネットオーディオに挑戦するオーディオファン・音楽ファンを対象に機材の選び方から、煩わしいネットの設定まで具体的に分かりやすく解説します。
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