勉強の為に転載しました。
車載式水プラズマ有害廃棄物処理装置
Description
本発明は、水プラズマを利用してPCB、硫酸ピッチ、低レベル放射性産業廃棄物などを瞬時にガス化する車載式水プラズマ有害廃棄物処理装置に係り、特に、移動が困難な有害物をその保存場所で処理することができる車載式水プラズマ有害廃棄物処理装置に関する。
水プラズマを利用して廃棄物を処理する装置として、特許文献1に記載のシステムが提案されている。すなわち、プラズマ安定化媒体として水を用いて、アーク放電により発生される水プラズマジェット気流中に直接焼却灰を供給し、焼却灰を減容すると共に焼却灰自体の成形体を得る焼却灰減容と成形化システムである。
また、特許文献2に、有害物質を瞬時にガス状態に分解する有害物質分解装置が記載されている。この分解装置では、有害物質を含んだ被処理物を高速で供給する供給手段と、供給された前記被処理物を1000℃以上、20000℃以下の高周波誘導プラズマにより瞬時に原子あるいはガス状態まで分解させる高周波誘導プラズマ装置と、この高周波誘導プラズマ装置に直結され、分解により生成されたガスをプラズマ熱流からの流出直後に100℃以下に急速冷却して前記有害物質の再結合阻止状態下で無害化成分の固化、ならびに排出を行わせる冷却手段および回収装置とを備えたものである。
特許第3408779号公報 特開2000−288510号公報
ところが、特許文献1及び特許文献2のシステムや分解装置を使用する場合、処理する廃棄物を、処理システムや分解装置が設置されている施設まで移動する必要がある。ところが、PCB、硫酸ピッチなどの廃棄物は、廃棄物の移動や処理施設が極めて制限されているため、実際の廃棄物処理を効率的に行うことができなかった。
そこで、当発明者は、処理装置を廃棄物の保管場所まで移動し、その場で処理できるシステムを構築することで、極めて効率の良い処理が可能になることに想到した。ところが、水プラズマの発生装置を車載用に構成するには、水プラズマ発生装置のコンパクト化及び水プラズマの発生に伴う騒音処理、あるいはガス化した後の処理など、極めて多くの課題に直面することになった。本発明は、係る課題を解決することで、移動が困難な有害物をその保存場所で処理することができる車載式水プラズマ有害廃棄物処理装置の提供を目的とするものである。
本発明の第1の手段は、アーク放電により発生される水プラズマのジェット気流中に直接有害廃棄物Qを投入し該有害物をガス化せしめる水プラズマ有害物処理装置において、トラックPの荷台上に、水プラズマ発生装置10を備えたプラズマ処理用ユニット100と、発電機43を備えた発電・機械用ユニット200と、有害廃棄物Qを収容する処理材タンク44を設置した作業エリア300とを各別に配置し、前記プラズマ処理用ユニット100は、水プラズマ発生装置10と、有害物をガス化した廃棄物を処理する排気処理装置20と、これら水プラズマ発生装置10及び排気処理装置20に使用する処理用水を収容する水槽30とを防音性の箱状ユニット内に備え、前記発電・機械用ユニット200は、有害廃棄物Qを水プラズマ発生装置に送るエアータンク41とコンプレッサー42及び、発電機43とを独立した箱状ユニット内に備えたものである。
第2の手段は、前記プラズマ処理用ユニット100の排気処理装置20において、有害物が分解された酸性ガスに、強アルカリ性水を噴射して中和せしめるシャワー装置21を設置したものである。
第3の手段において、前記発電・機械用ユニット200の箱状ユニットは、ボティーの側面が開口するウィングボティーを使用する。
第4の手段において、前記プラズマ処理用ユニット100の箱状ユニットは、鉛を含有したゴム材44とグラスウールの吸音材45とで防音処理されている。
第5の手段において、前記作業エリア300は、前記荷台の最後尾に配設された平ボディー上に設置され、クレーン又はフォークリフトで処理材タンク44内に廃棄物収納ドラム缶を移動可能に設ける。
第6の手段は、前記発電・機械用ユニット200に、エンジンの出力を利用して発電せしめる交流発電機43Aと直流発電機43Bとを配置したことを課題解消のための手段とする。
本発明の請求項1により、水プラズマ発生装置10を備えたプラズマ処理用ユニット100と、発電機43を備えた発電・機械用ユニット200と、有害廃棄物Qを収容する作業エリア300とを各別に配置することで、水プラズマ発生装置10を極めてコンパクトに設置することができた。この結果、水プラズマ発生装置10を運搬して作動することが可能になり、移動が困難な有害物をその保管場所で処理することができる。
