皆さん、マグロは好きですか?
お寿司やお刺身をはじめ、マグロを好きな方は多いでしょう。海のマグロは"天然資源"といえますが、その資源量が危機的な状況にあり、将来的には食べられなくなる可能性もあることはご存じでしょうか?
現在、流通しているクロマグロのおよそ4割が自然のものを獲った、天然資源です。そして、残りのおよそ6割は養殖により生産されたものですが、その多くは、天然の幼魚や若いクロマグロを採って育てる「畜養」という養殖法により生産されたものです。海の資源量を維持するには、天然資源から卵や稚魚を獲ることなく、養殖魚だけでサイクルを続けて行く「完全養殖」が必要になります。完全養殖では、養殖で親になるまで育てた魚から受精卵を得て、人工ふ化によって次の世代の稚魚を得ます。これをまた育てて、大きくなったらふたたび採卵し......を繰り返していきます。
今回のサイエンティスト・トークでは、世界で初めてクロマグロの完全養殖を成功させた近畿大学水産研究所から家戸敬太郎准教授をお招きします。
32年に及ぶ研究の末に成功したクロマグロの完全養殖をはじめとする近畿大学水産研究所の取り組みや、家戸准教授の現在の研究を伺います。
養殖は、味やコストの面からのみ語られがちですが、研究者のお話を聞きながら、「持続的発展」や「循環型社会」という視点から見つめ直し、これからの養殖研究や養殖と社会のあり方について一緒に考えてみませんか?
皆さんの参加をお待ちしております。
講師: 家戸 敬太郎氏(近畿大学 水産研究所 准教授)
近畿大学大学院農学研究科水産学専攻博士課程修了。1993年近畿大学水産研究所助手、講師を経て2006年から現職。博士(農学)。
専門分野は水産増殖学、水産遺伝育種学。海水養殖魚の効率的な生産を目的とした染色体操作および遺伝子操作技術による海水養殖魚の品種改良を研究している。また、海水魚の養殖や種苗生産の現場で日々生じる病気などの問題を解決する方法や、餌のやり方や飼育方法を工夫して生産効率を向上するための技術開発など、現場で役に立つ実用的な研究にも取り組んでいる。
企画・ファシリテーション:
久保 暢宏 (日本科学未来館 科学コミュニケーター)
髙橋 麻美(日本科学未来館 科学コミュニケーター)
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