また、各ユニットを構成したことで、トラックPの荷台上で、有害廃棄物Qの処理作業を効率よく行うことができる。この結果、トラックPが移動できる場所であればどのような場所でもその保管場所の近くで有害廃棄物Qを処理することができる。
請求項2によると、ガス化した酸性ガスに、強アルカリ性水を噴射して中和せしめるシャワー装置21を設置しているので、水プラズマにより処理した後のガスを、より安全な排気ガスに変えることができる。
請求項3では、発電・機械用ユニット200の箱状ユニットとして、ボティーの側面が開口するウィングボティーを使用したことから、発電・機械用ユニット200に配置している各種機器の操作や整備などを極めて効率良く行うことができる。
請求項4により、前記プラズマ処理用ユニット100の箱状ユニットが、鉛を含有したゴム材44とグラスウールの吸音材45とで防音処理されているので、廃棄物処理作業時に生じるジェットエンジンの如き騒音を低減することができる。この結果、保管場所がどこにあっても騒音による不都合を解消している。
請求項5によると、前記作業エリア300は、前記荷台の最後尾に配設された平ボディー上に設置され、廃棄物収納ドラム缶類をクレーン又はフォークリフトで処理材タンク44内に移動可能に設けているので、移動先での廃棄物移動は、保管場所からこの処理材タンク44内に移動するだけでよい。しかも、処理材タンク44は、荷台の最後尾に配設されているので、保管場所からの移動作業も頗る容易である。
請求項6では、発電・機械用ユニット200の交流発電機43Aと直流発電機43Bは、エンジンの出力を利用して発電せしめるものであるから、トラックPに搭載した状態で水プラズマ発生装置10に必要な発電が可能になる。したがって、電源設備のない保管場所においても有害廃棄物Qを処理することができるものである。
このように本発明によると、水プラズマ発生装置のコンパクト化と共に、水プラズマの発生に伴う騒音処理やガス化した後の処理などの課題を解決し、移動が困難な有害物をその保存場所で処理することができるなどといった産業上有益な効果を奏するものである。
本発明の最良の形態は、トラックPの荷台上に、水プラズマ発生装置10を備えたプラズマ処理用ユニット100と、発電機43を備えた発電・機械用ユニット200と、有害廃棄物Qを収容する処理材タンク44を設置した作業エリア300とを各別に配置する。プラズマ処理用ユニット100には、水プラズマ発生装置10と、有害物をガス化した廃棄物を処理する排気処理装置20と、これら水プラズマ発生装置10及び排気処理装置20に使用する処理用水を収容する水槽30とを備える。この排気処理装置20において、ガス化した酸性ガスに、強アルカリ性水を噴射して中和せしめるシャワー装置21を設置する。また、プラズマ処理用ユニット100の箱状ユニットは、鉛を含有したゴム材45とグラスウールの吸音材46とで防音加工されている。発電・機械用ユニット200には、有害廃棄物Qを水プラズマ発生装置に送るエアータンク41とコンプレッサー42及び、発電機43とを独立した箱状ユニット内に備える。この箱状ユニットは、ボティーの片側が開口するウィングボティーを使用する。前記作業エリア300は、前記荷台の最後尾に配設された平ボディー上に設置され、クレーン又はフォークリフトで処理材タンク44内に廃棄物収納ドラム缶を移動可能に設けることで、当初の目的を達成するものである。
本発明処理装置の基本構成は、トラックPの荷台上に載置されたプラズマ処理用ユニット100と、発電・機械用ユニット200と、作業エリア300とからなるものである
(図1参照)。
(図1参照)。
プラズマ処理用ユニット100には、水プラズマ発生装置10と、有害物をガス化した廃棄物を処理する排気処理装置20と、これら水プラズマ発生装置10及び排気処理装置20に使用する処理用水を収容する水槽30とを備えている(図2参照)。
水プラズマ発生装置10は、アーク放電により発生される水プラズマのジェット気流中に直接有害廃棄物Qを投入し該有害物をガス化せしめる装置である(図4参照)。図示例の水プラズマ発生装置10は、フレーム11上に設置されたプラズマガン12と、プラズマガン12の先端に配されたプラズマチャンバー13と、高圧ポンプ14、真空ポンプ15にて構成されている(図2、図3参照)。
プラズマガン12は、カーボン陰極12Aを本体の軸心に配設している(図4参照)。このプラズマガン12の先端には、冷却水入口13Aと冷却水出口13Bとを形成したプラズマチャンバー13を備えている。更に、鉄製円板状の陽極12Bと、プラズマジェット12Cに有害廃棄物Qを供給する処理材投入口12Dとから構成されている。この構成において、プラズマチャンバー13内に冷却水入口13Aから供給された高圧水は、カーボン陰極12Aからプラズマチャンバー13の中心出口に至る水流を形成し、この水流の中心軸に配置したカーボン陰極12Aと、中心軸に円周を接する陽極12Bとの間に直流アークを発生させると、その渦流内径の表面より水蒸気が発生し、この直流アークの熱で解離・電離が行われて高エネルギーのプラズマジェット12Cが発生する。このようにして得られたプラズマジェット12Cは約25000〜30000℃に達し、高温、超高速の流体となり、この流体内に投入された有害廃棄物Qの有害物質は、分子レベルで分解されて無害なガスと化すものである。
排気処理装置20では、ガス化した酸性ガスに、強アルカリ性水を噴射して中和せしめるシャワー装置21を設置している(図4参照)。このシャワー装置21は、プラズマジェット12Cの溶射体として設けた略筒体状のウォーターブース22の内部に設置されており、ウォーターブース22の下部には水を張った水槽23を配し、この水槽23からウォーターブース22の内部にシャワー装置21で散水するものである。すると、ガス化した分子は、この箱筒体22の内部を通過する際に、散水された強アルカリ性水により中和され、排気ファン24にて外に排出されるものである。
また、プラズマ処理用ユニット100の箱状ユニットは、鉛を含有したゴム材45とグラスウールの吸音材46とで防音加工されている。図示例では、箱状ユニット全体をゴム材45で被覆し、排気チャンバー25内部を吸音材46で覆っている(図2参照)。
発電・機械用ユニット200は、有害廃棄物Qを水プラズマ発生装置に送るエアータンク41やコンプレッサー42、発電機43などを独立した箱状ユニット内に備えている。この箱状ユニットとして、特にボティーの側面が開口するウィングボティーを使用することで、作業性の向上を図っている(図2参照)。
発電機43として、交流発電機43Aと直流発電機43Bとを設置している。そして、一方の交流発電機43Aは、水プラズマ発生装置に送水するコンプレッサー42を作動せしめ、他方の直流発電機43Bは、プラズマガン12に給電する電源となっている。また、これら二つの発電機43は、トラックPのエンジンを利用して発電するTPO装置40を設けている。すなわち、エンジンの出力を利用して、プロペラシャフト47を介し各発電機43を発電せしめるものである(図5参照)。このとき、交流発電機43Aは60kvA、160A、直流発電機43Bは220kvA、500Aの出力が得られる。
作業エリア300に、有害廃棄物Qを収容する処理材タンク44を設置する。この作業エリア300は、前記荷台の最後尾に設けられた平ボディー上に設置されている。そして、廃棄物を収納したドラム缶類を、クレーン又はフォークリフトで処理材タンク44内に移動可能に設けたものである。この処理材タンク44は、特に加圧用タンクを使用している。そして、廃棄物収納ドラム缶に孔を開けた状態でこの処理材タンク44内に収納した後、処理材タンク44を密封し、これを加圧することで、ドラム缶内の廃棄物は全て排出されるものである。また、有害廃棄物Qとしては、PCB、硫酸ピッチ、アスベスト、フロン、ハロン、タイヤ、各種ゴミ等を、液状あるいは粒状にして処理するものである。
尚、本発明における図示例の各構成は、本発明の一実施例に過ぎず、各ユニットの構成や各種装置の形状や構造等の設計変更、材質の転換及び使用態様の変更など、本発明の要旨を変更しない範囲において自由に変更することができるものである。
P トラック
Q 有害廃棄物
10 水プラズマ発生装置
11 フレーム
12 プラズマガン
12A カーボン陰極
12B 陽極
12C プラズマジェット
12D 処理材投入口
13 プラズマチャンバー
13A 冷却水入口
13B 冷却水出口
14 高圧ポンプ
15 真空ポンプ
20 排気処理装置
21 シャワー装置
22 ウォーターブース
23 水槽
24 排気ファン
25 排気チャンバー
30 作業エリア
31 処理材タンク
40 TPO装置
41 エアータンク
42 コンプレッサー
43 発電機
43A 交流発電機
43B 直流発電機
44 処理材タンク
45 ゴム材
46 吸音材
47 プロペラシャフト
48 トランスミッション
49 純水器
50 水
51 燃料
52 エンジン
53 安定器
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13B 冷却水出口
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